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フェイスブックと選挙:「フェイクの洗い出し、他人任せじゃなく自分でやれ」とNYタイムズ社説

米国の中間選挙を前に米司法省は19日、選挙への介入の容疑でロシアの”フェイク工作”の会計責任者を訴追した、と発表した。


By Anthony Quintano (CC BY 2.0)

工作資金の支出先の多くは、フェイスブックだった。

選挙をめぐるフェイクニュース問題は、ロシアなどの”外患”だけではない。米国発のフェイクニュースもまた、中間選挙をめがけて勢いを増す。

フェイスブックと選挙をめぐる問題は、米国以外でも注目を集める。

10月末に決選投票が行われるブラジル大統領選では、フェイスブック傘下のメッセージアプリ「ワッツアップ」を舞台にしたフェイクニュースの氾濫が大きな問題となり、高等選挙裁判所が相次いで削除を命じる事態になっている。

多くの場合、これらの問題はメディアや研究者、アクティビストたちが指摘してきた。それに対し、フェイスブックが対応する。すると、また新たな問題が――。

「他人任せ」とも映り、後手後手に回るフェイクニュース対応が続く状況に、ニューヨーク・タイムズは20日、ついにこんなタイトルの社説を掲げた。

フェイスブックよ、自分のことは自分でやれ

●米中間選挙も標的

米司法省の発表によると、訴追されたのはロシア人のエレーナ・フシャイノワ被告。

米国やEU、ロシア国内を含む幅広い情報工作「プロジェクト・ラフタ」の会計責任者として、米中間選挙への介入に関わった「共謀罪」で訴追されている。

今回の刑事告訴状によると、「プロジェクト・ラフタ」は米国、EU、ウクライナやロシア国内も含む、選挙に関する情報工作で、2014年ごろから実施されている。

「プロジェクト・ラフタ」の名前は、今年2月、2016年米大統領選へのロシアの介入疑惑を操作している特別検察官、ロバート・ムラー氏が、その工作部隊とされてきた「インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)」を含む3社と、関連する13人のロシア人を起訴した際の起訴状にも登場している。

※参照:ロシアの「フェイクニュース工場」は米大統領選にどう介入したのか(02/18/2018)

「プロジェクト・ラフタ」の資金源は「プーチンの料理人」の異名を持つ側近でロシアの実業家、エフゲニー・プリゴジン氏の傘下企業「コンコルド」だ。

ここから、「プロジェクト・ラフタ」を通じて、「インターネット・リサーチ・エージェンシー」など10社あまりの工作部隊に資金を提供しているという。

そして「インターネット・リサーチ・エージェンシー」は”フェイクニュース工場”として、フェイスブックなどを通じた各種情報工作を手がける、という構図だ。

その金の流れを管理していたのが、「プロジェクト・ラフタ」の財務部門で会計責任者を務めるフシャイノワ被告ということになる。

ただ、これまでの「ロシア疑惑」で起訴された被告たちと同様、当人はロシアにおり、身柄拘束の可能性はない。

司法省の資料によれば、米大統領選、米中間選挙への介入を含む2016年1月から2018年6月までの「プロジェクト・ラフタ」全体の予算は3500万ドル超(約39億円)。

このうち、米中間選挙も絡む今年1月から6月の予算は1000万ドル超(約11億円)。

2月の起訴状では、米大統領選直前の2016年9月ごろの「インターネット・リサーチ・エージェンシー」の月額予算は125万ドル超(約1億4000万円)にのぼった、としていた。

「プロジェクト・ラフタ」の予算の使途は、「工作員への支払い、ソーシャルメディアへの広告出稿、ドメイン名登録、プロキシーサーバーの購入、”ソーシャルメディアでのニュース投稿の促進”」とされている。

ただ、米国への介入のために使われたのはそのごく一部だったという。

刑事告訴状に具体的な金額が記されている。

今年1月から6月の予算のうち、フェイスブック広告に6万ドル超、インスタグラムの広告には6000ドル超。さらに「ブロガー」「(ツイッターの)アカウント開発」に1万8000ドル超、とされている。

これを見る限り、大半がフェイスブックに振り分けられている。

介入工作の手法は、大統領選の時とほぼ同じだ。

フェイスブックなどの広告や投稿を通じて、移民問題、銃規制、人種問題、LGBTといったテーマで対立する双方の立場から煽り、社会の分断を図る、という手法だ。

※参照:米社会分断に狙い、ロシア製3500件のフェイスブック広告からわかること(05/14/2018)

例えば、フェイスブックのフェイクアカウント「バーサ・マローン」は、移民問題を取り上げた「ストップAI(オール・インベーダー)」というフェイスブックページを開設した。

2016年12月から2017年8月までの期間に400件を投稿。2017年7月17日からの1週間だけで、138万人にリーチし、13万人から「いいね」やコメントなどのエンゲージメントがあったという。

今回の訴追は9月28日付けで行われていたが、3週間後の19日まで公表されていなかった。

ワシントン・ポストなどによると、翌週から大統領補佐官(国家安全保障担当)のジョン・ボルトン氏が訪ロするのに合わせて、というタイミングだったようだ。

訴追の発表と同じ日、米国家情報長官室が、司法省、連邦捜査局(FBI)、国土安全保障省(DHS)による共同声明を発表。

中間選挙及び2020年の米大統領選に対する、ロシア、中国、イランを含む外国政府による介入への懸念を表明している。

訴追と合わせ、11月6日の中間選挙本番に向けた号砲のようなものだろう。

●選挙対策室の開設

フシャイノワ被告の刑事告訴状では、フェイスブックとツイッターのフェイクアカウントを使った介入事例を取り上げている。

ただ、工作のコストのかけ方を含め、その焦点はフェイスブックだ。

その風圧は、フェイスブックも感じているようだ。

まさにフシャイノワ被告の訴追発表の前日、18日に、フェイスブックの本社内に「選挙対策室」を開設したことを公表している。

脅威インテリジェンス、データサイエンス、ソフトウエアエンジニアリングなど、社内各部署の専門家約20人が常駐し、リアルタイムで介入の兆候を監視しているという。

7月末には、フェイスブックとインスタグラムのフェイクアカウントとページ、32件の削除を発表。その手法からロシアの「インターネット・リサーチ・エージェンシー」との関連が指摘されている。

さらに10月11日には、559のフェイスブックページと251のアカウントを削除した、と発表。

ニューヨーク・タイムズは、この中には、ロシアによる介入の手法を取り入れた、国内発のフェイクニュースが目立ってきている、と報じている。

政治の話題によるフェイクニュースが注目を集めることから、それを広告閲覧に結びつける、というビジネスのが広がっているという。

同様のフェイクニュース発信は、米大統領選の際にマケドニアを舞台に広がったことが明らかになっている。

10月15日には、中間選挙の投票日を別の日付としたり、スマートフォンのアプリで投票できる、といったフェイクニュースを流す「投票者弾圧」の行為についても、削除を強めていく、と表明している。

この手法もまた、米大統領選で「ショートメッセージで投票できる」などのフェイクニュースが出回ったのと同じだ。

さらに、CEOのザッカーバーグ氏は9月、3000語を超す長文の声明を発表。選挙対策の意気込みを述べている。

2016年(の米大統領選の時)には、我々は、今や日常的に直面している組織的な情報工作に対する備えがなかった。だがそれ以来、我々は多くのことを学び、フェイスブックにおける選挙介入を阻止するためのテクノロジーと人材の組み合わせによる最新のシステムを開発した。

一方で、ザッカーバーグ氏はこんなことも述べている。

私が学んだ重要な教訓の一つは、国や文化をまたいで数十億人を結びつけるサービスを構築した時、人々が可能にするあらゆる良い面を目にすると同時に、できる限りの手段を使って、そのサービスを悪用しようとする人々も目にするだろう。

我々が進化すれば、敵もまた進化する。我々はその先手を打ち、民主主義を守るために、改善と協働を続けていく必要がある。

問題は、その「先手」を打つことができているのか、という点だ。

●ブラジル大統領選での削除命令

フェイスブックのフェイクニュースが問題となっているのは、米中間選挙だけではない。

極右・社会自由党のジャイル・ボルソナーロ下院議員と、左派・労働党のフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長による決選投票が10月28日にブラジル大統領選もまた、フェイスクニュース拡散が深刻な問題となっている。

ブラジルでは、フェイスブック、グーグル、さらに24のメディアが連携し、ファクトチェックとフェイクニュース排除のプロジェクト「コンプロバ」を進めてきた

だが、フェイクニュースは、フェイスブック傘下のメッセージアプリ「ワッツアップ」で拡散していたことが、ミナス・ジェライス連邦大学、サンパウロ大学、ファクトチェック機関「アジェンシア・ルパ」の調査明らかになった

ブラジルのニュースサイト「G1」の世論調査では、有権者の44%が、政治や選挙の情報を「ワッツアップ」から得ている、という。

調査では347のグループで拡散していた10万件の画像を検証。

このうち共有の多かった50件の画像を調べたところ、8件は完全な偽造、15件は実際の画像だが別文脈での流用、4件は根拠のない主張で、半数以上がフェイクニュースであることが明らかになった。

この調査グループによるフェイクニュース排除のためのシステム修正要求に対して、「ワッツアップ」の回答は「時間が足りない」だったという。

フェイクニュースは両候補それぞれを攻撃する内容が拡散している、という。

そして「ワッツアップ」も腰を上げたようだ。

ニューヨーク・タイムズによれば、メッセージのグループでの共有の上限を256人から20人への削減し、紙、テレビ、ラジオでの広告キャンペーンを展開。フェイクニュース排除の「コンプロバ」とも連携をとっている、という。

だが、地元紙「フォルハ・デ・サンパウロ」の18日の報道によると、ボルソナーロ氏支持のマーケティング会社が1200万レアル(約3億6000万円)で「ワッツアップ」ユーザーへのメッセージを展開する大規模キャンペーンを計画していることが暴露された。

これに対し、「ワッツアップ」は法的措置をとることを明らかにしている。

一方で選挙管理を管轄するブラジル高等選挙裁判所は、10月に入ってからもフェイスブックに絡むフェイクニュース削除判断次々に出している。

また、有権者に向けて、フェイクニュース情報の専用ページを立ち上げる状況だ。

●「自分のことは自分でやれ」

ザッカーバーグ氏は、9月の声明や、同趣旨のワシントン・ポストへの寄稿の中で、選挙に絡むフェイクニュース対策として、企業の枠を超えた連携を呼びかけている。

我々は着実に前進してきたが、巧妙で資金潤沢な敵に直面している。彼らは決してあきらめず、進化し続ける。我々は改善を続け、常に一歩先を行く必要がある。それには、我々にとってはセキュリティへの継続的な多額の投資が必要になる。と同時に、政府、IT業界、セキュリティ専門家たちとの緊密な連携が求められる。この問題は、一つの組織が自力で解決することはできないからだ。

だが、フェイスブックは今、今年だけでも3月に発覚したケンブリッジ・アナリティカ問題での8700万件のユーザーデータ流出、さらに9月に明らかになったシステムの欠陥を突いたサイバー攻撃による3000万件のユーザーデータ流出、と立て続けの逆風の中で、冷ややかな視線を向けられている。

選挙をめぐっても、トラブルが報じられている。

「アフリカ系米国人」「ヒスパニック」あるいは「LGBT」という単語が含まれているだけで、「政治広告」と判断し、次々に広告が削除されている――。

USAトゥデーは17日、独自の検証で、フェイスブック広告の、そんな現状を明らかにしている。

英ガーディアンも、問題続発のフェイスブックにあって、「選挙対策室は機能しているのか?」と疑問を投げかける。

選挙を離れても、フェイスブックにあふれる様々なフェイクニュースが、深刻な問題を引き起こしている事例がメディアや専門家によって相次いで明らかにされている。

ミャンマーでは、少数民族「ロヒンギャ」への弾圧を煽るフェイクニュース拡散の背後に、軍の存在があったことがニューヨーク・タイムズによって報じられた

上述のブラジル大統領選における「ワッツアップ」でのフェイクニュース氾濫の実態は、専門家らの調査によるものだ。

インドでは、「ワッツアップ」で拡散した「児童誘拐」のフェイクニュースが原因で、4月以来、すでに約20人が殺害される惨事になっているという。

この問題を以前から指摘してきたのも、インドのファクトチェックメディアだった

フェイスブックの対策は、いずれも後手に回っていることが、批判を受けている。

そしてニューヨーク・タイムズは20日、「自分のことは自分でやれ」との社説を掲載した。

(フェイスブックやツイッターなどの)企業には、自由に使えるあらゆるツールがあり、まさにジャーナリストたちが発見した事実を見つけ出すべき重大な責任を負っている。だが明らかなように、いまだに、彼らはその責任を果たしていない。現在、(ジャーナリストや専門家ら)第三者が担っている、ユーザー保護やコンテンツ選別といった役割は、社内で容易に受け持つことができるはずだ。そして、ジャーナリストとは違い、これらの企業には、ネット上で問題のある状況をつくりだす動機そのものを変えてしまう力がある。

ザッカーバーグ氏は、フェイクニュースの発信側が「資金潤沢」という。

だがその一方で、まさに世界のネット広告収入の85%をグーグルとフェイスブックの2社が占めている事実を指摘。フェイクニュースの問題を掘り起こす役割を担っているメディアのビジネスの足元を、この2社が脅かしている、という皮肉な構図について、こう述べている。

ソーシャルメディアのプラットフォームは、自らのサイトから流れる有毒情報の濾過作業をジャーナリストに任せる一方で、それについての社会への見返りは何もなしだ。だが、この仕組みには、持続可能なところが全くない。この(フェイクニュースをめぐる)メリーゴーラウンドの仕組みが機能しなくなった時、何が起こるのか。私たちは、とても考えたくはない。

——–

■新刊『信じてはいけない 民主主義を壊すフェイクニュースの正体』(朝日新書)

(2018年10月21日「新聞紙学的」より転載)


No Picture

Facebookからまたユーザーのデータが流出。情報漏洩、次はあなたの番かも

ユーザーの個人情報保護に失敗したFacebookから、またもやの発表だ。あなたは今回、コーディングエラーにより1年以上アカウント情報が漏洩されていた5000万人のうちの1人だろうか(Facebookの情報を小出しにしていくこれまでのスタイルを考慮すると、情報流出のアカウントの数が増えることは大いにあり得る)。もし対象でなかったのなら、心配しなくてもいいーいずれFacebookが守り損ねてあなたの順番は回ってくる。Facebookはユーザーの安全を守ることはできない。

Facebookは、ユーザーの安全とプライバシーよりもプロダクトアジェンダを優先してきたことを繰り返し証明してきた。仮にそうした証明をしていなかったとしても、Facebookの性質とスケールでは極めて個人的な情報をさらす大規模なデータ流出を回避するのはほぼ不可能に近い。

一つには、Facebookはあまりにも巨大になりすぎて、隅から隅まで完全に安全を確保することは無理なのだ。それが証明されたのが今回のデータ流出であり、ハッカーはFacebookが展開していた機能により何百万ものユーザーアカウントにログインできるようになっていた。1年以上にもわってその状態が続いていた。

正確には、今回の漏洩は最悪のケースのシナリオではないが、それに近い。Facebookにとっては、これ以上にアカウントがおかしなことになるということはないだろうーハッカーのアクティビティが通常のユーザーアクティビティそのままに映っていたかもしれないのだ。存在するログインを使ってのハッキングなので、ユーザーは二段階認証で通知されない。アプリをインストールする? セキュリティ設定を変更する? あなたの個人データをエクスポートする? 全てのことがハッカーにはできる。しかもかなり上手に。

これは、Facebookがあまりにも巨大かつ複雑で、たとえ世界で最も優秀なソフトエンジニアでもってしても、実際そうしたエンジニアが働いているのだが、今回問題となったバグのような予期できない結果を回避できるほどデザインしたりコードを書いたりはできないためだ。

少しステップを飛ばした説明のように聞こえるが、単に”テックは難しい”と言おうとしているのではない。現実的に言って、Facebookはあまりにも動いているパーツを抱えすぎていて、人が全く誤りなくそれらを動かすというのは無理なのだ。これまで漏洩が少なかったというのはFacebookの専門家にとっては勲章だ。Cambridge Analyticaのような大きなものは、コード絡みではなく判断ミスだ。

欠陥は不可避であるばかりでなく、ハッキングコミュニティをかなり刺激するものでもある。Facebookはこれまでのところ史上最大、そして最も価値のある個人データのコレクションを持つ。これにより、ターゲットとなるのは自然なことで、いいカモというわけではないが、ハッカーは時間のあるときにスクリプトに脆弱なところを見つけ出そうとしている。

Facebookが言うには、先週金曜日に見つかったバグはシンプルなものではなかった。ピースをつなぎ合わせ、脆弱さを生み出すという行為はコーディネートされ、また洗練されたプロセスだ。これを行なった人は専門家で、今回の作業で大きな報酬を受け取っているだろう。

欠陥の結果はまた大きなものだった。全ての卵は同じバスケットに入っている。今回のようなたった一つの問題が、プラットフォームにあなたが入力した全てのデータを、そしてもしかすると友人があなただけに見せた全てのこともさらしてしまうことができる。それだけでなく、ごく小さなエラーでも、コードにおけるマイナーエラーの極めて特異な組み合わせにより、膨大な数の人に影響を及ぼすことがある。

もちろん、ソーシャルエンジニアリングを少ししか行なっていないような、あるいは設計がいまひとつのウェブサイトでも、誰かがあなたのログインやパスワードを使ってアクセスするということはあり得る。これは正確にはFacebookのエラーとはならないのかもしれない。しかしFacebookがデザインした方法ー全ての個人情報を倉庫に集中させるーにより、マイナーなエラーがプライバシーの完全喪失につながることがあるかもしれないというのは紛れなもない事実だ。

他のソーシャルプラットフォームはもっとうまくできるかもしれない、と言っているわけではない。Facebookはあなたの安全を確保する方策を持ち合わせていない、ということが今回また明らかになったと言いたいのだ。

もしあなたのデータが盗まれていないのなら、Facebookはいずれそのデータをうっかり漏らすことになるだろう。なぜならそのデータはFacebookが持つ唯一価値あるもので、それは誰かがお金を払ってでも欲しいと思うものだからだ。

最もデータがさらされたものとしては、Cambridge Analyticaのスキャンダルがある。これは、ゆるいアクセスコントロールで膨大な量のデータセットを誤用するという、おそらく何百も行われているオペレーションの一つだ。データを安全に管理するのがFacebookの業務だが、彼らはデータが欲しいという誰かにあげてしまった。

ここでは、たった一つの欠陥がデータの暴露につながったということだけでなく、欠陥は二つめ、三つめと次から次に出てくるだろうということも注目するに値する。あなたがオンラインに打ち込んだ個人情報は、マジックのように簡単に取り戻すことはできない。たとえば、あなたのクレジットカードスキミングされて複製されれば、悪用のリスクは現実のものとなるが、新しいカードにすれば悪用を止められる。個人情報についても、ひとたび盗まれれば、それまで。あなたのプライバシーは不可逆的なダメージを受ける。Facebookにはそれをどうすることもできない。

いや、それは正確ではないかもしれない。たとえば、3カ月より以前の全てのデータをサンドボックス化して、アクセスするには認証が必要、というふうにすることもできる。これだと、情報漏洩のダメージをある程度抑えられる。またこの手法ではサンドボックスに入ったデータへの広告プロフィールのアクセスを制限することにもなる。なので、何年にもわたるデータの分析に基づいて、あなたのシャドープロフィールのようなものをを構築するということにはならない。これはまた、あなたが書いたもの全てを読まず、その代わり広告のカテゴリーをあなたが自分でレポートすることにもなる。これにより、多くのプライバシー問題が解決するかもしれない。しかし、そうはならないかもしれない。これだと、収入にならないから。

Facebookが守れないもう一つのことは、Facebook上のコンテンツだ。スパム、ボット、ヘイト、エコーチェンバーこれら全てがFacebook上でみられる。2万人を擁する強力なモデレーションチームが内容をチェックする作業にあたっているが、明らかに十分ではない。もちろん、世界の文化や法律などは複雑で、この点に関しては常に争いや不幸が伴う。できることといえば、公開されたりストリームされたりした後で不適切な部分を削除することくらいだ。

繰り返しになるが、プラットフォームを悪用しようとする人がいるというのは、正確にはFacebookの過失ではない。究極的にはそうした輩が悪いのだ。しかしFacebookはそうした輩からあなたを守ることができない。新たにつくられる危害のカテゴリーを予防することはできないのだ。

これについて、あなたに何ができるだろうか。何もできない。もうあなたの手に負えない。たとえあなたが今すぐFacebookをやめたとしても、あなたの個人情報はすでにリークされているかもしれず、そうだとしたらオンラン以上で増殖するのを止めることはできない。もしまだリークされていなかったとしたら、それは時間の問題となる。あなたにも、そしてFacebookもどうすることもできない。我々が、そしてFacebookもこの事実を新たな常態として受け入れれば、我々はセキュリティとプライバシーのための真の方策の模索に踏み出せる。

[原文へ]

(2018年10月3日TechCrunch Japan「Facebookはユーザーの安全を確保できない」より転載)





日本ボクシング連盟を批判した村田諒太選手、ナチス強制収容所にまつわる文章をFacebookに投稿。連盟問題と関係?

村田諒太選手

日本ボクシング連盟による選手の助成金流用問題をめぐり、連盟幹部を批判したボクシングWBA(世界ボクシング協会)のミドル級世界チャンピオンで、ロンドンオリンピック(2012年)金メダリストの村田諒太選手(32)が8月2日、意味深な文章をFacebookに投稿した。

ナチス・ドイツの強制収容所の実体験をもとに書かれた名著「夜と霧」(ビクトール・フランクル著)に登場する労働監視者「カポー」に触れた内容だ。

カポーは、同じ収容者でありながらナチス側の命令でほかの収容者らを監視し、暴力を振るっていた悪名高い人たち。だが、村田選手は投稿で、彼らを一方的に批判することはできないとする見解を示した。

村田選手の真意は不明だが、1つ前の投稿で連盟批判を展開をしていることから、連盟の問題に対する新たなメッセージを発信している可能性もある。

村田選手はFacebookに次のように投稿した。

「夜と霧」に出てくる、カポー(同じ収容者でありながら、見張り役など、特別な権利、立場を与えられた収容者)が時にナチス親衛隊より酷い仕打ちをしてきたという話、そのカポーを裁くことが出来るかどうか

フランクルの言う、石を投げるなら、同じ状況に置かれて自分が同じようなことを本当にしなかっただろうかどうかと自問してみること

人を糾弾する前に必要なことだと考えています

世の中にはこのカポーが溢れていることを忘れてはいけないなと、改めて思う今日この頃です

「夜と霧」は、ナチスの強制収容所に入れられ、生還したユダヤ人でオーストリアで暮らしていた心理学者のフランクルが収容所での体験をもとに書いた。壮絶な体験談がつづられ、今なお世界中で読み継がれている。

ビクトール・フランクル

村田選手はこの前の投稿で連盟の助成金流出問題について言及していた。

村田選手は、リオデジャネイロオリンピック(2016年)に出場した成松大介選手への助成金の一部が、連盟の指示で別の選手2人に渡ったことを伝えるニュース記事を紹介し、「そろそろ潔く辞めましょう、悪しき古き人間達、もうそういう時代じゃありません」などと、暗に山根明会長ら連盟幹部を批判した。

今回の投稿では、村田選手が連盟に直接言及することはなかったが、投稿に対しては、連盟の問題と関連づけるコメントが並んだ。

連盟をめぐっては、役員や元選手ら333人が7月27日、試合用グローブなどをめぐる不透明な独占販売やパワハラ、2016年岩手国体での不正審判疑惑、山根氏による連盟の「私物化」ぶりなどを問題視した告発状を日本スポーツ振興センター(JSC)や日本オリンピック委員会(JOC)などに提出した。

山根氏は8月3日、日本テレビ系列の情報番組「スッキリ」に生出演。村田選手について「学生時代はいい選手だった」としつつも、「村田君は1人でメダルを取れる力はありません」と話した。

また、「悪しき古き人間達」という表現について、山根氏は「生意気だよ。あの選手はまだ現役のボクサー。今、言うべき話ではない」と反発した。



Facebook、時価総額1230億ドルを一夜で失う――市場は四半期決算に失望

一晩での時価総額のダウンとしては史上最大だったかもしれない。今日(米国時間7/26)、Facebookの終値は174.89ドルだった。これは昨日の終値、217.50ドルから19.6%のダウンだ(NASDAQ:FB)。

昨日、Facebookの株式時価総額は6296億ドルだった。今日は5062億ドルだ。つまりFacebookは一晩で時価総額を1234億ドルを失ったことになる。

この暴落はデータの不適正使用や大統領選疑惑などのスキャンダルから来たものではない。 Facebookの四半期決算が不満足なものだったからだ。今季、初めてFacebookの成長が停滞した。

Facebookを毎日訪問する人々の数は前四半期と比較してわずかして増えていない。さらに問題はFacebookのユーザーベースがヨーロッパで減少したことだ。Facebookは全体として成長しているが、EUのGDPR(一般データ保護規則)の施行とマーケットの飽和は明らかに同社に対する逆風となっている。

そうした理由から、Facebookは四半期決算発表の形式を初めて変えた。同社は新しい指標として「全社的アプリユーザー数」を発表した。これはFacebook本体だけでなく、Instagram、Messenger、WhatsAppのアプリのどれかを使ったことがあるユーザー数は50億人となっている。

FacebookがInstagramやSnapchatなど短時間で消滅するストーリーに会社の未来があると考えていることは明らかだが、成否が判明するには時間がかかる。現在のところは大きな疑問符だ。InstagramなどのアプリがFacebook本体と同様の収益性を得られかどうかは今後に待つ必要がある。

消えた時価総額を比較する

123,400,000,000ドル、といわれても額が大きすぎて理解しにくい。Facebookのような巨大企業に関連する金額を把握するのは難事だ。TechCrunchのJon

Russell記者が指摘しているとおり、bitcoinの 時価総額は現在1410億ドルだ。つまり一夜にしてbitcoinsが地上から消滅してしまったような額だ。

Facebook株がbitcoin以上に乱高下するなどとは誰も思っていなかっただろう。

Bitcoinよりもっと安定した巨大テクノロジー企業の株価と比べてもこれは巨額の損失だと分かる。たとえばNetflixの時価総額は1580億ドルに過ぎない。Twitterの価値はわずか330億ドルだ。Facebookは一晩でTwitterの4社分の損失を被ったことになる。Snapとなると170億ドルの時価総額しかない。

Facebookはビジネスモデルを変更中

現在のところメディアの興味はFacebookの損失額に集まっている。もちろん同社は驚くべき額を失った。しかし本当に重要ななのはFacebookのビジネスモデルであり、同社がそれをどう変えようとしているかを理解することだろう。

Facebookはこれまで大成功を収めてきた。ハーバード大学の寮の一室からスタートした無名の会社がわずかな期間で世界的企業の一つに成長したという信じられないようなサクセスストーリーだ。しかしFacebookのビジネスモデルは大きな危険性をはらんでいた。企業に高額な広告を販売するためには何千人もの社員がユーザーデータをますます精密に測定しなければならなかった。販売チームが企業にFacebook広告を高価に売りつけることができるのはターゲティングが完璧だったからだ。

こうしたビジネスモデルであれば、広告の価値を最大化するためにはユーザーがFacebookで過ごす時間を最大化しなければならず、そのためにもっとも効果的なのは中毒性が高いプロダクトを次々に生み出していくことだ。ユーザーがFacebookで過ごす時間が長いほど広告を見る回数も多くなるわけだ。

Facebookがいわゆるエンゲージメントの最大化に熱中するのはそうした理由だ。われわれが「いいね」や「うけるね」や「悲しいね」などの反応をすればするほどFacebookの収入はアップする。

今年はFacebookにとって一つの転機となる可能性がある。振り返ってみれば、今回の事件はFaqcebookの成長の歴史の屈曲点を示すことになるかもしれない。ともあれ、Facebookがそのビジネスモデルに潜む構造的課題にどういう回答を用意しているのかはまだ不明だ。

画像:SAUL LOEB / AFP / GETTY IMAGES

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@FacebookGoogle+

(2018年7月27日TechCrunch日本版より転載)

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