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実写版『アラジン』、悪役ジャファーの声は北村一輝さんが担当 「蛇のようなしつこさです」

6月7日に日本で公開されるディズニーの実写版『アラジン』のプレミアム吹替版で、主人公アラジンの敵・悪役のジャファー役の声優を俳優の北村一輝さんが務めることになった。ディズニー公式サイトが、5月10日発表した

『アラジン』のプレミアム吹替版で、主人公アラジンの敵・悪役のジャファー役の声優を演じる俳優の北村一輝さん

今回北村さんが演じるジャファーは、物語において主人公アラジンの敵となる存在であり、得意技は催眠術。

魔法のランプを手に入れ、ランプから現れるジーニーの魔法を悪用して王国を乗っ取ることを企みる邪悪な大臣だ。

 ディズニーの悪役は『ディズニー・ヴィランズ』と呼ばれるが、『アラジン』のジャファーは、『眠れる森の美女』のマレフィセントや『ライオン・キング』のスカーらと共にその中でも高い人気を誇る。

北村さんが吹替を担当する実写版『アラジン』のジャファー(俳優は、マーワン・ケンザリ)

北村さんは自ら声を演じるジャファーについて、「かなり悪いヤツですよ。狡猾さとしたたかさを併せ持っていて、蛇のようなしつこさです」と印象を語り、「悪役の活躍する映画がすごく好きで実写の映画でもそういう役を演じたいと思っていましたので、ジャファーにも魅力を感じていました」とまさに望んでいた役どころだったことを明かした。

声優起用の発表を受け、ネット上では「吹替ではもったいない!実写で観たい」「悪役がハマっている」など期待を寄せる声が多くあがった。

プレミアム吹替版は、「一流の演技力と歌唱力を兼ね備えた豪華キャストたちが、セリフだけでなく歌まで完全に吹き替えた」日本語によるバージョン。吹替の通常版はない。

 実写版『アラジン』は、2019年6月7日に全国公開される予定だ。

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名探偵コナン初の「怪盗キッドカフェ」がオープン 気になる中身は…言い当てられないので行ってみた

劇場版「名探偵コナン」の23作目となる映画「名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)」が4月12日に公開された。

映画で活躍するのが、名探偵コナンのなかでも作品の初期から登場し、根強い人気を誇る「怪盗キッド(黒羽快斗)」だ。

この怪盗キッドにフォーカスした期間限定のカフェが、東京・原宿と大阪・梅田にオープンしている。 

シルクハットから飛び出てきたようなパンケーキ

 東京の店舗では、4月23日時点で早くもすべての予約が埋まってしまったが、大阪では平日に予約がまだ入れられそう。

そんな大人気の「怪盗キッドカフェ」、気になる中身を調べてきた。

店内には、映画のシーンが映し出される。オリジナルグッズも盛りだくさん

JR山手線原宿駅を降り、竹下通りを下っていくと、交差点を超えて少し歩いたところに大きな怪盗キッドのイラストがあしらわれた窓が見えてくる。

怪盗キッドカフェの外観

レンガ建てのビルを2階に上がると、壁一面に怪盗キッドが描かれていた。

 少し薄暗いシックな店内には、プロジェクターで「名探偵コナン 紺青の拳」のシーンが流されている。

カフェに入ると一面に描かれた怪盗キッドのイラストが目を引く

怪盗キッドカフェ内では劇場版「名探偵コナン 紺青の拳」のシーンが流れている

 シックな店内には、入ってすぐの場所に小さなグッズ売り場も。同じく6月2日までオープンしている「名探偵コナンカフェ2019」でも一部グッズを揃えているが、怪盗キッドカフェ限定のオリジナルグッズも人気を集めているようだ。 

怪盗キッドカフェで手に入るグッズ

3種類のアクリルキーホルダー(ランダムチョイス:680円)と、同じく3種の缶バッジ(同:450円)、キッドのイラストが表紙のノート(420円)やキッドのマークが描かれたDURALEXグラス(1350円)は、ここでしか買うことができない。

おしゃれな料理にはこんな仕掛けが…

神出鬼没で華麗な盗みの手口で人々を驚かせる怪盗キッド。

カフェでは、そんなキッドをイメージしたオリジナル料理が並ぶ。

キッドがいつもかぶっているホワイトのシルクハットから、マジックで出てきたようなパンケーキは、キッドが使うトランプカードが添えられている。 その名も「雪解けの三日月」。

シルクハットから飛び出てきたようなパンケーキ

 また、映画の題名にもなっている「紺青の拳(フィスト)」という名前の、ブルーが映えるドリンクも。 

オリジナルドリンク「紺青の拳」

 それぞれの料理にはちょっとした仕掛けとして、キッドらしい個性的な名前がついてる。しかも、命名は作者の青山剛昌先生という。

オリジナルポストカード付き招待状のノベルティーなど、ファンならのどから手が出てしまうかもしれない内容がてんこ盛りだ。 

怪盗キッドカフェで提供されるオリジナル料理

  映画が始まってカフェの注目度も急上昇。オープンから5日で予約満杯に。要因は…

3月13日から予約が始まった怪盗キッドカフェ。このイベントを運営するレッグスの担当者は「コナン関連のカフェでは、誰か一人のキャラクターにフォーカスするのは初めて」と話す。

予約開始当初から、ゴールデンウィークや土日祝はすぐに予約が埋まった。

4月12日に映画が公開されてから、注目度がさらにアップ。23日午後には平日もすべて満杯になった。

大阪は、すでに土日祝日の日程はほぼ埋まっており、平日でいくつか空きがあるという。

2018年の映画では公安警察、私立探偵、そして黒ずくめの組織というトリプルフェイスの「安室透」がキーキャラクターとなり、女性ファンを中心に盛り上がった。

怪盗キッドは名探偵コナンの連載が始まる前から知られているキャラクター。

安室透は75巻「プライベートアイ」で登場し、その後人気が爆発。一方、怪盗キッドは青山剛昌先生の初連載作品で、1987年の「まじっく快斗」の主人公だ。

いわゆる“古参ファン”からの根強い支持もあり、登場回数は少ないものの人気投票では上位の常連となっている。

今回の映画も、初日から10日間の動員が275万人、興行収入は35億円を突破しており、スタートダッシュは「ゼロの執行人」を上回るペースで大ヒットの様相を呈している。

【怪盗キッドカフェ】©青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996

<期間>

2019年4月19日~6月2日

<東京>
HARAJUKU BOX CAFE&SPACE
(東京都渋谷区神宮前4-28-28 Lucessimoビル2階)

<大阪>
UMEDA BOX CAFE & SPACE
大阪府大阪市北区茶屋町16-7 梅田ロフト1階

<予約>

公式サイトからスケジュールを確認して、空きがあれば予約が入れられる

 

 

 


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「アベンジャーズ/エンドゲーム」が映画史上初の記録 世界興行収入、5日で1100億円突破

米マーベル・スタジオの映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」の世界興行収入が公開からわずか5日で10億ドルを突破。映画史上初めての記録だ。

これまでの記録は「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」で、11日間で世界興行収入が10億ドル(約1116億円)を突破。エンドゲームは半分以下の日数でその額を突破した驚異的な作品だと言えるだろう。

エンドゲームの公開から最初の週末までの世界興行収入は12億ドル(約1340億円)で、こちらもこれまではトップだったインフィニティ・ウォーの記録を突破した。米国内でのオープニングの週の興行収入も3億5000万ドルで、新記録となっている。

それもそのはず、エンドゲームには、ロバート・ダウニー・Jr、クリス・エヴァンス、マーク・ラファロ、クリス・ヘムズワース、スカーレット・ヨハンソン、ブリー・ラーソン、ジェレミー・レナー、ドン・チードル、ポール・ラッド、カレン・ギラン、ダナイ・グリラ、チャドウィック・ボーズマン、ブラッドリー・クーパー、ジョシュ・ブローリンらが出演している。

合計すると 「マーベル・シネマティック・ユニバース」 の22本の映画の興行収入は199億ドルに達し、 「アベンジャーズ」 の4本の映画の興行収入は62億ドル近くに達している。

TechCrunchのライターであるJonathan Shieberは、エンドゲームの世界興行収入が爆発的に伸びた「最大のポイントの1つ」は、「中国で公開されたことだ」と綴っている。

「3億3050万ドルの大当たりで、この映画は中国の映画興行収入第1位となり、世界のチケット販売の大部分を占めた」(Shieber)。

(本稿は米国版TechCrunchの記事を翻訳・編集したものです)

[US版TechCrunchの記事はこちら]


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『トイ・ストーリー4』最新の映像とポスターが公開。ウッディとバズの後ろ姿が意味するものとは?(動画)

ディズニー/ピクサーによる映画『トイストーリー4』の最新映像と日本版ポスターが公開された。ディズニー公式サイトが4月19日、発表した。

今回公開された30秒の映像は、主人公であるウッディが”おもちゃの”宿命” と向き合い、葛藤する様子が描かれている。相棒であるバズがウッディに「心の声に従うんだ」と語りかけている。

一方、日本版ポスターには、物語の舞台となる遊園地を前に2人並んでたたずむウッディとバズが描かれ、「あなたはまだ──本当の「トイ・ストーリー」を知らない」との文言が掲載されている。

最新の日本版ポスター

『トイ・ストーリー4』は、約9年ぶりとなるシリーズ最新作。『インサイド・ヘッド』の脚本を担当したジョシュ・クーリーが監督を務める。日本語吹替版では、これまでと同じくウッディ役を唐沢寿明、バズ役を所ジョージが声を担当する。

 『トイ・ストーリー4』は7月12日全国で公開される。


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「スター・ウォーズ 」最新作の予告編公開 ラストはあの人の笑い声が闇の中で…(動画あり)

「スター・ウォーズ」シリーズ最新作の予告編が4月13日(日本時間)に公開された。シリーズ9作目にして完結編。タイトルは「The Rise of Skywalker(ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー)」に決まった。

アメリカ・シカゴで開催されていた「スター・ウォーズ・セレブレーション」でエピソード9の予告編が上映された。日本でも13日午前1時にライブストリーミングで視聴できるようになった。

「The Rise of Skywalker」は、デイジー・リドリー演じるレイが主人公の3部作の完結編で、スター・ウォーズシリーズ9作品の締めくくりでもある。

予告編では、ルーク・スカイウォーカーの声で「我々は全てを伝えた はるかな歴史が君の中に だがこれは君の戦いだ」「我々は常に君とともに 誰一人消え去っていない」とナレーションが入る。

オリジナルのレイア姫を演じた故キャリー・フィッシャーさんがレイと抱き合う姿も映し出された。最後は、銀河帝国皇帝・パルパティーンと思われる不敵な笑い声が闇の中に響いて終わる。

映画は今年12月に公開予定。


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日本人は“意識の鎖国”をいつまで続けるのか。ー改正入管法施行ー

 2019年、日本では入管法の改正により移民政策が大きな転換を迎える。12月 の臨時国会で与党が野党の反発を押し切る形で委員会採決を強行し成立させたこの法案。メディアの議論も毎日炎上していたので、いまだ強い関心を持っている人は少なくないだろう。(もしくは、安倍首相が審議に臨む前に「ややこしい質問」を受けなければいけないと言い、国会を愚弄したことを覚えている方も多いに違いない。)とうとうそれが本日4月1日に施行された。

 この改正された入管法はそもそも、少子化と人手不足だから外国人を受け入れるべき、という極めて安易で乱暴な理屈から無理矢理作り上げられた法案である。当然「議論が拙速だ」という批判に晒されてきた。  

 この法律は、素人の僕が見る限りでも「表面的な喫緊の問題点」が少なくとも2つある。

①法案通過時、在留資格として特定技能の14業種(建設業、農漁業、宿泊業など)の名前を挙げたのみで、各業種の受け入れ規模・人数上限についても何も決めず、「通過してから省令で決める」という省庁への丸投げ、白紙委任であった点。3月に法務省が14業種をさらに詳しく規定したが、12月の時点で箱の中身はからっぽだった。移民政策の根幹に関わる法案の実質が、省庁のブラックボックスで決められ、政治が責任を負わないのはおかしい。 (https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai3/siryou1-2.pdf

②今回の法案のベースとも言える、現行の技能実習生制度の問題点が改善されるか非常に疑わしい点。劣悪な労働環境、賃金未払い、雇用者の暴力など醜悪な実態が糾弾されている外国人技能実習生の実態が、野党議員の追求により明らかとなった。

 この法案を読んで驚愕するのは、日本が、移民について理念なきまま、場当たり的システムを作るという愚を犯していることだ。上で述べた「表面的で喫緊の問題」よりももっと深いところに問題の本質があるのに、それをスルーしてしまっている。本稿では、これについて言葉を尽くしたい。  

 そもそも現在日本は、対外的に移民を認めていない国家であり、単純労働による在留資格は認めていない。その背後には、単純労働が移民流入の大きな呼び水となるという考え方がある。しかし、今回の改正入管法の「特定技能1、2号」こそ、単純労働にもなりうるし、移民受け入れの枠組みになりうる。特に家族帯同もOKで、在留期間の上限は設定されておらず、(3年/1年/6か月ごとの)在留期間を更新ができ、10年以上在留などの条件を満たせば永住申請も可能となる。つまり、「特定技能2号」は、外国人からみれば“移民&定住コース”に見える。

 一方、政府の見解としての「移民」の定義は、入国の時点で永住権を与えられた外国人であり、それはやっていないから日本は「移民受け入れ」をしていないという立場だ。入国時に永住権がもらえるなんて世界中どこでも難しいだろう。そんな常識外れのトンデモ定義により、「移民受け入れナシ」という日本のタテマエが担保されている。

 つまり、新たな入管法の本質的な問題は、明らかに移民を受け入れる移民法であるにも関わらず、政府が認めずに、本音よりタテマエで塗り固め、現実に即さない制度になりつつある点である。

これは、意識の鎖国である。

 今の日本社会を見れば、コンビニでも、工場でも、ホテルでも、畑でも、漁船でも、外国人の労働力は重宝されている。日本人がやりたがらない仕事をやるというよりも、今や日本人よりよっぽど優秀でまじめだから、という声もよく聞く。

 上から目線で外国人を線引きするよりも、ドイツのように移民と「共生」を打ち出し、彼らをよりよく理解し、日本社会とうまく融合してゆけるよう、日本人自身も変わってゆくシステムこそが、時代に即しているのではないだろうか。

 「意識の鎖国」は何も日本だけの問題ではない。世界に目を移してみれば、移民問題はいま、地球規模のイシューとして年々深刻化している。それは、グローバリゼーションがもたらした流動性などという生易しいものではなく、シリア、イラク、ミャンマー、南スーダンなど、苛烈極まりない内戦により、国を追われた難民が世界中に押し寄せ、それまで統制の摂れていたシステムを破綻させているのが大きな要因だ。トルコを経てEU諸国に押し寄せるシリア難民をブロックしようとハンガリーをはじめとする各国が躍起になっているのはよく知られているが、欧州だけではなく、移民流入をなんとか押し返そうという感情的な拒否反応は、いま世界中で見られる。

 この「意識の鎖国」は、果たして解決不可能な永続問題なのだろうか?

2018年11月東京・有楽町で開催された国際映画祭「東京フィルメックス」では、カンヌ、ベネチアでプレミア上映されたクオリティの高い作品が多く上映されたのだが、そこでは移民や辺境に追いやられた民族というテーマがひと際目立っていた。母国で居場所を見出だせず、虐げられ、社会の隅っこに追いやられる人々を描いた作品がひとつの潮流を形作っていた。

 フィルメックスの最高賞グランプリを受賞した「アイカ」(セルゲイ・ドボルツェヴォイ監督)は、モスクワで不法滞在するキルギスタンからの移民女性アイカの人生を活写した。コンペで上映された「幻土 A Land Imagined」(ヨー・シュウホァ監督)は、アジアの交通の要衝・シンガポールに集中する多国籍の移民労働者が、富裕層と貧困層のどうにもならぬ格差が広がり続ける資本主義の矛盾に翻弄される姿を追う。彼らの存在の脆さ、儚さが見る者の胸を締め付けた。タイのプッティポン・アルンペン監督「マンタレイ」は、ロヒンギャ難民とミャンマーの漁民の友情(もしくはゲイ・ラブ)を描いた秀作であった。

 内戦やテロ、差別で迫害され社会の隅に追いやられた人々が、難民/移民として世界各国に広がっているという現代の不条理を、世界の映画作家たちは逼迫した問題として受け止めていた。彼らが「自分と異なるものを排除しようとする」排斥主義について沈思してゆく姿勢はとても誠実であり、かつそこに大切な哲学がある気がした。

 人類史を振り返れば、人間はずっと自分と他者を差別化する境界線を引き続けて来た。中世のヨーロッパでも、江戸時代の日本でも、支配者による封建制度は、強固な身分制度に基づいていた。それが、強者が弱者をコントロールするために必要なシステムだったからだ。しかし、そんな身分制度が(一部を除き)なくなった現代でも、人種差別、宗教の違い、肌の色、民族の違いで、人間は別の境界線を引き、互いの差別化は終わらない。本来人間は平等という本質は、多くの人が理性では分かっているはずなのだが、いつの間にか有名無実化し、一部の人間が他者(ときに部外者)から身を守る手段として、境界線を引き続けるというのは、決して止まない。人間の性(さが)といっても良いだろう。

 手前味噌ながら、私は拙作劇場用映画「ポルトの恋人たち 時の記憶(原題LOVERS ON BORDERS、主演柄本祐、中野裕太、アナ・モレイラ。監督舩橋淳)」で、まさしくこの人類が抱える「境界線を引き続ける性」をテーマとした。18世紀のポルトガルと、21世紀オリンピック後の日本。二つの時代と二つの国を横断する異色のラブミステリーである。

 第一話は、1755年首都を壊滅させたリスボン大震災(東日本大震災と同じマグニチュード9.0)直後のポルトガルにやってきた日本人奴隷たちが、身分制度が強固なポルトガル社会で苦難を生き抜いてゆく物語。第二話は近未来2021年の日本、派手にぶちまけた東京オリンピックが一段落し、人々がその巨大な累積赤字と向き合い、もはや誤摩化せない暗い未来を自覚した時、移民排斥に駆り立てられるだろうというお話だった。

 この二話からなる映画で僕が考えようとしたのは、時代と国が変われども、ずっと存在し続け、弱者を迫害する装置となる《境界線》の意味だった。

《境界線》を引き続ける限り、「意識の鎖国」は消え去らない。

いまの日本に根強くあり、入管法の限界となっているのも、これだ。

入国管理局が蔓延させる外国人労働者のイメージもおかしい。

旧入国管理局(4月1日より法務省から独立し、入国在留管理庁に組織改編)が蔓延させてきた外国人労働者のイメージもおかしい。

 旧入管は、いまだ不法外国人労働者を取り締まる機関という趣向が強いし、それは、外国人労働者が増えれば治安が悪化するからと言われている。実際のところ「外国人が増えると犯罪が増加する」事実はない。排外主義の右派による移民反対のプロパガンダでよく唱えられている「治安の悪化」は、まったくのフェイクであることを強調しておきたい。 

 この外国人労働者=悪というイメージは、むしろ外国人に対する無理解を加速させ、社会を分断するだけだ。そんな馬鹿げたイメージから、我々市民も政治家も解放されなければならない。

 旧入管のように外国人を「管理・摘発」する機関ではなく、「支援・保護」するような多文化共生庁として、入国在留管理庁を位置づけるべきではないか、という指摘も多いが、尤もだと思う。違いを《悪》とする同調圧力ではなく、違いを多様性として《是》とするシステムが求められているのだ。

改正入管法施行により、これから移民はどんどん増えるだろう。

日本で家族とともに生きる人生設計をする外国出身の人々が増えてゆく。

しかし、移民の実態に対する理解と覚悟を政府が持たず、また国民に持たせない、「意識の鎖国」のツケがたまり続けるとどうなってしまうのだろうか?

さらなる差別や軋轢の原因になってしまうのではないか? 

多くの人は、このことにもう気づいているだろう。 

僕たちは、移民と共生をさぐる環境システムを生み出すべき地点に立っている。

 国は、潔く「移民」を認めるべきだ。定住者には、社会の一員として選挙権や社会福祉を享受できるよう門戸解放をすべきだろう。それが、世界レベルでの日本人の意識の成長を促すに違いない。

舩橋淳 プロフィール

映画作家。東京大学卒業後、ニューヨークで映画制作を学ぶ。『echoes』(2001年)から『BIG RIVER』(2006年)『桜並木の満開の下に』(2013年)などの劇映画、『フタバから遠く離れて 第一部・第二部』(2012,14年)『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』(2016年)などのドキュメンタリーまで幅広く発表。日本人監督としてポルトガル・アメリカとの初の国際共同制作『ポルトの恋人たち 時の記憶』(主演・柄本祐、アナ・モレイラ)は、2018年度キネマ旬報主演男優賞(柄本祐)に輝いた。

「映画は四角いスクリーンという<窓>=フレームを通して、現実を切り取り、編集し、社会で公開される芸術。目の前にある雑多な現実に対し、ある一つのフレームを与え、それを通して今まで見たことのない世界の深みに気づかせてくれる、そんなコラムを書きたい。」

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『Bao』がアカデミー短編アニメ映画賞に輝く。ピクサー映画で初の女性監督の快挙「あなたのストーリーを世界へ語ることを恐れないで」

『Bao』のドミー・シー監督(右)とプロデューサーのベッキー・ニーマン・コブさん(左) 2019年2月 第91回アカデミー賞

小さな中華まんのお話がアカデミー賞を受賞した。

『インクレディブル・ファミリー』と劇場で同時上映された短編映画の『Bao(バオ)』は、アメリカ・ロサンゼルスで2月24日(現地時間)に行われた第91回アカデミー賞で、短編アニメ映画賞を受賞。

これは、ピクサー映画監督で初の女性、初のアジア人である中国系カナダ人のドミー・シー監督の受賞という快挙となった。

「スケッチブックの後ろに隠れているすべての内気な女の子たちへ。あなたのストーリーを世界へ語ることを恐れないで」

「みんなを驚かせるかもしれないけど、それで彼らと繋がることもできる」

プロデューサーのベッキー・ニーマン・コブとともに賞を受け取ったシー監督は観客に呼びかけた。

『Bao』のワンシーン

作品は、息子が成長し家を離れて寂しくてたまらない中国人の母親を中心に描かれている。ある日、手作りの中華まんにかわいい命が宿り、もう一度母親となる。しかし、中華まんの男の子「バオ」も、永遠に小さく可愛いわけではなく…。

物語はカナダ・トロントの中国人コミュニティを舞台に展開し、シー監督の一人っ子で育った経験がベースとなっている。

映画では、多くの移民の子供が経験する、母国(この映画では中国)と西洋文化の間での葛藤を表現し、称賛を浴びた。

多くのアジア人観客は、映画で描写される身近なモノ・コトに共感し称賛したが、アジア人以外の観客の中には、内容をややこしく感じた人もいたようだ。

それでもソーシャルメディアでは、
「最高にキュートな映画!」「感動して号泣した」
など作品を讃えるコメントが多く寄せられた。

Grate-full. ❤️ Bao is now an Academy Award-winning short! #Oscarspic.twitter.com/RcJegSvZX0

— Disney•Pixar (@DisneyPixar) February 25, 2019

 

また、受賞に対しアジア人からは、
「受賞おめでとう。この物語は私のような移民家族にとってとても意味があります。家族の大切な愛と喪失を描いてくれてありがとう。」
と、心温まるメッセージも見られた。

『Bao』は『インクレディブル・ファミリー』のDVDとブルーレイにボーナス・コンテンツとして収録されている他、短編映画だけを集めた『ピクサー・ショート・フィルム Vol.3』にも収録されている。

『ピクサー・ショート・フィルム Vol.3』ブルーレイ(3,800円+税)、DVD(3,200円+税)発売中、デジタル配信中© 2019 Disney/Pixar https://www.disney.co.jp/studio/animation/1483.html

 

ハフポストUS版の記事を翻訳、編集、加筆しました。


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スパイク・リー監督、ついにオスカー受賞。黒人差別や社会問題描く、力強いスピーチに賞賛集まる

スパイク・リー監督ら『ブラック・クランズマン』のスタッフ。

「第91回アカデミー賞」授賞式が2月24日(日本時間25日)、アメリカ・ロサンゼルスで行われ、スパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』が脚色賞を受賞した。

『ドゥ・ザ・ライト・シングス』や『マルコムX』など、人種差別を描いたブラック・ムービー(黒人映画)など、社会性の強い作品を数多く手がけてきたリー監督。

1990年に『ドゥ・ザ・ライト・シングス』が脚本賞にノミネートされてから、約30年経って念願のオスカー受賞となった。

リー監督は壇上に上がると、プレゼンターを務めたサミュエル・L・ジャクソンと抱き合い、喜びを爆発させた。

 最新作となる『ブラック・クランズマン』は、コメディ要素も含むエンターテインメント作品だが、ヘイトクライムなどの人種差別問題に揺れる現代のアメリカを痛烈に風刺している作品だ。

スピーチでは、元奴隷の母親を持つ、自身の祖母について話す場面も。2020年に控えた大統領選に言及し、「愛と憎しみの間で、道徳的な選択をしましょう」と力強く訴えた。

「400年にわたって、私たちの祖先はアフリカから盗まれ、バージニアに連れてこられ、奴隷にされました」

「私たちの祖先はその土地で、朝と夜がくる瞬間を見ることができない時間まで働きつづけました。100歳まで生きた私の祖母は、母親が奴隷だったにも関わらず、大学を卒業しました。祖母は私の学費のために約50年間の公的年金を貯めて、私をニューヨーク大学(NYU)大学院の映画学科に入れてくれました。彼女は私をスパイキー・プーと呼びました」

「今夜、私たちの国を築き上げた先祖たちを、大量虐殺の犠牲になった私たちの先住民とともに、賞賛を与えたいと思います。人間らしさを取り戻すために、私たちはみな祖先で繋がっています」 

最後には、2020年に迫っているアメリカ大統領選について言及。

「愛と憎しみの間で、道徳的な選択をしましょう」と語り、自身の作品のタイトル『ドゥ・ザ・ライト・シング』にかけて、「正しいことをやりましょう(Let’s do the right thing!)」と訴えた。

「きっとパワフルな瞬間になるでしょう。2020年の大統領選挙はもうすぐです。みんなで集まって、歴史の正しい場所にいるようにしましょう。愛と憎しみの間で、道徳的な選択をしましょう。正しいことをやりましょう!」


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アカデミー賞、全部門のノミネート作品一覧 ネトフリ初の受賞なるか?

2月24日(日本時間25日)、映画の祭典「第91回アカデミー賞授賞式」が開催される。

多様な作品や顔ぶれが並ぶなか、日本からは外国語映画賞に是枝裕和監督の『万引き家族』、長編アニメ映画賞に細田守監督の『未来のミライ』がノミネートした。

以下、アカデミー賞全部門のノミネート作品を紹介する。授賞式の模様は、25日午前8時30分からWOWOWで中継される。

Netflix初のアカデミー賞なるか? 「ROMA/ローマ」に注目集まる

【作品賞】

ブラックパンサー
ブラック・クランズマン
ボヘミアン・ラプソディ
女王陛下のお気に入り
グリーンブック
ROMA/ローマ
アリー/スター誕生
バイス

作品賞は、ノミネートした8作品のうち、5本が黒人などの非白人が主役級の役割を努めており、多様性に富んだラインナップといえる。

激戦が予測されているが、なかでも行方が気になるのが、最多10部門でノミネートしている「ROMA/ローマ」だ。動画配信サービスNetflixが製作・配信したこの作品を、保守的なアカデミー会員がこの作品をどう評価するか、注目が集まっている。

【監督賞】

スパイク・リー 「ブラック・クランズマン」
パヴェウ・パヴリコフスキ 「COLD WAR あの歌、2つの心」
ヨルゴス・ランティモス 「女王陛下のお気に入り」
アルフォンソ・キュアロン「ROMA/ローマ」
アダム・マッケイ 「バイス」

「ROMA/ローマ」よりマハーシャラ・アリとヴィゴ・モーテンセンが共演した「グリーンブック」。実話を元にしたストーリーで、黒人ピアニストとイタリア系男性の友情を描く。同作も作品賞の有力候補だ。

 【主演男優賞】

クリスチャン・ベイル 「バイス」
ブラッドリー・クーパー 「アリー/スター誕生」
ウィレム・デフォー 「永遠の門 ゴッホの見た未来」
ラミ・マレック 「ボヘミアン・ラプソディ」
ヴィゴ・モーテンセン 「グリーンブック」

【主演女優賞】

ヤリッツァ・アパリシオ 「ROMA/ローマ」
グレン・クローズ 「天才作家の妻 40年目の真実」
オリヴィア・コールマン 「女王陛下のお気に入り」
レディー・ガガ 「アリー/スター誕生」
メリッサ・マッカーシー 「ある女流作家の罪と罰」 

映画『ボヘミアン・ラプソディ』で、クイーンのフレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレック。主演男優賞にノミネートされた。「女王陛下のお気に入り」で、イギリスのアン女王を見事に怪演したオリヴィア・コールマン。主演女優賞の本命と言われている。

是枝裕和監督の「万引き家族」もノミネート

【助演男優賞】

マハーシャラ・アリ 「グリーンブック」
アダム・ドライヴァー 「ブラック・クランズマン」
サム・エリオット 「アリー/スター誕生」
リチャード・E・グラント 「ある女流作家の罪と罰」
サム・ロックウェル 「バイス」

 【助演女優賞】

エイミー・アダムス 「バイス」
マリーナ・デ・タビラ 「ROMA/ローマ」
レジーナ・キング 「ビール・ストリートの恋人たち」
エマ・ストーン 「女王陛下のお気に入り」
レイチェル・ワイズ 「女王陛下のお気に入り」 

【外国語映画賞】

カペナウム(原題) 製作国:レバノン
COLD WAR あの歌、2つの心 製作国:ポーランド
ネバー・ルック・アウェイ(原題) 製作国:ドイツ
万引き家族 製作国:日本
ROMA/ローマ 製作国:メキシコ

カンヌ国際映画祭の最高賞、パルムドールを受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」。外国語映画賞にノミネートしている。「マルコムX」のスパイク・リー監督による「ブラック・クランズマン」は、6部門にノミネートした。同作では、「マルコムX」に出演したデンゼル・ワシントンを父に持つジョン・デビッド・ワシントンが主演を務めた。

【脚本賞】

女王陛下のお気に入り
魂のゆくえ
グリーンブック
ROMA/ローマ
バイス

【脚色賞】

バスターのバラード
ブラック・クランズマン
ある女流作家の罪と罰
ビール・ストリートの恋人たち
アリー/スター誕生

【撮影賞】

COLD WAR あの歌、2つの心
女王陛下のお気に入り
ネヴァー・ルック・アウェイ(原題)
ROMA/ローマ
アリー/スター誕生

【編集賞】

ブラック・クランズマン
ボヘミアン・ラプソディ
女王陛下のお気に入り
グリーンブック
バイス

【美術賞】

ブラックパンサー
女王陛下のお気に入り
ファースト・マン
メリー・ポピンズ リターンズ
ROMA/ローマ

【衣装デザイン賞】

バスターのバラード
ブラックパンサー
女王陛下のお気に入り
メリー・ポピンズ リターンズ
ふたりの女王 メアリーとエリザベス 

【メイク・ヘアスタイリング賞】

ボーダー(原題)
ふたりの女王 メアリーとエリザベス
バイス

【作曲賞】

ブラックパンサー
ブラック・クランズマン
ビール・ストリートの恋人たち
犬ヶ島
メリー・ポピンズ リターンズ

【歌曲賞】

“All The Stars” 「ブラックパンサー」
“I’ll Fight” 「RBG 最強の85才」
“The Place Where Lost Things Go” 「メリー・ポピンズ リターンズ」
“Shallow” 「アリー/スター誕生」
“When a Cowboy Trades His Spurs for Wings” 「バスターのバラード」

【録音賞】

ブラックパンサー
ボヘミアン・ラプソディ
ファースト・マン
ROMA/ローマ
アリー/スター誕生

【音響編集賞】

ブラックパンサー
ボヘミアン・ラプソディ
ファースト・マン
クワイエット・プレイス
ROMA/ローマ

【視覚効果賞】

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
プーと大人になった僕
ファースト・マン
レディ・プレイヤー1
ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

【長編アニメ映画賞】

インクレディブル・ファミリー
犬ヶ島
未来のミライ
シュガー・ラッシュ:オンライン
スパイダーマン:スパイダーバース

「ブラックパンサー」より「未来のミライ」

【長編ドキュメンタリー賞】

フリー・ソロ(原題)
ヘイル・カウンティ(原題)
マインディング・ザ・ギャップ(原題)
父から息子へ ~戦火の国より~
RBG 最強の85才

【短編ドキュメンタリー賞】

ブラック・シープ(原題)
エンド・ゲーム:最期のあり方
ライフボート(原題)
ア・ナイト・アット・ザ・ガーデン(原題)
ピリオド 羽ばたく女性たち

【短編アニメ映画賞】

アニマル・ビヘイヴィア(原題)
Bao
Late Afternoon
One Small Step
ウィークエンズ(原題)

【短編実写映画賞】

ディテインメント(原題)
野獣
マルグリット
マザー(原題)
スキン(原題)


No Picture

佐藤健×青木崇高インタビュー 「人との信頼は、やるべきことを粛々とやる中で生まれてくる」

佐藤健さん、青木崇高さん

日本のマラソンの発祥とされる江戸時代末期の「安政遠足(あんせいとおあし)」を題材にした映画、『サムライマラソン』が2月22日(金)に公開される。

土橋章宏さんの小説「幕末まらそん侍」を原作に、『アンナ・カレーニナ』などで知られるバーナード・ローズ監督がメガホンを取った。

豪華キャストが揃った同作では、佐藤健さんと青木崇高さんが『るろうに剣心 伝説の最期編』以来、約4年ぶりに共演した。過去に経験したことがないほど「自由」な現場での映画作りに驚いた、と話す佐藤さんと青木さん。

日本の映画界、ドラマ界をリードしつづける2人にインタビューした。

佐藤健さん、青木崇高さん

——「るろうに剣心」以来の共演ですが、お互いの印象は?

佐藤:初めてご一緒したのは「龍馬伝」(2010年)なんですけど、その頃は桐谷健太さんと共演する機会が多かった時期で。

そのタイミングでムネくんに会って思ったのが、「桐谷健太に似てるな」と(笑)。ノリとか喋り方とか、話した感じが。それが第一印象です。

現場を盛り上げてくれますし、本番中は、台本で描かれていない「行間」を芝居で埋めてくれるんですよ。すごく甘えてしまいますし、頼りにしてしまいます。

青木:もう10年くらいの付き合いになるね。

その時、タケは主演をバンバンやってて、ちょうど過渡期だったと思うんですけど。同じ世代の中でも落ち着きが違うというか、この落ち着き払った悟りに近い雰囲気はどこから出てるんだろう、という驚きはありました。自分がタケの年齢の時はもっとジタバタしていたんで(笑)。

数年後『るろうに剣心』で共演した時に、いろいろなものを背負っている人になったな、と思いまして。

2人で取材を受けるのはひさしぶりなので、気恥ずかしいところもありますが、座長としてみんなを引っ張ってくれる部分があるので、すごく信頼しています。

——主演として、佐藤さんはプレッシャーや責任感とどうやって向き合っているのでしょうか。 

佐藤:自分は、そこまで何かを背負っている、という意識は持っていないんですよね。

あまり率先して現場を盛り上げるタイプでもないですし、とにかく自分がやるべきことを最大限の力でやることが、主役として1番大切なことだと思っています。

 映画のスタッフは職人気質の人が多いので、実はそういう姿を見せることが1番大事だったりするんです。無駄な会話は不要だったりする。

「あいつはしっかりやってる。だから支えよう」という気持ちとか、信頼というものは、自分がやるべきことを粛々とやる中で生まれてくるものだと思ってます。

青木:リハーサルの動きとかを見ると、彼はしっかり用意してきている、ということが伝わってくるんですよ。そこでお互い、作品に向かう熱意みたいなものはすべてわかりますよね。

やるべきことをしっかりやっていれば、見ている人はちゃんとわかってくれますから。

——今回は監督をバーナード・ローズ氏が務め、プロデュースは『ラストエンペラー』などを手がけたジェレミー・トーマス氏が担当しています。日本と海外のスタッフで作り上げた作品ですが、現場の雰囲気は?

佐藤:現場というか、「映画の作り方」そのものが、過去経験してきたものと比べて何もかも違ったんですよ。

 「今まで俺らは何をやっていたんだ?」と思うくらいに(笑)。

青木:なまじ経験があると、その経験が邪魔になってしまう時ってあるじゃないですか。今まで歩んできた道を引き返して、振り出しに戻らないとこの道は進めない、というか。そんな感じですね(笑)。

——(笑)例えばどういうところが?

佐藤:台本に書いてあることを言っても言わなくてもいいよ、みたいな。もはや「自由」と言ってもいいのか疑問に思うほど自由で(笑)。

 とはいえ、相手の反応も考えなくてはいけないし、最低限の「約束」みたいなものはちゃんと作った方がいいんじゃないか、という葛藤もあって。

シーンを撮影する前に、その役がどういう気持ちでいるか、そういった話は監督とちゃんとするんです。そこに1番時間をかけたら、あとはもう気持ちが思うがままに、「好きにやってくれ」と。

だから、監督から見えないところで相手の役者さんと水面下で「こうなりそうだな」と話し合ったりもしました。それが、いざ本番が始まると全然想定していないことが起きたりして。 

つまりざっくり言うと、ライブ感のある現場でしたね。

青木:ライブ感という言葉に加えて、「ざっくり」という言葉が大事なんですよ、これは。本当に、「どうなっても知らないよ?」というか(笑)。常にアンテナを立てながらやっている状態ですよ。

ーー普段はもっと事前に決まっていることが多いんですか?

佐藤:今回は、リハーサルすらないような現場でしたから。生まれて初めてやる芝居から撮りたい、リハやテストはやらない、という感じでした。そのシーンの一発目からやる、という。 

役者陣は、それをむしろ楽しんでやっている人が多かった。ただ、日本のスタッフの方々は本当に混乱していましたね。

このキャストじゃなかったらどうなっていたんだろう、と。そういう状況に燃えるタイプというか、自分で考えて作り上げていくことが好きなキャストが多かったから成立したんだと思います。

青木:たしかに、そこに抵抗を感じる役者が一人でもいたら、成り立たなかったかもしれないですね。

ーーすごく刺激的な現場だったのでは、とも思います。この作品は海外でも需要が高い「サムライ映画」なので、世界も視野に入れているのかな、と思ったんですが…。

佐藤:そうですね。ハリウッドの現場も経験してみたいですし、そういう意味では、すごく貴重な経験でした。

ハリウッドはただ単純に予算の規模が大きいとか、それだけじゃなくて。彼らの技術力や映画を作る方法論って、やっぱり頭一つ飛び抜けていると思うんです。それを勉強したいという思いもやっぱり持っているので。

それと同時に、日本で我々がいつも作っている作品を、どうしたら世界の人たちにもっと届けられるんだろう、という風にも思います。

青木:世界に日本のコンテンツを届けていく、という話は、「面白い作品を作る」の前段階で必要な話ですよね。

いいものを作るということを大前提にしながら、戦略的にその作品を海外のマーケットでも売ることをしなくてはいけない。意外と、海外ではしっかり評価されているのに、逆に日本ではあまり知られていなかったりする作品もありますし…。

ーー日本のコンテンツを世界に届けていく、ということですよね。今はNetflixなどの配信サービスで、世界の人にコンテンツを届けられるようにもなっています。お2人はNetflixで見てもらうことに抵抗はありませんか?

佐藤:映画館で観てもらうのが1番嬉しいとは思うものの(笑)、他で観てくれても十分嬉しいですよ。

青木:カメラを構えている側としては、「映画館で観られる」ことを想定して撮影をしているんですよね。だから、本来は劇場で観ていただきたいんだけどね、と思いつつも、やっぱり観ていただくこと自体がありがたい話なので。

映画の見かたはどんどん変わっていってますからね。 

ーー佐藤さんも青木さんも、3月に誕生日を迎えられます。佐藤さんの、30代の目標は?

佐藤:それが、まだ30歳のビジョンみたいなものが明確に定まっていないんですよね。

どちらかと言うと、「20代が終わってしまう。何かやり残したことはないか」という気持ちが強い状態で2018年を駆け抜けてきたので、先のことをそこまで考えていなくて。

20代の自分を残しておきたいという思いがあって、とにかく作品を増やそうと思っていたんです。 制服を着る役とか、これからやれなくなってしまう役もあるじゃないですか。それを今逃してしまうと一生手放すことになるので、悔いがないように今やろう、という思いでいました。

だから…今のところは目標がないんだよなぁ(笑)。とにかく目の前にあるものに精一杯取り組んで、30歳になった時に考えていこうと思います。

ーー青木さんは39歳に。40代を前にして、どんなキャリアを歩みたいと思いますか?

青木:僕は、あまり30代とか40代とか気にしてはいないんですよね。でも、50代を楽しめるようにしていきたい、とは思いますね。

パッと今思いついたのは、海岸で白い流木を投げて、でっかいワンちゃんがくわえて戻ってくる、みたいな光景ですねぇ(笑)。あれ、割とやりたいなと思いますね。

ーードラマのような…(笑)。

青木:ちょっと大きめの麦わら帽子をかぶって、奥さんが「朝ごはんできたわよ」って声をかけてくる、みたいな。

とにかく日々が充実していて、その時の自分が自分自身に納得を持って生きている状態がいいな、と思います。

まだ未知のことがたくさんありますし、いろいろなことに刺激を受けていって、年を取っても面白い人生を送れるようにしたいですね。

『サムライマラソン』

2月22日(金)TOHOシネマズ 日比谷 他 全国ロードショー

出演:佐藤健 小松菜奈 森山未來 染谷将太

青木崇高 木幡竜 小関裕太 深水元基 カトウシンスケ 岩永ジョーイ 若林瑠海/竹中直人

筒井真理子 門脇麦 阿部純子 奈緒 中川大志 and ダニー・ヒューストン

豊川悦司 長谷川博己

監督:バーナード・ローズ

原作:土橋章宏「幕末まらそん侍」(ハルキ文庫) 脚本:斉藤ひろし バーナード・ローズ 山岸きくみ


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