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「丸三角シカク」とは何者か? 謎の“超普通系”バーチャルYouTuberにインタビュー

丸三角シカク

YouTube上で架空のキャラクターを演じる「バーチャルYouTuber」が大流行しているが、そんな中でも飛びきりの個性派が登場した。

その名は「丸三角シカク」。「普通も普通、とにかく普通、骨の髄まで普通」と主張しているセーラー服姿の少女だが、デビュー曲の「天空処女」は往年のP-MODELを彷彿とさせるテクノポップ、2番目に発表した「○△□」はヒップホップ風。

作詞・作曲も手がけて、歌って踊れる「バーチャルYouTuber」という特異な存在だ。楽曲の奇妙な中毒性にハマる人が続出している。

10月7日の投稿開始からまだ2週間程度だが、一部のネットユーザーにカルト的な人気を集め始めている。ハフポスト日本版では、丸三角シカクさんにインタビューした。

 

■カスタムキャストで「これなら私でも出来る!」

—バーチャルYouTuberとしての活動を始めたきっかけは何ですか?

キズナアイさんミライアカリさんなどが台頭し始めた当初から、バーチャルYouTuberには興味があったのですが、決め手になったのはミソシタさんの登場ですね。私はもともと以前から同人音楽家として活動しているので、創作家の情熱を奮い立たせるようなミソシタさんの楽曲やスタンスを目の当たりにして「私も後に続きたい!」と思うようになりました。

ただ私はVRや立派なPCを持っていなかったのでなかなか実行に移せなかったのですが、スマホで簡単に3Dキャラクターが作れる「カスタムキャスト」というアプリが流行り出したのを知って「これなら私でも出来る!」と。

— 「丸三角シカク」という名前の由来は?

この名前は、私が私(丸三角シカク)として活動する以前から、色んな創作物で使っていた名前です。ゲームのキャラクターだったり、小説の登場人物だったり。名前自体に深い意味はありませんが、お気に入りなんです。

— 「普通系」バーチャルYouTuberを名乗っている割には、趣味が個性的なのはなぜですか?

カスタムキャストをインストールしてとりあえず私の身体が生まれた時、自分の趣味を惜しみなく注ぎ込んだつもりのこの身体が、バーチャルYouTuberとしてデビューするにしては余りにもインパクトが無い事に悩んでたんです。だったらいっそのこと、「普通」という個性を掲げて参入してやろうと思い、このコンセプトが決まりました。

ただ、動画や創作物では自分の好きな物から外れたものを送り出すことはしたくなかったので、少しだけメインストリームから外れたものになってるかもしれない、という事ですかね。正直あまり意識してなかったです…笑

でも私の音楽の趣味なんかを見て「まぁ、普通だな。」って思える感覚の人も沢山いらっしゃると思うので、実際はどうなのかは分かりません。

— 平沢進さんの音楽のどんなところが好きですか?

平沢音楽の良さは「美しさ」と「遊び心」がどちらも高密度で共存しているところだと思います。

クラシカルなサウンドにテクノのリズムを合わせたり、楽曲構成はロックンロールなのに荘厳な雰囲気を持っていたり、意味不明な歌詞でも日本語の持つリズムの面白さを強調していたり…私達が思い付きもしないようなアイデアを平然とやってのけた上で飄々としているところに、憧れてしまいますね!

— 「天空処女」はP-MODELや、平沢進さんの影響が強く見られる曲ですが、どんなコンセプトで作りましたか?

天空処女は、友人との他愛もない談笑がキッカケで、歌詞から先に生まれた曲です。女の子が初めて出すオリジナル曲にしてはタイトルが際どいのは、私(丸三角シカク)が歌うことが後から決まったからですね。

ここで歌われる「天空」という言葉は、「自意識や自己肯定感が著しく高く、半ば暴走している人や、その様」を指します。要するに自分や自分の創作物に酔いまくっている人ですね。

先述の談笑の中で「私達はもはや天空だよね笑」といった形で誕生しました。実は私もなかなかの”天空”なので、それにまつわる失敗談が沢山あるのですが、天空処女の歌詞はその1つを元に書いたものです。

サウンドが完全にP-MODELになってしまったのは、こういった経緯があったので何も考えず自分の趣味をブチ込んでしまったからです笑

平沢進ファンの方々からも予想外の反響を頂いてて、驚いています。

— 「○△□」は打って変わってヒップホップ系の曲ですが、これを作った理由は?

これは、私のオリジナル曲としてちゃんと作りました!笑

私は最近ヒップホップにかなりハマってて、「○△□」を作る直前も日本のヒップホップばかり聴いてました。ヒップホップって、自分の事を歌ってる曲が多いんです。「俺はここから絶対成り上がる」とか「俺はスーパースター。金の雨を降らすぜ」みたいな。

私は、次の曲は自分の名刺代わりに出来ると同時に「バーチャル」っていう自分達の居場所を讃えるアンセムのような曲を作りたいという気持ちがあったので、そういったメッセージを打ち出すにはヒップホップが最適だと思ったんです。

あとはやはり、前作「天空処女」とのギャップというものは意識しました。私は「音楽系バーチャルYouTuber」という肩書きを付けていないので、音楽にそこまで情熱的ではない人も楽しめる楽曲を作りたいという思いがありました。

— なんでセーラー服を着てるんですか?

バーチャルYouTuberとして活動する以前の創作物に登場する私(丸三角シカク)は、丸メガネを掛け、変な文言が書いてあるダサTシャツにデニムパンツという出で立ちでした。

ただカスタムキャストにはそういった服やアクセサリは実装されていなかったので、「じゃあ制服がいいな」と思って制服にしました。

赤い制服なのは「らき☆すた」が好きだからです。

— バーチャルYouTuberとして活動を始めて2週間たちましたが、振り返って視聴者の反応などをどう感じましたか?

毎日が驚きの連続です。 とにかく動画への反響が予想外過ぎてビックリしています。

「100再生行けば良い方だな…」と思っていたので、オリジナル曲をTwitterでたくさん褒めていただいたり、最近なんかは私の曲を歌ってくださる方がいたりして、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。見てくださっている皆さんには心から感謝しています。

バーチャルYouTuberという肩書きを持つからには、エンターテイナーとして視聴者の皆さんを飽きさせないような活動を心掛けて、これからも頑張っていきたいと思っておりますので、何卒ご贔屓によろしくお願いいたします!

【関連動画集】丸三角シカクの不思議な世界


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「でんぱ組.inc」の夢眠ねむ、卒業と芸能界引退を発表「長い時間をかけて決めたこと」

夢眠ねむさん

アイドルグループ「でんぱ組.inc」の夢眠ねむさんが10月13日、グループの卒業と芸能界引退をTwitterで発表した。2019年1月7日の日本武道館公演を最後にグループを卒業し、3月末で芸能界からも引退するという。

いつも応援してくださる皆様へ pic.twitter.com/rteyp7za4G

— 夢眠ねむ (@yumeminemu) 2018年10月13日

「いつも応援してくださる皆様へ」と題して、Twitterに投稿された手書きの発表文には、「長い時間をかけて決めたことなのですが、急な発表で驚かせてしまって申し訳ありません」と綴られている。

夢眠ねむさんは電波組に2009年6月に加入、モデルやグラビア、DJ、現代美術家など多彩な顔を持つアイドルとして長く活躍を続けてきた。引退後はキャラクター「たぬきゅん」のプロデュースと、書店の開店を目指して活動していくという。

夢眠さんは「『アイドルに向いてない』と公言していたこんな私が10年もアイドルとしてかけがえのない時間を過ごすことができたのは応援してくれた皆様のおかげです。みんなでたくさんの夢を叶えて、素晴らしい景色を見れたこと。これからもずっと忘れません」と振り返った。

そして、「残り1日1日を大切に、アイドル最後の日まで全力で頑張ります」とファンに誓っていた。


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「クッパ姫」が空前のブームに。マレーシア発の投稿がきっかけだった。

任天堂のTVゲーム「スーパーマリオ」シリーズのボスキャラとして知られる「大魔王クッパ」が女性キャラ化した「クッパ姫」という二次創作イラストが、Twitter上で空前のブームとなっている。

きっかけは、マレーシア在住だというhaniwaさんが9月19日に投稿した4コマ漫画がきっかけだった。

haniwaさんが投稿した漫画に出てくる、女性キャラに変身したクッパ(右端)

この漫画は、「スーパーマリオオデッセイ」のエンディングで、マリオとクッパがピーチ姫にプロポーズするも、二人とも振られてしまうというエピソードの続きを創作したもの。

クッパがスーパークラウンというアイテムを使って、ピーチ姫とよく似た姿となり、マリオといちゃいちゃするというものだった。

14日に発表されたニンテンドースイッチ用ゲーム「New スーパーマリオブラザーズ U デラックス」の設定が元になっている。

このゲームではキノピコというキャラクターがスーパークラウンで、ピーチ姫とよく似た「キノピーチ」に変身するシーンがあった。そのため、haniwaさんは、クッパもスーパークラウンを使えばピーチ姫とよく似た姿になれると考えたようだ。

haniwaさんが描いた変身後のクッパは、金髪碧眼でピーチ姫によく似た髪形。青いイヤリングとブローチも共通している。ただ、頭には2本の角が生え、トゲ付きのブレスレットと首輪をして、背中に甲羅があるところはクッパと同じ。ダークブラウンのドレスを身にまとい、鋭い目つきをしている。

  

日本語圏では「クッパ姫」の名前で大人気に

haniwaさんの設定を元に、日本語圏のTwitterでは当該キャラが「クッパ姫」の名前で拡散。19日以降、次々に二次創作イラストが作られることになった。24日午後3時現在、「クッパ姫」というワードは、Twitterトレンドで1位になっている。

クッパ姫がブームになった理由について、ネット上では「美少女化するだけで、クッパの頑迷横暴自惚れ屋高圧的といった要素全てが肉食系女子的な『魅力』に思える」からではないか?という意見も出ている

クッパ姫 part.2 pic.twitter.com/HaeP2gRtpD

— 犽 (@kuroko_14) 2018年9月23日

歴代マリオシリーズのクッパをクッパ姫に変えたら超かわいいと思うので描いた pic.twitter.com/rGKHJ4neMo

— コンノトヒロpixivFANBOXはじめたよ (@tohirokonno) 2018年9月23日

スーパーマリオUSA!!#クッパ姫pic.twitter.com/APoEoXaD6m

— ばぐえ、 (@bague05) 2018年9月24日

クッパ姫ちゃん pic.twitter.com/0cPj05X79T

— かめきち (@kamekiti39) 2018年9月24日

ボス亀 pic.twitter.com/Zakk7sdOjg

— じゃじゃじゃ(🐙) (@kankan33333) 2018年9月23日


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「失敗しない男」が堕ちていく。木村拓哉が『検察側の罪人』でその姿をみせた意味

木村拓哉と二宮和也主演の映画、『検察側の罪人』が公開中だ。45歳の木村は、同作で”失敗知らず”のエリート検事・最上毅を演じた。

そのキャラクターは、2001年に大ヒットしたドラマ『HERO』の久利生公平検事とは”真逆”だった。最上は己の正義を盾に「物語」を作り、暴走していく。映画ではその痛々しさもありありと描かれた。

平成を代表するスター、木村拓哉がこの役柄を見事に演じきったことには、大きな意味がある。久利生公平と最上毅。木村が演じたこの2人を比べながら、その理由を解説する。

親しみやすく、愛された『HERO』の久利生公平

「木村拓哉と検事」と言えば、2001年にスタートしたドラマ『HERO』の久利生公平のイメージが大きい。常識にとらわれず、正義に従って真っ直ぐに生きる久利生のキャラは、多くの視聴者から愛された。

検事は通常、捜査の権限があっても、デスクワークがほとんどだという。『HERO』はそんな検事のイメージを覆し、自ら現場に出向き、警察のように捜査をする若手検事の姿を描いた。

また、久利生が高校中退で、青森の地検から東京地検城西支部にやってきたこと。ファッションも、スーツではなく「Tシャツにジーンズにダウンジャケット」というラフな出で立ちだったこと。これも、お堅い検事のイメージを打ち破った。

「検事=いじめる人、弁護士=守る人。これがあたしたちのイメージだもん」

『HERO』の中には、同僚の検事が言うこんなセリフがあるが、久利生は決して「いじめる」人ではなかった。その姿が視聴者の共感を生んだのだろう。

検事という”怖そう”な仕事をしている人たちの中にも、血の通った久利生のような人がいる。その人間的魅力を描くだけで、当時は十分に新鮮であった。

『検察側の罪人』の最上毅は、久利生と真逆だった

そんな『HERO』が誕生してから17年。木村拓哉は『検察側の罪人』で、再び検事を演じた。

それは、木村拓哉以外であっても、生半可な気持ちでできることではないだろう。前作のイメージを払拭し、まったく別の検事像を見せなくてはいけないからだ。そしてそれは間違いなく成功したと言える。45歳の、そして芸能界で常にスターであり続けた木村拓哉の新境地を見せてくれた。

『HERO』の久利生公平検事と『検察側の罪人』の最上毅検事は、真逆であった。

最上は凶悪事件を担当する刑事部の本部係の人間で、初動捜査からかかわることが当たり前である。そして普段から高級感の漂うスーツを着ている。登場シーンからして、新人検事に対して威圧感たっぷりに検事としての正義感を問う。

久利生は、通販番組に夢中で、テレビショッピングで何かを見つけては、執務室に商品を送ってもらっていた。対して最上は、ガベルという木でできた小槌をコレクションしている。海外の法廷もので裁判官が持っているのを見た人もいるのではないだろうか。

ガベル

このガベルを集めるという行為に、最上のフェティシズム(物神崇拝)も見えて、何か不穏な感覚をこちらに感じさせた。

ガベルは正義の象徴でもある。それをコレクションするということは、正義を手中にしたいという欲望にも思えるし、もっと強い執着のようなものも見える気がするのだ。

こうした最上の姿は、久利生とは極めて対照的だ。『HERO』の時に見せた親しみやすさはすっかり消え、『検察側の罪人』では、むしろ木村は「権力」を行使することに対して疑いを持たない人物になっていた。

まっすぐな「正義」と「身近なキャラ」は、もう新鮮ではない

昨今、検事が出てくるフィクションには、『99.9 -刑事専門弁護士-』(TBS系)や、『アンナチュラル』(TBS系)などがあった。

特徴的なのは、弁護士や法医学者が主人公のこれらの話では、法律がいかに守られているか、三権分立は成り立っているのか、というのも重要なテーマだったことだ。

検事という職業は、まさに「検事=いじめる人」にはなっていないか?こう疑う視線が描かれるようになったのだ。

『99.9』では、検事だけではなく、裁判官にもその視線は向けられた。『アンナチュラル』には、「白いものも黒くする』という異名をとる検事が登場した。

自分の「物語」で事件を見たてて、その「物語」に従って捜査を進めてしまう。白いものも黒くしてしまう。これがいかに暴力的であるかを描くことは、昨今のフィクションを見ていると、重要なことであると感じる。

しかも、刑事事件の有罪率が99.9%と言われる日本では、「白いものを黒く」することが、もしかして必然なのではないか?フィクション作品が、このような疑問と真正面に向き合うようになったとも言える。そして、『検察側の罪人』もその流れに沿っている。

2018年のフィクションは、久利生のように検事の身近なキャラクターとまっすぐな正義感を描けば新鮮に見える時代を過ぎ、現実社会とリンクした形で、正義とは、三権分立とは何かを問うくらいでないと、人々の心をとらえることはできないのかもしれない。

『検察側の罪人』で、木村拓哉は”ゆがんでいく”

『HERO』の久利生は、不正を許さず、社会的弱者に寄り添う優しさがあった。一方で、『検察側の罪人』の最上は、”正義”という盾を武器に己を転落させていく。この違いも特筆すべき点だ。

最上は、確かに「正義感」によって動く人物だ。

しかし、自らの正義感と執念から、過去に時効を迎えた未解決事件の重要参考人を裁こうと”暴走”していく。自分の正義を貫くために、ありもしない「物語」を作ってしまうのだ。

駆け出しの検事・沖野(二宮和也)は、初めは最上を尊敬していたが、次第に疑いを持つようになっていく。

自分の信念のためなら、「物語」をゆがめてもいい。この境地に彼を至らせたのは何なのだろうか。もちろん、検事を始めた頃には、そんな自分になりたいとは考えていなかったはずだ。

しかし、検事として「力」を手中にした感覚の中で毎日を過ごすうちに、ある部分では正義感に従って生きているのに、ある部分では、その自分だけの正義に溺れるようにもなったのではないか。

日本では使われることのない、つまり効力をなさないガベルを執務室にいくつも置いている最上を見て、妙にぞくっとする感覚を持った。

それは、ガベルという法の象徴を集めることと、自分こそが法の番人であると信じて疑わない万能感が重なって見えたからだったのだと、映画を見終わってから理解できた。

40代の木村拓哉と西島秀俊が演じた”失敗しない男”

『検察側の罪人』の公開と同じ時期に、NHKのスペシャルドラマとして『満願』という作品が三夜連続で放送された。

第一夜の西島秀俊主演の「万灯」も、40代後半の男性、しかも失敗の経験のない男性の慢心による、ある種の転落が描かれていた。

西島秀俊

西島演じる商社マンの伊丹は、資源開発の仕事を任され、活路を海外に求めて旅立つ。天然ガスの権利を得る交渉をするためだ。しかし、現地の人々は、この資源を海外に手渡すことを快く思っていない。そのうち、フランスの企業もガス開発に着手しようとしていることもわかる。

結局、伊丹も、「会社のために動く」ということが自分の使命であり、自分のアイデンティティが会社と同化していく中で慢心する。そして、大きな波に飲み込まれることとなる。部下に「自信過剰は寿命を縮めるぞ」とアドバイスしていたにも関わらずだ。

最上と伊丹は、組織の中で懸命に働く中で実績を出し、地位を得、自分の仕事に誇りを持ちすぎているという点が共通している。しかし、2人ともそのことで、無意識のうちに自分の信念に基づく行動は正しいと過信しすぎている。

その結果、木村拓哉演じる最上も、西島秀俊演じる伊丹も、本当に偶然ではあるが、己の信じる道が最も正しいという慢心から、夜中にシャベルを持ち、山奥の地面を掘り起こすこととなる。

ネタバレを避けるため、詳しくは書かないが、”己の信念”というものが、人を一番惑わせるものなのかもしれないと思わせるのである。

「力」を過信した人間の呪縛を解き放つには?

こうした二つの物語がリンクしているということは、キャリアを積み、この不況の世の中で負け知らずの仕事人間の男性は、自分を過信しやすいばかりに、とんでもない運命に巻き込まれることがあるということなのだろうか。

これを、「男らしさの呪縛」というと、安易すぎるように思う。しかし、仕事の上での業績により、とんでもない「力」を得たと勘違いした人間の呪縛の物語と考えると納得がいく。

『満願』の伊丹は、これが因果応報か…と思わせる結末を迎えるが、『検察側の罪人』の最上検事は、ある「新しき世界」の入り口に立つ。

それは決して観客をスッキリとはさせないものだった。しかし、『HERO』を観た後とはまったく異なる性質の問いかけを残してくれた。

2001年、Tシャツにジーンズ姿の久利生公平を颯爽と演じた木村拓哉は、2018年に地位も名誉もあるスーツ姿の最上毅を冷徹に演じきった。

裁かれる人の立場に立って職務を全うした久利生公平。内なる正義を守り抜こうとするばかりに人生の歯車を狂わせた最上毅。

同じ検事でも、その正義と力のありようは大きく違う。

何が真実かわからないことの多い平成の終わりに、最上が誕生したのは必然だったのかもしれない。

(執筆:西森路代、編集:生田綾、笹川かおり)

『検察側の罪人』

8月24日(金)全国東宝系にて大ヒット公開中

監督・脚本:原田眞人
原作:雫井脩介「検察側の罪人」(文春文庫刊)
キャスト:木村拓哉   二宮和也
吉高由里子 平岳大 大倉孝二 八嶋智人 音尾琢真 大場泰正 
谷田歩 酒向芳 矢島健一 キムラ緑子 芦名星 山崎紘菜 ・ 松重豊 / 山﨑努

公式HP:http://kensatsugawa-movie.jp


渡辺麻友、茶髪を披露。約5カ月ぶりのインスタ更新

女優の渡辺麻友が自身のInstagramを約5ヶ月ぶりに更新。茶髪姿がファンの間で話題となっている。

 

 同投稿で渡辺は、4月8日以来、約5ヶ月ぶりにInstagramを更新。雑誌撮影のオフショットを公開し、「本日は、宝島社 「sweet」10月号の発売日です。私の連載はお休みですが、なんと次号から渡辺麻友の連載がリニューアルします 11月号もお楽しみに~。」と、アピールした。

 そんな渡辺の投稿には、「まゆゆ待ってたよ」「久しぶりの投稿とっても嬉しいです」「まゆちゃん久しぶりだ~」「久々の麻友ちゃんに癒されました」「まゆゆちゃん、おかえり!お久しぶりです 」と久々の更新に歓喜のコメントや、「可愛い!来月号がもう楽しみ!」「可愛すぎてつらい」「まゆゆ、いいよいいよかわいいよ~」「髪が( i _ i )明るい( i _ i )かわいい( i _ i )」「麻友ちゃん髪色素敵」「めっちゃ可愛いいじゃん!!お楽しみ」「間違いない可愛さ」など絶賛のコメントが多数寄せられた。


浜崎あゆみ、ばっさりカットしショートボブへ イメチェンヘアに絶賛の声

浜崎あゆみさん

 歌手の浜崎あゆみが自身のInstagramを更新。ばっさりカットしたショートボブヘアスタイルを公開し、ファンの間で話題となっている。

 同投稿で浜崎は、「脳内暴発しそうだったので よーこちゃん @pink_mirror9 の服でテンションあげーの、 せかり気味に実家 @hair_ism 訪問して、ももメン @momomika0314 に髪をバッサリ切ってもらって久々ボブ」とコメントし、ショートボブスタイルの写真を公開。

 「と同時にスーパーネイリストのザキ師匠 @zakinko_esnail と電子ちゃん @deeeeeenden も息を合わせてネイルを一気にチェンジしてくれました 目にも留まらぬ速さでギラッギラ ・ 今日は長い1日だー!!!感謝」とコメントにあるように、ヘアスタイルだけではなく、洋服やネイルもチェンジしたようで、心機一転したことを報告した。

 そんな浜崎の大胆イメチェンには、ネット上で「あゆのショートが可愛い」「ボブあゆ可愛い」「あゆ 可愛い過ぎ」「ayuちゃんがボブになってて最高」など、ファンから絶賛のコメントがあがっていた。

(2018年9月13日AbemaTV 「浜崎あゆみ、ばっさりカットしショートボブへ イメチェンヘアに絶賛の声 」より転載)


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「好かれる人は、だいたい低姿勢」 川栄李奈の仕事観

女優・川栄李奈の演技は、高い評価を受けている。映画、ドラマ、CM……彼女を見ない日はないと言っても過言ではない。現在は、『健康で文化的な最低限度の生活』(カンテレ・フジテレビ系)で生活保護の新人ケースワーカー役を熱演している。

しかし、当の本人は「調子に乗らない」ように気をつけているという。芸能界の第一線で活躍しながら、なぜ「低姿勢」を貫くのか? 川栄李奈の仕事観に迫った。

「選んでもらえる」人になる

――高い評価を受けても、調子に乗らないようにしていると聞きました。

「あまり調子に乗らないようにしよう」というのは、AKB48時代から心がけていました。AKBを辞めてからは、よりいっそう思うようになりました。

気づいたんです。

結局お仕事をたくさんしている人とか、よくテレビに出ている人とかを見ていて、「この人は何ですごいんだろう」って考えたときに、あいさつだったり、仕事に取り組む姿勢だったり、人に接する態度がやっぱり違った。

ドラマもそうですけど、結局は「人」が選んでくれるじゃないですか。その人にまず好かれないと選ばれないな、と思って。たくさんの人から好かれるような人は、だいたい「低姿勢」な人だなぁって思ったんです。それから自分の中で意識するようになりました。

もちろん、やりたくない仕事もときにはあります。あるけれど、やらなきゃいけないし、それがいつかきっと何かにつながるだろうなと思って、楽しんでいます。今はなんでもチャレンジしたいから、仕事を選ぶのはマネージャーさんにお任せして、自分から「こういう仕事がしたい」と選ぶようなこともしていません。。

やっぱり、この業界にいたら、「川栄李奈」という自分の名前は「商品」のようなものでもある。

だから、仕事とプライベートはすごく切り分けています。「本当の自分の姿をみんなに知ってほしい」と思わないようにしていますし、テレビの向こう側にいる人が「川栄はこうだよね」と評価をしていたとしても、あまり気にしない。

ドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』では、生活保護の新人ケースワーカー・栗橋千奈を演じている。

仕事は仕事。やらなきゃいけないから

メンタルは強いほうだと思います。あまり悩んだりすることもないです。これも、やっぱりAKBにいたっていうのが大きいですね。悩んでいても結局やらなきゃいけないし、やるのは自分だし……。

AKBのときは自分がリーダーなわけでもないから、怒られるときはみんなで怒られるみたいな感じだったのが、一人になってからは全部自分の責任になりました。お仕事がなくなったら、それは自分の責任。だからこそ、あまり悩みすぎても「自分が疲れるだけだなぁ」と思って、悩まないようにしています。

「役を引きずる」とかもまったくなくて、スタジオを出たら「おしまい」という感じです。引きずって自分が崩れるのがすごく嫌なんです。

もちろん、仕事でムカついたり嫌だなって思ったりすることもあるんですけど…。仕事の場面で起きたことを引きずり続けたら、自分が疲れてしまうから、「仕事は仕事」って割り切って、女優「川栄李奈」として、やるときはやる!という決意を持っています。「本当の自分」ではやっていないというか……お芝居で「役」を演じるのと同じような感覚かもしれません。

ほめられても調子にのらない

――「自信を持たないようにしている」とも伺ったのですが。

「自信を持たないようにする」というか、ほめられたり、評価されたりしても、あまり鵜呑みにしないようにしています。私の性格上はならないですけど、調子に乗ったりしたら嫌なので…。

この業界ってすぐ新しい人が出てくるので、ね(笑)。それでしばらくテレビに出なかったら「あいつ消えた」とか言われるじゃないですか。そこもちゃんと理解している。

私は、ガツガツいくよりも「遠慮がちな人」のほうが結構好きなんです。たとえば、オーディションでガツガツ前にいく人よりも、一歩引いている人が受かったりするんです。

だからオーディションでは意識して引いてみるけど、そうしたら落ちるっていう(笑)、そういうパターンもすごく多いんですけど……。「ガツガツいけばよかったぁ」って(笑)。だからそのバランスは難しい。ぐいぐい姿勢で「やりたいです!!」って言って落ちたとしても嫌だし。

でも、すべてはご縁です。落ちたら落ちたで、相性が合わなかった。「だから次」って前向きに考えています。

自分がやりたい仕事、やりたいことができているのが一番

――いまの若い人は「働き方」に悩んでいる人もたくさんいます。

私は、本当に自分が楽しければいいんじゃないかな、と思います。その人にとって、すごく楽しいことをしてほしい。

やっぱり、自分がやりたい仕事、やりたいことができているのが一番いいんじゃないかな。好きだから学ぼうと思うし、好きだから「もっとこうしたい」と思う。好きじゃないとやる気が出ないじゃないですか。

でも、みんながみんな、最初からやりたい仕事をできるわけじゃないですよね。やりたくない仕事をしている人もいると思うし、「やりたいことがない」って悩んでいる人もいると思います。

若い人にメッセージとか、そんなに偉そうなことが言える立場じゃないですけど…。もし今、自分が好きじゃない仕事をしているとしても、それで成立しているならいいんじゃないかな。仕事をしてちゃんとお金をもらっていて、そのお金でちゃんとプライベートを楽しめているなら、何も問題ない。

でも、お給料も安くて、好きな仕事でもなくて、めちゃくちゃ不満と不安が溜まっているなら、やっぱり違うことをした方がいいんじゃないかな、と思います。自分で納得がいって、ちゃんとバランスが取れているならいいんじゃないかな。

「やりたいことを見つけた」と思って、AKBを辞めた。

「やりたいことがない」って言っている人は、そもそもやっていないんじゃないかな、とも思います。人間はやったことないの方が多いですし、「絶対つまらない」と思っていたものが、実際やってみたらすごく楽しいということもある。何がきっかけで好きになるかわからないので、いろいろ挑戦してみるのがいいと思います。

私は、AKBにいた時はダンスと歌にすごく苦手意識があって……。お芝居をやらせてもらった時、すっごく楽しくて、「やりたいことを見つけた」と思ってAKBを辞めました。

小さい頃からドラマとかもずっと見ていて、「役者になりたい」という思いはそんなに強く持っていたわけではないんですけど、「他の人になれる」のがすごく楽しかったんですよね。普段感情をそんなに出さないので、お芝居になってめちゃくちゃテンションが高い役とか、暗い役とか、いろいろな役をできるのが楽しいって思います。

だから、最初からやりたいことだけをやっているよりも、どこかで苦労とか挫折を経験していた方が、それが強さになってその先に活きてくるんじゃないかな、とも思います。楽しいこととかやりたいことを選ぶ一方で、耐えること、受け入れることも大事だと思いますね。

自分のイメージづくりやブランディングはしない

――最後に。今後のキャリアはどう設計していますか?

いまはまだ年齢的にも若いので、いろんな方に出会って、いろんな経験をして、自分の中の引き出しを増やそうと思っています。30、40歳になったときに女優としていろんな役ができる人になりたいので、いまはとにかく吸収する時期だなと思っています。

お芝居が好きなので、ずっと女優の仕事はやっていきたいですし、女優業以外にやりたいことも今はないです。

役で自分とは違う人間になるというのが楽しいんです。今回の『ケンカツ』では、若い人にあまり馴染みがない生活保護のケースワーカー役をやっています。学園ものだって、もう23歳なんだから、普通だったら制服を着たりとかできない。自分の普段の生活では触れることができないようなことを、役を通して経験できるから、本当に楽しいんです。

自分のイメージをつくったり、ブランディングしようとは、あまり思わないです。でも、見ていたら「親近感」が湧く人でありたい、とは思っています。「めちゃイケ」に出させてもらったときのイメージで覚えていてくださる方が多くて。「親しみやすい」感じがあればいいなって思っています。

すごくきれいで美しい人って、「話しかけていいのか」っていう雰囲気があるじゃないですか。ちょっとこう、お高い感じ。私はきれいでも美人でもないからその雰囲気は出ないんですけど。その空気感よりは、フラットでフレンドリーな感じを出したい。そういう人の方が私自身も好きなので、そうありたいと思っています。

ドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」

毎週火曜夜9時からカンテレ・フジテレビ系で放送中。9月11日(火)に第9話放送予定。最終回は9月18日(火)。


(執筆:竹村俊助、編集:生田綾、撮影:川しまゆうこ)


自閉症の少女が踏み出した、その一歩に「長寿と繁栄」を!

『500ページの夢の束』©2016 PSB Film LLC

◇感情を表さないことと、感情を持たないことは、決して同義ではない!

皆さんは「スター・トレック」という作品をご存知だろうか? 1966年に放映されたTVシリーズ「宇宙大作戦」を皮切りに、これまで6本のドラマ、13本の劇場版、1本のアニメ作品が制作されている、超人気コンテンツだ。

調査飛行を行う宇宙船USSエンタープライズが、宇宙で遭遇するさまざまな事件を描くSF作品で、宇宙を舞台にしながらも、戦争、宗教、人種差別、また性的指向に至るまで、多くの哲学的な問いを投げかけてきたという。

私は恥ずかしながら本編を観たことがなく、「スター・トレック」に関する知識といえば、レナード・ニモイ演じる耳の尖った奇妙な風貌のキャラクターと、楳図かずおの”グワシ”とも違う、不思議なハンドサインだけだった。しかし、スポックという名前の彼が、“論理による理性を重んじて感情を表さない”バルカン人(異星人)の父と、”喜怒哀楽を持ち合わせる”地球人の母の間に生まれたハーフであるという設定を知って、その独特な風貌や、まるで固まったような表情ーーなにより、ここで紹介する映画の主人公が、なぜ「スター・トレック」の熱狂的なファンなのかーーすぐに、合点がいった。

◇発達障害(自閉症)を抱える当事者の目線から

映画『500ページの夢の束』の主人公で、自閉症を抱える少女・ウェンディ(ダコタ・ファニング)は、訳あって唯一の肉親である姉と離れ、サンフランシスコのベイエリアにある自立支援ホームで暮らしていた。彼女は、月曜はオレンジ、火曜にはラベンダー(以下略…)というように、曜日ごとにセーターの色を決めている。また、起床してすぐにベッドを整えてシャワーを浴び、タオルの匂いで交換時期を見極め、決まった道順を歩いてアルバイト先に向かうというように、毎日を自身のこだわりと論理とルールに従って、規則正しく毎日を過ごしていた。

じつは、これらの何気ない主人公の描写も、発達障害(自閉症)を抱える当事者の目線で見ていると”あるある”のオンパレードだ。たとえば私の場合、常に黒い服で、通年を通して着られる素材を着る(肌着も、一年中同じ色しか着用しない)というルーティンがあるし、駅に向かう道も、決まった道順しか通らず、それに合わせてくれない夫と(道順をめぐって!)大げんかをしたこともある。私たち当事者にとってみれば、ルーティンは、いわば安心や安全とイコールなのだ。決して侵食されてはいけない、絶対的な領域なのである。

一方で、一度「こうすべきだ」と腑に落ちると、頑なにそれを守るという従順さも持ち合わせている。ウェンディはシナボンでアルバイトをしているが、決められた通りにシナボンを作り、さらには笑顔も作って、「シナボンはいかがですか?」と”早口でくり返さず、毎回、違う口調で”言うことに徹している。これは、20代前半の私が、仕事で”相手の口調や振る舞いを真似すると色々スムーズにいく”ということを経験し、取引先によって口調や振る舞いを見事に変化させるため、同僚から「カメレオン」というあだ名をつけられたことを思い出させる……。

閑話休題。そんな平穏なウェンディの日常が、ある日「スター・トレック」シリーズ50周年を記念して行われる脚本コンテストの開催を知ったことで、風雲急を告げる。締め切りまで、1週間。正しい書式で書いた脚本をロサンゼルスにある映画会社・パラマウントに送らねばならない! ところが、せっかく書き上げた脚本が、郵送では締め切りに間に合わないことに気づいたウェンディは、自らパラマウントへ脚本を届けようと、こっそりと支援ホームを抜け出して……。

◇音楽とイヤホンは必需品!

ある程度の支援を必要とする自閉症を抱える彼女にとって、先ほど説明したように、決められたルーティンの日常から抜け出し、フレキシブルな対応を迫られる「旅」に出ることは、想像を絶するほどの困難さと、勇気を必要とする。アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム障害、ASD)を抱え、常に二次障害であるパニック障害に悩まされている私は、そのような旅がウェンディにどれだけのストレスをもたらすか、想像するだけで眩暈がするほどだ!

たとえば、ーー全編を通してみれば些細な出来事に過ぎないがーー劇中で彼女の愛用するi-podが盗まれるシーンがある。このシーンで、私は思わず天を仰いだ。なぜなら、聴覚過敏の特性を持つ自閉症(発達障害)のある人間にとって、i-podあるいはi-phoneなどの音楽再生機とイヤホンは、必需品だからである。つまり、自分の心地よい音で”耳に蓋”をしていないと、通り過ぎる車やバイクの音、知らない人の会話などが土石流のごとく押し寄せてくるため、注意が散漫になり、呼吸が浅くなって、パニック(厳密にいえば、いわゆる自閉症のメルトダウンのパニックと、パニック障害によるパニック発作は症状が異なるが、いずれも当人からすれば、死ぬかと思うような恐怖を伴うもの)を起こしてしまうことがある。知らない土地への旅の最中ともあれば、なおさらだろう。

このような自閉症(発達障害)の特性ゆえの困難さが、この映画では全編を通して丁寧に描かれている。

◇「発達障害=宇宙人」!?

それでは、なぜ、主人公ウェンディはそれほどまでに危険な”一歩”を踏み出したのか……? 本当に「スター・トレック」の脚本コンテストで優勝を勝ち獲るためなのか、ただの衝動か、あるいは、何か、ほかの目的があってのことなのかーー。このあたりは物語の核心に触れるため、ぜひ、実際に映画を観て、彼女の勇姿を見届けてあげてほしい。そこには、障害も何も関係ない、ただ“真摯に生きる一人の人間”がいる。そして、人間が生み出す“無限の愛”がある。

アスペルガー症候群を含む発達障害(自閉症も発達障害のひとつ)を抱える人を、”宇宙人”や”異星人”と喩える人がいる。たしかに、表情の乏しさや決まったパターンをくり返す様子は、はたから見れば”宇宙人”のように見えるかもしれない。しかし、論理による理性を重んじて感情を表さないバルカン人(異星人)の父と、地球人の母の間に生まれたが故に”感情”をうまく表現できない苦悩を抱えた「スター・トレック」のキャラクター・スポックと同じように、多くの発達障害者が、心より出づる気持ちとその表現の狭間で、常に揺れ動いている。

そのアンビバレントな感情の中で、危なっかしくも勇気ある”一歩”を踏み出した主人公の姿に、私は自身を重ね合わせ、幸せな余韻に浸りながら、映画館を後にした。それはおそらく、「スター・トレック」のキャラクター・スポックに自身を重ね合わせることで退屈な毎日をやり過ごしていた、主人公・ウェンディのように……。

◇追記:「心のバリアフリー」に取り組む上映会を!

私はこの映画を、自閉症をはじめとする発達障害の特徴を持つために、映画館での鑑賞に不安を感じる人も映画鑑賞を楽しめる“センサリーフレンドリー”を取り入れた試写会で鑑賞した。日本自閉症協会、日本発達障害ネットワークの協力に基づき、映画館の照明や音(シーンごとにデシベル測定器で細かい調整を加えたとのこと)を工夫したとのことで、さまざまな感覚過敏を持つ人にもやさしい上映会になっていたと思う。予告編などの上映はなく、本編上映中の立ち歩きや声出しもOK。また、上映室の外には吸音材で囲われたクールダウンスペースが設けられており、上映中でも、自由にパーソナルスペースを確保することができる! 

日本ではほぼ初めての取り組みとのことだが、今後、このような「心のバリアフリー」に取り組む上映会が増え、私のように大きな音や密室の空気感に耐えられないような傾向のある人間でも、気軽に映画館に足を運べるようになることを、心より願う次第だ。

※本作では、通常興行中にもセンサリーフレンドリー上映が行われるとのこと。詳しくは、映画HPをご覧ください。

※「長寿と繁栄」とは、「スター・トレック」ファンにはおなじみの、バルカン人の挨拶(ハンドサイン)。ちなみにMacやi-phoneなどで「スポック」と入力すれば、このハンドサインに変換されます。お試しあれ。

500ページの夢の束』 ©2016 PSB Film LLC

2018年9月7日(金)より新宿ピカデリー ほか全国ロードショー

【STAFF】 監督:ベン・リューイン【CAST】 ダコタ・ファニング ほか

【原題:PLEASE STAND BY/2017年/アメリカ/英語/93分/カラー/シネマスコープ/ 5.1ch/日本語字幕:桜井裕子】 配給:キノフィルムズ/木下グループ ©2016 PSB Film. LLC

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amzn.to/2yJ2JVr


戦争は人を嘘に駆り立てる―“TELL ME LIES”

なぜ人間は、こうも他人の痛みについて無感覚でいられるのか。

なぜ我々は、北ベトナムの村人たちに爆弾を日々振らせ続けているアメリカに加担しなければいけないのか。もしくは、英国も参戦すべきだ、とシャンペン片手にパーティーで悠長に政治議論に花を咲かせていられるのか。1968年に制作されたこの映画は、こう問いかける。

焼身自殺をして殺戮への抗議をするヴェトナムの僧侶に対し、共産主義は人を殺すだけだと自由主義とのイデオロギー闘争を主張するタキシード姿の政治家をカットバックする。ドキュメンタリーと再現フィクション、アヴァンギャルドなミュージカルシーン(”Blow the Yellow Ass ” (黄色いケツをぶっ飛ばせ!) )に、ただただ馬鹿げたコメディをシニカルにモンタージュし、この世の矛盾と混沌を炸裂させる。カンヌで上映中止、ヴェネチア映画祭で二冠に輝くが劇場公開は悉く妨害され、短期間に終った問題作。

同じくヴェトナム戦争にまつわる写真表現を批評したスーザン・ソンタグの冷徹な知性も素晴らしいが、ピーター・ブルックの激情はもっと乱暴に人々の心を掻きむしる。人類が戦争を嘘で塗り固める身振りは、実は今もなんら変わっていない。現在向き合うべき問題を鋭く突きつけている。

“TELL ME LIES”(ピーター・ブルック監督, 1968&2012)


No Picture

1度の青信号で3000人が利用するも“人身事故はゼロ” スクランブル交差点から再起を図る渋谷のブランディング戦略

 2008年10月1日、観光立国の推進体制を強化するために観光庁が発足されると、2008年当時で約835万人だった訪日外国人の数は、2013年を境に1000万人を超えた(日本政府観光局データより。2017年では2869万人)。奇しくもその頃、渋谷を訪れる外国人観光客から、ある意見が多く寄せられるようになった。

 渋谷には、「渋谷のお土産」が無い。

  「無いというよりは、極端に無いんです。そもそも渋谷は、商業とビジネスで育ってきた街。109、西武、PARCO、レコードショップなど、国内外の人々が日々アップデートされる街。最先端のファッションやカルチャーを感じに来る場所です。例えば北海道なら、牛乳やジャガイモがある。それらがキャラメルやヨーグルト、チョコレートになる。大阪に行けば、お好み焼き、たこ焼きがある。でも、渋谷と言って思い浮かぶ『味』も特産品も無い。つまり、観光資源が無いんです」

 そう話すのは、一般財団法人渋谷区観光協会の理事長を務める金山淳吾さん(40)。観光案内所や観光マップ、地域のイベントづくりなどを担うために渋谷区観光協会が設立されたのも、同じ時期にあたる2012年のことだったという。

 では、渋谷の「観光資源」とは何か――。

 そんな課題と向き合っていた2015年のこと。東京大学と東京芸術大学の学生から、ブランドデザイン授業の一環として、「渋谷らしさ」を模したお土産のアイデアを受け取ったという。

  「渋谷ってお土産が無いよね、という話が発端になったようです。ペーパーにして4㎝ほどの厚さになる、学生たちのアイデアが詰まった冊子が渋谷区に届きました。その多くはハチ公とスクランブル交差点に関連したものでした」

 改めて渋谷の象徴であるハチ公とスクランブル交差点に着目したことで、さまざまなヒントや発見が、さらにアイデアをブラッシュアップする過程で学生たちが行ったリサーチによって、新たな気づきも得られたと金山さんはいう。

 「学生たちが警察にヒアリングをした結果、スクランブル交差点が利用されるようになって以降、『人身事故が一度も起こっていない』ということがわかりました。ピークタイムである夕方の17時~19時では、1回の青信号で3000人が渡る。1日にするとおよそ50万人(駅の乗降客数による算出)が利用する交差点で人身事故がゼロ。しかも、あんなに忙しい街なのに、人々がぶつからないことを前提に、秩序を保って行き交っている。それって、渋谷(日本)ならではの文化ではないでしょうか」

  2016年には、数多のアイデアから選ばれた初代「渋谷御守」のプロトタイプが作成された。スクランブル交差点の形をした御守型チャーム。表面の渋谷御守の文字上にはハチ公の足跡に見立てた印もあるいかにも渋谷らしい御守だ。今回2代目として誕生した「渋谷御守」は、表には渋谷のスクランブル交差点が、裏には忠犬・ハチ公の刺繍がされている。

  「スクランブル交差点は神社仏閣ではないので、当然、何の願掛けにもなりません。ただ考え方によっては、日々の安全、または人と人が『揉めない・ぶつからない』というストーリーを含んだ、渋谷らしいお土産になるのでは」と、金山さんは期待を語る。

  スクランブル交差点の刺繍を見ると、四辺に加え、斜めの1本しか刺繍が無いことに気づく。実はスクランブル交差点は正方形ではないため、長くなる斜めの一辺を通行可能にしてしまうと、青信号で渡り切れない人、さらには交通渋滞の原因にもなる。それを予防するための工夫だという。過去に人身事故が無ければ、細やかな工夫もある。実にユニークな交差点なのだ。

渋谷に潜在する「無形の魅力」を形づくる挑戦

 この一件を機に、「渋谷区のお土産を作る」という有識者の会が立ち上がった。しかし、流行や文化など「無形の魅力」から形ある商品を作る作業は容易ではなかった。

  「スクランブルという味を作ってみたらどうだろうか? という意見もありましたね。ハチ公の『8』と掛けて、8種の風味がスクランブルされた味とか(笑)。八つの酒蔵の味をミックスして日本酒を作ろうなどと盛り上がったりもしたのですが、それは日本酒の規定に抵触するということで断念しました。渋谷には東京タワーも無ければ、スカイツリーも無い。ましてや大きな牧場など……」

  結局、渋谷らしく、渋谷の流儀で訪れる人々を楽しませるには、イベントしかないという結論に至った。渋谷にあるコンテンツをネットワークさせて人々が楽しめる街にする。それが金山さんの考えだ。

  「そのためにまずは、作り手が集まりたくなる空間づくりが必要です。そこから先は各々の分野で観光資源やコンテンツを磨いてもらう他ないのですが、私たちがやるべきはまず、より魅力的な街づくりがしたくなる機運を作っていくことだと考えています」

  その他、パブリックスペースの有効活用と活性化、エンターテインメント化など、やりたいことを挙げれば枚挙に暇がない。しかしそこには、さまざまな制限もあるという。

  「日本では外国の都市のようなストリートパフォーマーの活動は、基本的には違法行為になってしまう。昔は歩行者天国がありましたが、今は道路使用許可を取得して特例的なイベントとして行う必要があるんです。外国人観光客の側に立てば、渋谷に行けば、面白いストリートパフォーマーがいるのでは? アイドルが歌っているのでは? という印象はあるはずです。パブリックスペースをステージに変えられたら、とても面白いことになると思っています」

  御守をきっかけに動き出した、渋谷の新たなブランディング戦略。金山さんたち渋谷区観光協会が掲げたスローガンは「PLAY!DIVERSITY SHIBUYA」。多種多様な楽しみが眠る渋谷のこれからが楽しみだ。

(C)AbemaTV

(2018年9月1日「1度の青信号で3000人が利用するも”人身事故はゼロ” スクランブル交差点から再起を図る渋谷のブランディング戦略」より転載)


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