高山一実


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乃木坂46高山一実が語る、アイドルという職業 「私も泣きわめくくらい悩んだりしました」

乃木坂49・高山一実さん

人気アイドルグループ・乃木坂46の1期生として、グループを創設時から支えてきた高山一実さん。2018年、高山さんは「アイドル」という枠を飛び越え、小説家デビューを果たした。

アイドルを目指す高校生を主人公にした小説「トラペジウム」(KADOKAWA)を2018年11月に発売。累計発行部数は17万部を超え、大きな反響を呼んでいる。

同作では、ステージやテレビで華やかに活動するアイドルたちのリアルな苦悩や本音も描かれた。高山さん自身がアイドル活動を通して経験したこと、疑問に感じたことも作品に込めたという。

小説家として、フラットな視点でアイドルという職業を見つめることで、どんな発見、変化があったのか。高山さんに聞いた。

自分を取り繕うベール、小説を書くことで剥ぎ取れた

——「トラペジウム」、本屋に在庫がないなど、ネットでも大きな話題になっていました。反響をどう受け止めていますか?

すごく幸せです。

このあいだ1期生メンバーの卒業ライブがあって(※)、変わらないと思っていたグループが変わっていくことを受け入れなきゃいけない、その状況に涙が止まらなくなったんですけど…。

次の日に、編集の方が「トラペジウムにこういう反響が届いています」って読者の感想を送ってくれて。それを読んで、本当に嬉しかったです。

(※編集部注)インタビューは2018年12月25日に行われました。

——高山さんはグループをずっと牽引してきた存在だと思うのですが、悩むことがあったんですか?

「トラペジウム」の連載を書いている最中、どんどんネガティブなゾーンに入ってしまった時があって。

自分が書いた物語が人に評価される気もしないし、こんなの誰も読まないだろうなと思ってしまって、だけど締め切りに追われている(笑)。

それに加えて、乃木坂のメンバーの卒業が続いたので。

——そうした葛藤や迷いを、小説を書くことで消化できた?

そうですね。だから、小説を書くことは本当に楽しかったんです。

小説は…何ていうんだろう、ファンの方に自分の肉片まで飛んでいってるような感じです(笑)。

本当は、こういうことはアイドルとしてはやっちゃいけないのかもしれないし、これで前に進めているのかわからないんですけど。

アイドルになってから、自分を取り繕うベールみたいなものが何重も何重も重なっていって、それを剝ぎ取りたいと思いつつも、剝ぎ取る方法がわからなかったんですよね。

でも、小説を書くことによってそれができたので、いまは「高山一実」として、ベールがない、本当に素っ裸な状態でテレビ番組に出て、仕事ができている気がします。

だから私は幸せだな、って思うんです。ファンの人とか、誰かのためにって思いながら書いたけど、結局自分のためにもなっていたらいいな、と思います。

高山一実さん

「アイドル」を題材にした理由

<高山さんの長編デビュー作となる「トラペジウム」は、アイドルを題材にした小説だ。

女子高校生の主人公・東ゆうが3人の「アイドルの原石」を仲間にして、ともにアイドルになることを目指す。

作中、表舞台に立つことで見ず知らずの人から評価される苦悩や、大衆に”ウケる”アイドル像を戦略的に作っていくリアルな姿なども描かれる。

高山さんによると、長編デビュー作の題材をアイドルにすることは「最初から決めていた」という。>

——なぜ「アイドル」を題材に選んだのでしょうか。

自分の中では、アイドルに関する小説を書きたい、という一択しかなかったんです。

本は好きだけれど、文章を書くことが得意なわけではないし、じゃあ他の作家さんと比べて自分は何ができるのか考えた時に、アイドルの物語だったら詳しく深く書けるかな、と。

アイドルではない人が書いたら、ファンタジーになってしまうかもしれない。

でも、自分はアイドルだからこそ、「こういうアイドルがいたら面白いかも」という話をリアルに書けるかな、と思いました。今のアイドル事情をわかった上で、ちょっとそれたものを書けることが強みになるんじゃないかな、って。

あとは、読んだ人が前向きな気持ちになれるような小説にすることも最初から決めてました。ファンの方に限らず、たくさんの人に夢を与えたいなとはずっと思っていたので…。

——小説では、アイドルの負の部分も描かれていますが、書くことに抵抗はありませんでしたか?

それが、一切なかったんですよね。自由なのをいいことに、好き勝手書いています(笑)。

私はやっぱり、アイドルである限り、極力キレイな、キラキラした部分だけを見せたほうがいいと思うんです。普段はそう思いながら活動してるんですけど…。

小説に限ってはそれをやるとただの綺麗事で終わってしまうし、何も内容のない作品にはしたくなかったので、要所要所に今まで抱いてきた負の感情とか疑問とか、たくさん含めるようにしました。

「アイドルが好き」、その気持ちがなければ難しい職業

——作中では、アイドルになった登場人物のくるみが、「私が私じゃなくなっていく」とわめくシーンもありました。このセリフは、先ほどの高山さんの「アイドルになると自分を取り繕うベールが重なっていく」という言葉と重なります。

くるみのシーンは、実は結構前に書いたもので、半分自分の実体験ですね。

実際に自分がわーってなっちゃった時に書いたんですよね。そこから、一旦冷却期間があって、見返してみて「自分はこんなことで悩んでたんだ」とも思いました。

アイドルって、やっぱりキャラクターを作っていくし、いかに自分の意見をのみ込んでファンの方のために発言できるか、ということが大事で。

特に、アイドルになってすぐの初期の頃って、わかりやすく個性を出すためにみんな無理やり「設定」を作るんです。まず、そこでベールが1枚かぶさってしまう。私はトークを頑張る路線でいって。

どこかのタイミングでそれを剝ぎ取れればいいんですけど、求められることをやらないと人気が出ないんじゃないか、とか、選抜に外されてしまうのではという恐怖があるので、やっぱりそれはなかなか難しい。

数年経つと、楽に考えられるようにはなっていくんです。でも3年目くらいまで、私も泣きわめくくらい悩んだりしました。

——本当にハードな仕事だと思いますし、時には理不尽なこともあってストレスもかかると思うのですが…。

そうですね。だから、「アイドルを好き」という気持ちがないと難しい職業ではあるかな、とも思いますね。

「トラペジウム」の主人公・東と他の3人の女の子の違いは、そこが大きいと思います。

根底に「アイドルが好き」という気持ちがあったら、多分すぐに辞めないと思うんです。

もともとアイドルを好きじゃないし、それにプラスして「本当はアイドルとは別の夢がある」とか「恋愛したい」とか、アイドルという仕事が「つらい」と思ってしまったら、辞めたくなると思います。

だから、アイドルを「踏み台」にして別のことをしたい人は、意外と難しいかもしれないですよね。

でも…アイドルは時に本心を隠す職業ではありますけど、私がいま本心で言えることは、アイドルという職業はいい職業だと思います。うん。

夢のある職業だなっていうのは、本当に思います。

変わることを受け入れる。2019年の展望

——2018年は小説家デビューだけではなく、高山さんと仲がいい西野七瀬さんの卒業など、転機も多かったのではと思います。乃木坂46というグループが変化していくことについて、どう受け止めていますか?

葛藤はありました。変わることを受け入れなきゃっていう自分と、あとは、「この時代の乃木坂が好きだから変わらないで」って思う人の気持ちがわかる自分で。

私はアイドルをすごく好きだったので、変わらないでほしいと思うファンの方の気持ちはわかるんです。どっちの気持ちもわかるからつらいんですけど…。

でも、自分の中で「こういう大人になりたい」と思う人って、「昔はよかった」という考えも理解しつつも、新しい世代とか若者の考えも受け入れる姿勢を見せてくれる人で、それが真の大人だなと思うので。

自分は1期生ですけど、常にフレッシュな子たちと足並み揃えていきたい、という思いはありますね。

——小説家デビューという新たな扉も開いた1年だったと思うのですが、2019年の目標も聞かせてください。

2018年は、本当にアイドルとしての種をまけた年だと思っているので、2019年は芽が出てくれることを祈りつつ(笑)。

また新たな種をまける自信が、今のところなくて。とにかく、やりたいと思うことは挑戦したいのと、やっぱりまだアイドルでいたいという思いがあるので、ちょっとアイドルの方は頑張っていきたいな、と思います。

初心に帰るというか、ちゃんとボイトレとダンスレッスンは通おうかな、と思っていて。窓口が広くなって、高山一実の存在を知ってくれる人がたくさん増えた時に、自分のアイドルとしての姿に自信を持ちたいんです。

「アイドルってすごいものなんだ、輝くんだよ」ということを、自分がやっぱり見せていきたいと思うので、そっちを頑張りたいな、と思っています。




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