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シングルマザーが子供のために必死で貯めたお金を騙し取る。「国際ロマンス詐欺」の卑劣な手口

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千葉県などに住むナイジェリア人やカメルーン人男性が、福岡県に住む50代の女性から現金数百万円をだまし取った疑いで逮捕されたのをきっかけに、大きな注目が集まった「国際ロマンス詐欺」。

軍人などを装い、SNSを通じて「好きだ」「愛している」などの言葉を送り、相手をその気にさせて現金などを騙し取るという悪質な手口が横行しています。

家族問題の心理カウンセラーとしてさまざまな方たちの相談を受ける中で、この国際ロマンスの被害にあったという声を聞くようになったのは2年ほど前のこと。これは看過できない、と一念発起し3年前から、国際ロマンス詐欺の注意喚起と被害者支援を行う活動をしています。

国際ロマンス詐欺という言葉を聞くと、結婚を熱望する女性たちが、そこにつけこまれて騙されるイメージが強いことでしょう。しかし、恋愛感情ではなく、同じ境遇であるからゆえに同情心からシングルマザーが騙されてしまうケースも多いのです。

今回は私のもとに駆け込んできた被害者の実話を紹介します。

【鈴木陽子さん(仮名)・50歳・シングルマザーの場合】

2人の子どもを育てるシングルマザーの鈴木さんは、Facebookでアレンと出会いました。アレンのプロフィールには5歳になるとてもかわいい娘さんと一緒に写った写真が使われていて、在アフガニスタン米軍の44歳だと書かれていました。妻を早くに亡くしたので、娘はベビーシッターと軍の宿舎に暮らしていると、鈴木さんは聞かされていたそうです。

「最初は他愛のない日常の話を1日1通、メールでやりとりする程度でした。私は戦地のことはよくわからないけれど“ここは最悪だ、早く娘のもとに帰りたい”とたびたび口にする彼に、同じ”ひとり親”として強く同情していました」

鈴木さんとアレンの関係は恋愛とは少し異なるものでした。なぜなら、鈴木さんには当時交際しているパートナーがいたからです。そのことはアレンも知っていて、「いつまでも良い友達でいよう」というメールを送ってきていました。だから、安心してメッセージ交換を続けることができたそうです。

日々のメールのやりとりの中で、鈴木さんがお付き合いしている彼について相談をすることもあったと言います。そんな時、彼はいつも鈴木さんを励まし「僕はいつでも君の味方だよ」と言ってくれました。

一方アレンは、たびたび国に残してきた娘の話をしました。時には可愛い写真を送ってくれることも。Facebookで出会ってから1カ月半後のクリスマスシーズンには、アレンの娘さんが作ったというクリスマスカードが届いたそうです。

「メールに添付されてきたクリスマスカードを5歳の子が私のために作ってくれたと聞いて、いつか娘さんに会いたいと思いました」

ところが、クリスマスの1週間後、アレンと急に連絡がとれなくなりました。しばらくしてアレンから届いたメールには「親友が撃たれて病院に入院したために忙しくて連絡が取れなかった」と書かれていました。「もうここにいるのは嫌だ。早く娘と暮らしたい」とも。

同情した鈴木さんは、娘さんの元に帰る方法は何かないのかと彼に尋ねました。すると「上司に退役申請のメールを出してほしい」との返事が。

「出会ってから2カ月くらい、彼の誠実な性格を信頼していましたし、クリスマスカードを作ってくれた、かわいいあの子の元にパパを返してあげたい。だから何の疑いも抱かず、メールを書くくらいなら協力したいと思いました」

アレンが作った退役申請メールの見本が送られてきたので読んだところ、アレンの婚約者として鈴木さんの名前が書かれていました。おかしい、と思い指摘すると「家族からの申請じゃないと認められないので、婚約者のふりをしてほしい」と頼まれたそうです。「ふり」でいいのならと高橋さんはそれを了承して、その見本メールをコピー&ペーストして彼の上司に送りました。

するとその数日後、彼の上司から一通のメールが。そこには退役するには違約金が必要だと書いてありました。金額は100万円。

鈴木さんはアレンが払うものだと思い、上司からのメールの内容をそのまま彼に伝えました。そうしたら彼から「軍では自由になるお金がなく払えないので、帰国したら必ず返すから立て替えておいて欲しい」と言われたのです。

「もちろん私は会ったこともない彼にそんな大金を貸すことはできないと断りました。すると、強引に払わせようとすることはなく、すんなり諦めたとように見えて…」

でもその後、鈴木さんは子供の学費のためにと貯めていた貯金から100万円を捻出し、送金してしまいます。

「今思えばそれは、自分の気持ちの弱さからでした。この時期、仕事もプライベートもいろいろと悩んでいて、私は何もできない人間なんだと自分自身を責めてばかりいたんです。そんなときにアレンから助けてほしいと言われ、何もできない私でもこの親子を助けることならできるんじゃないかと思ってしまいました」

それは人助けになるのなら、という純粋な気持ちでした。アレンにそれを伝えると、「退役が認められたら娘と一緒にすぐに日本に行って、借りたお金を必ず返すから」と約束してくれました。

しかし、それだけでは終わらなかったのです。入金を確認できたという軍からのメールには、さらにお金が必要だと書かれていました。代わりの兵士にかかるお金と、その兵士のアフガニスタンへの旅費などです。金額にして300万円。

もちろんそんなお金は鈴木さんにはありません。無理だと断りました。

「それから1カ月間くらい悩んだでしょうか。だって最初に払った100万円が無駄になってしまうかもしれませんから」

最終的に、300万円のうち半額を鈴木さんが入金し、残りを日本に到着した時にアレンが軍に支払えば退役できることになったとアレンから聞いた鈴木さん。結局150万円を支払ってしまいました。

「それまでのやりとりの中で、アレンのIDカードやパスポートを見せられていたので、彼のことを信用していました。米軍公式のアドレスと思しき“@usa.com”」で送られてきた(後で調べたところ、偽造されたフリーメールだった)メール本文の背景には、”USA ARMY”のロゴが透かして入っているし大丈夫と、疑いもしませんでした」

総額250万円の送金をしたあとに、鈴木さんはこの出来事を恋人に初めて打ち明けます。それまでは自分の力でどうにかしたいと強く思い、誰にも相談しないでことを進めていました。海外送金できた時には達成感すら感じていたと言います。恋人から「君は詐欺にあっている」と指摘された時にもまだ、これでアレンは退役できて、かわいい娘と暮らせるんだと信じていました。

そして、軍を出る日にアレンから連絡がありました。アフガニスタンから日本に向かう飛行機の航空券が買えないのでお金を…、と。そこで鈴木さんは、恋人の言う通り、騙されていたんだと目が覚めました。

国際ロマンス詐欺被害者のサポートをしているアメリカの団体に問い合わせ、アレンの写真を提出すると、その写真が詐欺でよく使われている写真であることも発覚。「詐欺なんでしょう?」とアレンに聞いても、彼は頑なに否定するばかりでした。

彼を信じて、善意で救おうとした気持ちを裏切られて、鈴木さんはとても落ち込みました。それはカウンセリングに通わなければならないほど、大きな傷となったのです。

そして心が少し落ち着いた時に、どうしてこんなことをする人がいるのだろうかという疑問が芽生えた鈴木さん。そして、アレンに再びメールをしました。

「詐欺だったのでしょうと私が彼を追求してから、すでに2カ月以上たっていました。“怒らないから本当のことを話して欲しい、あなたには感謝をしている、なぜならあなたのおかげで私は英語が上達したし、あなたの性格が友人として好きだった”と伝えました」

そして鈴木さんは、嘘を認めたアレンと名乗るその男性とスカイプで話をしました。そして彼がナイジェリアに住む、27歳の黒人男性だと知ります。「お母さんの手術代と弟達の学費が払えず、悪い友達に誘われて詐欺をしてしまった。もう二度としたくないし、いつか君にお金を返したい」と言われたそうです。

 恋愛感情がなくても、パートナーがいても、巧みな手口でお金を奪う国際ロマンス詐欺。

心にできた小さな隙間や優しさに付け入られないよう、くれぐれも気をつけていただきたいです。

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#inliving #まみむめもちお から考えるYouTube界の新ジャンル。「ルーティン」動画って何…?

YouTube界に新ジャンル「日常系」が登場 

いまYouTubeチャンネルに、いわゆる王道の「YouTuber像」を覆す新ジャンルが出現している。

YouTubeチャンネルといえば、HIKAKINやはじめしゃちょーに代表される「やってみた系」=マルチ系YouTuber、佐々木あさひのような美容系YouTuber、または兄者弟者のようなゲーム実況が主流だった。

だが、ここ最近、頭角を現しているのが「日常系」と呼ばれる新ジャンルだ。

百聞は一見に如かず、ご覧いただいたほうが早いと思うので、さっそくその代表格である2つのチャンネルを紹介したい。

 

【inliving.】

元女優の「りりか」が出演するチャンネル。もともとファンが存在したとはいえ、昨年10月からはじまったチャンネルにもかかわらず、すでに登録者数18万人という人気ぶりだ。

静かでスピードを抑えた舌っ足らずな語り口に、「ワセリン、コンシーラー、グロスのみ」とナチュラルメイクを想像させる化粧品、しかも購入品紹介は無印良品オンリー。彼女のキャラクターは、いわゆる「ていねいな暮らし」を心がける「自然派」の女性といったところだろうか。

最近公開された動画にも、彼女が浅草で購入したおみくじとお土産を静かに見つめたり折ったり説明したりするだけのものがあるが、それだけで約8万回視聴されている。

「inliving.」の強さは、「ていねいな暮らし」「自然派」を示す記号を随所に盛り込み、強靭な世界観が構築されている点だ(実はこのチャンネル、末永光という写真家がディレクションしており、ビジュアルの完成度の高さは当然といえば当然かもしれない)。

また、右手薬指にはめた指輪、たまに見せる遠くを見つめるような表情など、ミステリアスな雰囲気も漂わせている。一貫したキャラクター設定と、「もっと知りたい」と思わせるそうしたつくり込みが、ファンを惹きつけているのだろう。

 

【まみむめもちお】

元歯科衛生士の「もちお」によるチャンネルだ。こちらも、昨年4月に公開し登録者12万人と大人気である。

こたつやぬいぐるみなど、等身大の女性らしい家具や小物が雑多におかれた部屋で、普段着に半纏をまとった20代の女性が料理を作ったり食べたり掃除をしたりする。

チャンネル開設当初は、「逆立ちして牛乳を飲む」「1秒で500ml水を飲む」等の「やってみた系」動画を投稿していたが、最近はそうした「一人暮らし独身女性のリアルな日常」をそのまま撮ったような自然体の動画にシフトしている。

「食器洗いが面倒で溜めてしまう」「朝大慌てで家を出るので家が散らかってしまう」など、「面倒にならないよう食器はすぐ洗う」「朝は7時過ぎに自然と目が覚める」という「inliving.」のりりかとは対照的に、「ダメなところを積極的に見せる」姿勢が男女問わず共感を呼び、好感度を上げている。

日常系YouTuberの最大の武器は「ルーティン」動画

これら2つのチャンネルの武器は、どちらも「ルーティン」動画である。朝起きた直後や、帰宅してから寝るまでの間にすること、自分の様子などを紹介するものだ。

「赤の他人の生活を覗き見ることの何が楽しいのか」という疑問が生まれるが、inliving.のモーニングルーティンは120万回再生、もちおのナイトルーティンは161万回再生とどちらも驚きの再生回数である。

なぜ、視聴者は「ルーティン」動画にハマってしまうのだろうか。

今回紹介している2つのチャンネルは、それぞれ異なる楽しみ方をされているようだ。

「inliving.」を好んで観ているという何人かの知人に聞いたところ、

「普通にかわいいから観ていて飽きない」(男性)
「映画を観ている感覚」(男性・女性複数)
「無印で買い物している感じ」(女性)

このような感想が挙げられた。

先述の通り、写真家が編集に携わっているので、映像作品としての完成度は当然一級品である。カメラアングルやBGM、光の使い方など、映像初心者の私でもわかるほどクオリティの高い映像だ。

そこに、つくりこまれた世界観とキャラクターが合わさって、例えば岩井俊二監督の映画を観ているような感覚に浸ることができるのだ。「無印で買い物」する時のように、目的を持たず、ただその雰囲気を楽しむためにルーティン動画を観ているのが、「inliving.」の視聴者なのかもしれない。 

「映像、雰囲気を楽しむ」感覚と、「共感、安心したい」欲望

一方、「まみむめもちお」のコメント欄をに目をやると、

「突然片づけしたくなっちゃうのわかる笑 それで寝不足になるよね」
「かっこつけたYouTuberが多い中で新鮮で楽しい」
「ありのままの姿をさらけ出す勇気がすごい」
「ダラダラしているの私だけじゃないって安心できる」

といった内容のコメントが多数。

また、「料理しているだけ偉い」「節約しているところに生活力を感じる」といったコメントもちらほら目につく。

理想的で美しいルーティンを見せる「inliving.」に対し、意図的か否かは定かではないが、あくまで自然体のリアルな姿をそのまま見せる姿勢を貫く「まみむめもちお」。できない姿もそのままさらけ出す様子に、好感を抱き、共感するという視聴者が多いようだ。

それに加え、簡単とはいえ料理している、野菜は再生できるものは育てるなど、だらけているだけではなく節約している様子への好感度も高い。

共感が生む安心感、そして、「自分よりも少し『生活』ができる友達」を応援しているような感覚を、人々はもちおに抱きながら眺めているのだろう。

YouTubeにはまだまだ可能性がある

2つのチャンネルからは、やや飽和状態にある現在のYouTube市場に残された可能性が見えてくる。

YouTubeチャンネルには、まだまだニッチなターゲットがあるということだ。

「inliving.」のように「無印系」「自然派」「ていねいな暮らし」といったキーワードに興味を持つ特定層にリーチできているチャンネルは意外と少ない。大衆向けを前提につくられているチャンネルが多い中、そのエアポケットに見事に入り込んでいった「inliving.」は実に華麗だ。

このチャンネルが狙っている層のように、「確実に存在する一方で、YouTubeという媒体においては“縁がない”存在とみなされてしまっている」ニッチなターゲットはまだまだあるはず。例えば、マガジンハウスの雑誌『GINZA』が対象にしているようなモード系など…。

また、「もちお」の共感・好感度の高さからは、いまの時代、YouTuberが努力次第でテレビタレントと並ぶ、またはそれ以上の存在になれる可能性を秘めていることが分かる。コンテンツ自体の面白さはもちろんだが、若い世代にとってはテレビ以上に身近な存在であるYouTubeというメディア。動画数を増やせば視聴者接点も増やせるその特性も、十二分に活かされた結果ともいえる。

固定観念をぶち壊し、新しいジャンルをどんどん切り拓いていくYouTuberたち。環境変化に呼応し、進化するYouTubeから、まだしばらく目が離せない。


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性別で夢をあきらめず働ける世の中になるように。国際女性デー、イラストにこんな思いを込めました

国際女性デー

3月8日の国際女性デーは、1904年にニューヨークで女性たちが参政権を求めたデモをきっかけに制定された。

100年ほど前の女性には、政治に参加する権利がなかった。

日本で女性の参政権が実現したのは、1945年、第二次世界大戦が終わってからだ。

100年かけて、社会は少しずつ前に進んできた。もちろん、1歩進んだら何歩も後退することもあったかもしれない。

「女性が政治の話をするなんて」

「女性が仕事につくなんて」

「女性が化粧もせずに外出するなんて」

「女性が結婚するときに名字を変えないなんて」

「女性が3歳まで子どもと一緒に居ないなんて」

「女性が責任者をやるなんて」

「女性が上司になるなんて」

「女の子が泥だらけになって遊ぶなんて」

「女の子なのに料理ができないなんて」

それでもいままで言われてきた常識の枠は、少しずつ違和感を持って変わってきた。

過去にとらわれてきた枠の中に、未来の姿はない。いま自分がとらわれている枠の中には、この先の世界を変えるヒントがあるかもしれない。

「男性が家族を養うのが当然」

「男子台所に入るべからず」

「男性はデートでお金を多く出す」

「プロポーズは男性からするもの」

「男性が子育てのために会社を休むなんて」

「男性なのに力仕事ができないなんて」

「男の子が弱音を吐くなんて」

「男の子がケーキを作るなんて」

「男の子がかわいい小物を持つなんて」

男性はこう、女性はこうと決められたステレオタイプは、様々な性別のなかで生きるセクシュアル・マイノリティに対する偏見も助長してきた。 

「女だから」と言われ悔しくて眠れなかった日、そんな自分が「男の子なんだからちゃんとしなさい」と弟を叱った日。こんな社会の苦しみは、平成とともになくしてしまえ。

国際女性デーのバナーを描いてほしいと依頼されたとき、常識の枠を疑うものはなんだろうと考えた。

そこでふと思い出したのは、自分が感じた職業への違和感だった。

あのとき、もう一人女性記者がいたら。国際女性デーのバナーを描きながら考えたこと

初任地の総局。雑多な雰囲気でいつもバタバタしていた。

記者になり、いきなり飛びこんだ初任地で、総局には女性記者が自分1人だった。

古びた赤茶色のビルに、汚いトイレ。男女共用の泊まり部屋。数人の記者に1人のデスク、総局長。うるさいキャップ。

日々の仕事は刺激的で、特ダネを取って紙面に白抜きの見出しが躍れば飛び上がるほどうれしく、数少ない一面トップに署名が乗れば、満塁ホームランを打つよりも、一本勝ちで優勝するよりも達成感があった。

ただ、取材には人に言えない悩みもついて回った。

警察や自衛隊をまわり、幹部などの取材先に身体を触られても、口に出せない。悩みぬいた末に上司に相談するのに、半年かかる。

「なんでその場で言わなかったんだ」「こんな後に言われてもな」と叱られた。

先輩が発するセクハラまがいの言動を咎めれば「おー怖い、刺されるわ」と笑われるだけ。

「どうせほとんどの女性記者は、中面の主婦向け記事書くくらいしか需要がないからさあ」とベテラン記者に諭されたこともあった。

ありがた迷惑な説教を聞きながら、男性が書く硬派な記事が新聞の華だ、と言わんばかりの空気を感じた。

別の任地へと移動になってからは、マラソン好きの幹部を「落とす」ため、週3回の20kmランニングに付き合ったこともあった。

男性記者に負けたくないと肩ひじを張り、毎日リポビタンDを持って、家に帰ってくる幹部を待ち伏せては「お疲れ様でした!」と手渡した。事件があれば地図帳を片手に片っ端から情報を集めて回った。

でも、幹部と親しくなれば「スカートをはいて回るやつはなあ」と記者クラブで陰口を叩かれ、すべての努力は「女だから有利」で片づけられることも少なくない。

政治の女性参加を、と声高にうたいながら、硬派な記事を書く政治部のアイコンはスーツを着た男性。

女性の生きづらさを書く特集は、女性記者ばかりの署名が並ぶ。

他社にも、女性記者が1人だけというパターンはそれなりに見かけた。女も男も関係なく、スキルを教え込む尊敬できる記者がいる反面、「女は扱いにくいから」とろくに取材手法を教えてもらえない後輩の悩みも聞いた。

なんで記者なんかやっているんだろう。そう思った日もたくさんあった。

でも、こうしてまだパソコンに向かって文章を書く自分は、記者という仕事が好きだ。これから記者を目指す学生世代に、記者として成長したいと新聞社で働く人たちに、「女だから仕方ない」と思わせるような職場であってほしくない。

あの時、もう一人でいいから女性記者の先輩がいたら。そもそも、記者が男女同じくらいいれば、こんなことを考えないで済んだんだろうか。

それは記者だけじゃない。

パイロット、警察官、医師、大工……女性の割合が圧倒的に少ない職場で日々活躍したり、別段輝けなくたって日々奮闘して、どろどろになりながら踏ん張っている女性たちが世の中には必ずいる

バナーデザインはあまり頭に浮かばなかったが、スケッチブックを開き、鉛筆を走らせながら、そうした背景が頭をよぎった。

女性比率が半数に届かない職種は、1990年に72.9%、2015年の時点で70.2%。

そんななかから、いくつかの職種を選び、自信を持って働く姿を想像して描き出していこうと思った。

働きに出る女性の数が増え、共働き家庭が急増したにも関わらず、女性の比率が低い職は旧態依然として多い状況が続いていることが数字から見てとれる。

事務職など多くいる職種に女性がさらに増える一方、男性社会とされる職場にはなかなか女性が仕事を続けられない背景が横たわっている。

圧倒的男性社会に生きる女性、逆に保育士や看護師、キャビンアテンダントなど圧倒的女性社会の中で働く男性もいる。

マイノリティとして職場で生きてきた人たちへ、そしてこれから「こんな職業に就きたい!」という夢を女性も男性も性別であきらめない世界であればと切に願う。

女だから。男だから。

性別を理由に、何かを諦めた経験はありますか?

女だから。男だから。 闘わなければならなかったこと、自分で自分を縛ってしまった経験は?

ハフポストは、平成が終わる今だからこそ、女性も男性も、みんなが性別にとらわれずに自由に生きられる未来を語りたいと思います。 

性別を理由に、何かを決め付けたり、自分で自分を縛ったりしないで。

みんなが自分の可能性を信じて、自由に選べるように。

ハッシュタグ #わたしを勝手に決めないで をつけて、みなさんの声を聞かせてください。


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女性パイロットは日本に0.2%、女性警察官は9.4%。バブルの時代から、女性は職場にどれだけ増えた?

女性パイロットは2015年時点でいまだ10人で、0.17%となっている

昭和が終わり、新時代の幕が開けた1989年。その翌年、平成最初の国勢調査が行われた。15歳以上の国民における、職業の男女数も調査された。

 まだ“専業主婦”が当たり前だったころ。共働き家庭は823万世帯に上っていたが、依然として専業主婦が夫や家族を支える家庭が共働きを74万世帯上回っていた。

ただ、働いて経済的に自立する女性も昭和時代より増えてきた時代でもあった。
1990年、 職業の総数に占める女性割合1位は家政婦(ハウスキーパー)、家事手伝い、歯科衛生士、助産婦(助産師)、保健婦(保健師)で、いずれも100%だった。
一方、一人も女性がいない職業は、船大工や炭鉱で働く採炭員、電気・ディーゼル・蒸気機関の機関士など8職種。

電車の運転士も、女性はたった4人だった。パイロットと、操縦を補佐をするフライトエンジニアの女性は合わせて14人。

電車の運転士は、男性が4万269人、パイロットとフライトエンジニアは5852人。それぞれ、女性の比率は1%にも遠く及ばなかった。

平成最初の国勢調査となった1990年と、最後となった2015年のそれぞれの調査で、従事する女性の割合が少なかった職業トップ10位まで

 それから25年。平成最後の国勢調査は、2015年に行われた。

女性が従事する割合が伸び悩んではいるものの、女性割合が低い職業10位までで、女性が1人もいなかったのは鉄道線路工事従事者のみ。

1990年には女性が4人だった鉄道運転従事者も、2015年には1120人に増えた。その割合も0.01%から3.04%になっている。ただ、パイロットはいまだ10人で、0.17%となっている。

しかし、依然として家事や育児、介護などに割く家事関連労働の時間は、女性が圧倒的に多い。 

家事労働は依然として女性ばかりが時間を割いている

1991年にあった総務省の調査では、1日の家事関連時間は女性が3時間52分で、男性は24分。アニメの1本分くらいしかない。

2016年には、女性が3時間28分に対し、男性は44分。たった20分しか伸びなかった。

男性社会の職業、女性はどのくらい増えたのか

いまだに男性社会だと揶揄されるマスコミ業界。

2015年時点で記者・編集者における女性の割合は36.4%。1990年には22.5%だったので、徐々に増えているようだ。

新聞社の中でも写真部の女性は特に少ない。

カメラ業界にいる女性は2015年時点でも29.467%で、記者よりもカメラを扱う仕事のほうが、女性の割合が少ないことが分かる。

 

大工として働く女性も全国に3500人以上いる

男性が多いイメージの建設現場。大工の女性は1.003%(2015年)で、1990年より0.1%だけ増えた。これは、女性の志望者が少ないことも要因とみられる。

大学入学試験での不正な得点操作で減点されていたことでも話題になった医師の世界ではどうか。

女性医師の割合は1990年に11.85%だったが、2015年には21.41%と倍近く伸びている。

しかし、東京医科大学などの不正得点調整に見られるように、依然として女性が少ない環境で、医学部医学科の入学男女比を見ても、男女が1対1以上になる大学は、2018年度入試で76校中18校しかない

同じくらいの割合で見ると、2015年時点のバーテンダーの女性割合は18.48%。こちらも1990年から2倍弱増えている。

女性の警察官・海上保安官は、9.426%(2015年)で意外に少ない。ただ、こちらは15年前よりも約3倍に増加していた。

司法における男女比のいびつさも、25年で少し変化があった。

1990年、裁判官・検察官・弁護士といった法廷に立つ職業は、女性が1040人で全体の5.9%。2015年には、4920人に増え、16.67%に。ただ2割にも届いておらず、司法に女性の声が反映されにくい要因になっている可能性がある。

意外だったのは調理人。コックや板前は男性のイメージが根強いが、女性の比率は2015年で59.424%と、男性よりも占める割合が高かった。

 女性の割合が高い職業トップ10はどう変化したか

 女性の割合が圧倒的に少なかったり、なかなか比率の伸びない職業がある一方で、いまだに女性だけの職業というのもある。

1990年には男性が0人だった保健師も、2015年には820人増えて2.07%に。しかし、いまだ男性には受験資格がない助産師は、2015年も女性が100%で1位となった。

このほか、保育士の人数が約25万人から約52万人と倍以上に増加。しかし男女比率はほぼ変わらず、いずれも90%台後半だった。

1990年と2015年で、女性が占める割合が多い職業トップ10

2015年現在、国内で働く女性の人数を見ると、事務として働く女性が681万2730人で圧倒的に多い。

これは1990年も同じ構図で、715万2947人が事務に従事していた。

また、雇用される女性に占めるパートタイマーなどの短時間雇用者の割合は年々増加。2015年には、46.7%が短時間雇用だった。 

労働力調査の2018年の速報値では、非正規雇用における女性の割合は68.4%と圧倒的に多かった。

短時間労働者の男女総数を見ても、女性は7割近くを占めている

平成の時代を通して、雇用される女性が増えてきたのは確かだ。

女性が性別によって就きたい職業をあきらめず、就職する土壌が少しずつできてきたのかもしれない。

しかし依然として女性が就業する仕事の構図は、医師や弁護士などの専門職や技術職では割合が低い。

そして、家事や育児をこなすために短時間や非正規の仕事を選ばざるを得ない女性も多い。

女性だけでなく、家事を顧みない代わりに長時間労働を強いられる男性社会の認識も変えていく必要がある。

幼いころの夢や、就きたいと思った職業に「女の子だから、男の子だから向かない」「女性が少なくて働きにくいから」「家事を担わないといけないから」などといった理由を押し付けられ、夢を変えたり、自分を縛ったりしない未来は、次の時代の一歩にかかっている。

女だから。男だから。

性別を理由に、何かを諦めた経験はありますか?

女だから。男だから。 闘わなければならなかったこと、自分で自分を縛ってしまった経験は?

ハフポストは、平成が終わる今だからこそ、女性も男性も、みんなが性別にとらわれずに自由に生きられる未来を語りたいと思います。 

性別を理由に、何かを決め付けたり、自分で自分を縛ったりしないで。

みんなが自分の可能性を信じて、自由に選べるように。

ハッシュタグ #わたしを勝手に決めないで をつけて、みなさんの声を聞かせてください。


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「こんなものを信じないで」アメリカの俳優、画像編集のやりすぎに怒り

アメリカの俳優、ジャミーラ・ジャミールが3月7日、Twitterに投稿したポートレートが反響を呼んでいる。写真は画像編集されたもので「こんなものを信じないで」と訴えている。

I was just doing a new spoof motivation sultry pic and was struck by how heavily edit this picture of me is. How dare they? It made me so mentally unwell trying to live up to this image in person. Airbrushing is the damn DEVIL. 💔 pic.twitter.com/LjcFh2D69l

— Jameela Jamil (@jameelajamil) March 6, 2019

ヒョウ柄のドレスを着てポーズをとる写真に、ジャミールは次のようなコメントを書き込んでいる。

胸のストレッチマークはどこへいったの?

私の腕はこんなに細くない。

肌の色はもっと濃い。

こんな編集をするから、女性は自分のノーマルなひざを嫌いになってしまう。

私のひざはこんな風じゃなくて、もっとヴァギナっぽい。それで全然問題なし。

くるぶしまで編集されてる!私のくるぶしの何かがダメだと思われたの?

Ps. 私はこんな外見じゃない。これは死ぬほど編集されている

こんなものを信じないで。

写真の撮影目的については触れていないが、「かなり編集されていて驚愕した」というジャミール。

「なぜこんな編集をするんだろう? こういう写真を見たら、精神的にすごく落ち込む。この写真のような人間にならなきゃいけないと思ってしまう」とコメントする。

10代の頃に摂食障害に苦しんだ過去を持つジャミールは、SNSなどでボディ・ポジティブなメッセージを発信し続けている。そして見た目を大幅に変えるような画像編集に警鐘を鳴らす。

BBCのインタビューでジャミールは次のように指摘する。

「画像編集はすごく問題があると思っています。特に女性にとっては、武器のような存在になっています」

「私たちが気づいているより、ずっとたくさん問題を引き起こしている。だけどメディアやカルチャーや社会によって、(問題が)見えなくなってしまっています」

「私は10代の時に摂食障害に苦しみました。だから雑誌に載っている“完璧”なイメージが、どれほどダメージを引き起こすかを知っています」

写真が加工されていてもほとんどの人は気づかず、写真のようになろうとして苦しむとジャミールは説明する。

ジャミールの投稿は現時点で6万1000以上いいね!され、共感や自分の体が好きになれないという不安など、多くのコメントが寄せられている。

「私の膝は(ライオンキングの)シンバのよう。だけど私は気に入ってる」

My knees look like Simba and I embrace it ✨ pic.twitter.com/W6ZYgYlqZR

— Em Gem 💎✨ (@ecgeering) March 6, 2019

 「10代の頃、自分の膝がうつった写真をみて『醜いモンスターみたい』って思った。画像加工されたモデルの膝のようじゃなかったから」

I remember being a teen and seeing my knees for the first time in a photo. I thought to myself,” I AM A DISGUSTING MONSTER!!!” Just for having knees. All because I didn’t look like airbrushed models that I was subliminally use to seeing in the mags.

— Ray Gunnz (@ray_gunnz) March 6, 2019

「胸のストレッチマークのことを読んで、こんなに勇気付けられたのは初めて。私の胸にも、12歳の時からストレッチマークがある。ずっと嫌いだった。どうしても克服できないんです」

honestly i have never felt more empowered than when i first read you talking about your boob stretch marks. i’ve had mine since i was 12 and it is the thing i dislike most about my body, i just can’t get over it.

— Dearna May (@DearnaMay) March 6, 2019


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「この国は、女性にとって発展途上国だ。」 広告・メディアに必要な人権意識とは?原野守弘さんに、白河桃子さんが聞いた。

「この国は、女性にとって発展途上国だ。」というキャッチコピーで、話題をさらった、化粧品会社ポーラ(POLA)の2016年の広告。手がけたのは、クリエイティブディレクターの原野守弘さん(株式会社もり代表)だ。

男女の格差が根強く残っている日本社会。女性にとって、そして男性にとっても息苦しい社会を変えるために、広告・メディアは何を考え、どう表現していけばいいのか。

それを考えようと開かれた「ジェンダーとコミュニケーション会議」(外務省・東映エージエンシー主催)で登壇した原野さんに、少子化ジャーナリスト、作家の白河桃子さんが聞いた。話題は、女性を取り巻く状況に切り込んだPOLAの広告が生まれた背景から始まり、「人権」や公共に果たす責任についての考え方へも及んだ。

 

 

 

「寛容性を持って語りかける」広告とは

 

原野:ジェンダーの問題も含めて、解決すべき社会問題がたくさんある。広告を通じて企業も発言するようになってきています。私が手がけたものの一つがPOLAのCMです。

白河:「この国は、女性にとって発展途上国だ。」「この国には、幻の女性が住んでいる。」「この国では、二つの顔が必要だ。」というメッセージの3部作でしたね。女の人が笑わない。化粧品会社のCMなのに、真顔というのがすごく印象的で話題になりましたね。

原野: POLAのビューティーディレクター(販売員)の人材募集のためのCMです。割とよくあるのは「好きなことを仕事にすると楽しいですよ」というメッセージを発信することなんですが、20〜30代の女性が最も共感してくれて、かつ、それを言ったポーラに対して「愛とか尊敬」が集まるテーマは何だろうと考えました。

白河:「笑顔の女性が生き生き働く職場」みたいな感じの、よくありますよね。

原野:POLA本社の取締役は女性比率が高く、ビューティーディレクターが実際に働くお店も、女性がほとんどです。ほんとうに女性差別のない職場だからこそ、言えるメッセージがある。実際、この案をプレゼンしたところ、女性役員の方がすごく感動してくださり、割とすんなり決まりました。

白河:かなりチャレンジングなテーマと思うのですが、POLAの社内では賛否両論なく、すんなり通ったんですか。

原野:社内では逆に、「どうしてこれが問題になることがあるんだろう?」ぐらいの感じだったと聞いています。ただ、制作する側としては、テーマ選定の微妙なさじ加減には結構気をつけています。日本ではまだ、ハフポストのようなリベラルメディアやフェミニストの人が使命感をもって主張していることすべてが、社会全体で受け入れられているわけではないという現状がありますから。

白河:そう。フェミニズムとかジェンダーって、テレビなどではなかなか正面切っては取り上げないテーマ。だからそこは発信がすごく難しいところです。私も原稿を書くときに、どうしたら広く伝わるのか言葉の選定を考えます。

原野:そうした状況下で「世界では当たり前なんです、キリッ!」って言っても、相対的にはただ単に急進的な運動家に見えてしまう。そして、そういうものにはガードが固いのがこの国の悪いところなんです。仕方がない部分ですね。

白河:変化の急激さを嫌うんですね。

原野:もっとインクルーシブに、ある種の寛容性をもって世の中に語りかけないと、大きな反発を招くだけに終わってしまう。だから、リベラルなフェミニストだけでなく、より多くの人々に共感を持って受け入れられるゾーンをいつも探しています。

 

 

 

白河:メッセージは強く出すけれど、みんなに届ける、という表現は非常に難しいと思います。そこが腕の見せどころですが、どう作っているんですか?

原野:大事なのは「正直さ」ということだと思いますね。嘘があると、単なるぬるま湯になってしまう。あったかい感じはするけれども、本音ではない。そういうことが世の中って結構あるじゃないですか。正しいことって、割と冷たかったり、排他的だったりするんですよね。でも、それが届く。

白河:ちょっと傷つく人もいるかもしれない、ということもあるということですね。

原野:とはいえ、馬鹿正直にやってしまうと、単に社会性のない人という風に見える。だから、どこまでそのブランドが正直さをもってそのテーマについて語るか、ということですかね。そのゾーンというのを見極める必要がある。

白河:昨年のジェンダーとコミュニケーション会議ではNHKのディレクターの方が番組制作で多くの人に受け入れてもらうために「ぬるま湯を目指す」とも表現されていましたね。

原野:僕は、それに関しては正直疑問に思う部分もありました。放送とかジャーナリズムは広告とは違いますから、大衆に迎合するのではなく、進歩的な価値観を提示していく役割があると思います。公共放送がそっちに行ってしまうと、変化を遮るほうに加担してしまう。

白河:難しいですね。日本はメディアも男社会で、私は今、報道番組やワイドショーなどに出ていますけれど、編集会議は男性しかいないことが多いです。また年功序列も感じます。女性たちも実は数はたくさん働いていますけれど、まだ決定権を持つところにはほとんどいない。スウエーデン大使館の人に「政策を作るのは政府だけれど、文化、風土を作るのはメディア」と言われました。その両者が男社会のままなのが、変化を遅くしていると思います。

原野:ニュース番組も、真ん中に高齢の男性が立っていて、横にちょっとかわいい女性が2人いる、みたいなものとか。アメリカとかイギリスでは、絶対にやってはいけないと誰もが一目でわかるフォーマットをいまだに続けているのが本当に古臭い。ネットメディアではリベラルなものはあると思うんですけど、NHKを含む地上波放送が保守的というところが、結局ジェンダーギャップ指数110位という社会を作り出しているんじゃないかなと。

白河:でも広告はクライアントがいます。クライアントが「このほうがお得だよね」と思ってくれないと、変わらないのではないでしょうか。その点で、原野さんが「そちらのほうがお得」と発言してくださったり、25年前からジェンダーを広告で発信しているP&Gが企業価値を上げ、売上にも結び付いているということには、希望を感じました。 

原野:他の誰も言っていない、一見過激に聞こえるかもしれない、だけれどもターゲットの女性には支持される、ということを語ることで、企業の評価は高まる。POLAの事例はそれを明確に示しています。クライアントにとっても結局「お得」な選択肢であることを、プレゼン時には説明しています。

 

 

 

 

人権意識が低いクリエイティブを使うリスク

 

白河:日本でも「差別の構造」をそのままにして、「女性を応援」とか「私はわたしでいい」というような表現は、もう難しいと思っています。そして、世界の潮流が変わってきていますよね。いつ頃からなんでしょうか。 

原野:広告でジェンダー問題を取り上げる潮流に関して言うと、世界では2015年くらいに大きな変化がありました。カンヌライオンズ(世界最大級の広告祭)で、「グラスライオン」というアワードができたり。女性を阻む「ガラスの天井」を壊すという意味で「グラス(ガラス)」という名前になっていて、「性差別や偏見を打ち破る広告クリエーティブ」作品に賞を贈るというものです。

白河:女性だけなんですか?他に人種の問題とか…

原野:いえ、グラスライオンは、ジェンダー、女性問題だけにフォーカスしています。つまりそのぐらい大きなジャンルになっているわけです。そして、みんな、それが一番取りたい賞、かっこいい賞になっているんです。

白河:それが時代の最先端で、その賞を獲る広告クリエイターがイケてる、っていうことですか。今よく「ジェンダー主流化」と言われる意味がやっとわかった。

原野:そう。だから僕は、単純にかっこいいものを作りたかっただけ、とも言える。みんなが問題だと思っていることに対して、少しでも社会を変えていこうと発言していくことは、結果的にその会社が賞賛や好意を獲得し、長期的にはビジネスにもいい方向で返ってくる。逆に、今はそれができなくて致命傷になる企業もありますよね。

白河:なっている残念な企業もたくさんありますね。原野さんはカンヌライオンズで審査員などもされて、毎年行かれている。そうした海外のスタンダードという感覚を持っていらっしゃるところが、重要なのかなと思いました。

原野:日本の広告がジェンダーで失敗してしまう背景には、ベースとなる人権意識、人権の教育が欠けている部分もあるかもしれません。

白河:それは日本全体、政府も含めて、非常にレベルが低いですよね。 

原野:確かに、最近審査員はしていませんが。1年に1回、カンヌライオンズに行くと、世界中からクライアントや広告を作っている人たちがたくさん集まっていて、勉強になります。

 

 

白河:ジェンダーだけに限らず、広く人権意識という意味では、最近は、日清の大坂なおみ選手の広告がホワイトウォッシュだったと謝罪・撤回になってしまったものがありましたね。 

原野:そうですね、国際的には絶対にしてはいけないとされている方向に行ってしまった。それだけでなく、優勝したときの新聞広告で、「おめでとう」など日本語で書いてるものもありましたね。日本語がそこまで得意ではない大坂さんが、「日本語で」と頼まれたインタビューに「英語で話します」と返したのも話題になった。そういう現実があるのに、大坂さんに日本語でメッセージを伝えるというのは「自己満足」に見えないか、と心配でした。

白河:私も広告制作で監修に入ってほしいという依頼を受けることもあります。でも結構、最終段階だったりするんですよね。アドバイスはするけど、もうほとんど変えられないんです。もっと最初の段階で、専門家やアドバイザーなどをつけていかないと、かなりのリスクになるなという気がします。

原野:そうですね。人権意識が低いクリエイティブを使うリスクはすごく高い。しかしながら、学校でも人権の問題を教える機会が減っているとか。

白河:政府の会議でも人権とかジェンダーって言うと、「左の人」だとすぐレッテルを貼られてしまう。言葉を選んで、言いたいことをいう苦労があります。そういう言語を使っただけで、あ、こっちの人ね、みたいな変な差別がありますね。

原野:海外経験というのは重要かもしれない。教育はもちろん重要ですが、日本では教えられる人すらそんなにいない状況ですから。

白河:それに、見える風景もありますよね。例えばカンヌライオンズと日本の広告賞では男女比が全然違うのではないでしょうか。

原野:カンヌに出てくるような優秀な広告会社では、壇上に上がる人をわざわざ女性にしている企業もありますよ。

白河:戦略的にやってくると。「私はわかってますよ」というアピールですか。

原野:広告の会社だから、どうやったら自分たちがかっこよく見えるか、ってわかっているわけです。うまい。

白河:それも世界のかっこいいが変わってきているということですね。「あざとい」と言われても、したほうがかっこいいのにという場面はありますね。というと「ここは日本だから世界の基準は関係ない」みたいな反発もあるのですが…

原野:その言い方がものすごく多いんです。そういう残念なことが色々なところにあります。

 

 

  

公共への責任をどう考え、果たすか

 

白河:イギリスでは、性差別的な表現がある広告は禁止しましょうという(業界の自主規制組織による)取り組みがありました。企業利益も重要ですけど、社会的な価値も重要かと。イギリスの禁止の背景には、それが「見えない教育」であるという意識がありました。

原野:公共性、パブリックへのリスペクトをどう持つかという概念が、希薄なんではないかということを感じます。「お金を払ったら自分のもの」「テレビの枠を買ったら、好きにしていい」とか。でも、テレビのようなマスメディアで何かメッセージを発信するという場合、常にパブリックな責任というものが本来はあるわけです。

白河:最近話題のCMは、社長自らがアイデアを考えたという、銀座のクラブを舞台にしたようなものも…。

原野:加害者意識を持っていない人は、大人になれないんです。被害者意識しかないうちは、「子ども」。誰もが加害者になり得るという大人の感覚を持っている人が、日本人には少ないと思います。自分が被害を受けることには敏感なくせに、自分が言っていることや作ったものが誰かを傷つけるかもしれない、とは考えない。公共性の欠如は、そこから来ているのかもしれません。

白河:意思決定層に女性がいないし、若い人もいない。違和感があっても、若い人とか女性の声があまりうまく届いてないな、というのはすごく感じますね。

原野:女性が少ないのはその通りですが、別の観点もあります。僕の電通時代の同期に山口周君という人がいて、最近「劣化するオッサン社会の処方箋~なぜ一流は三流に牛耳られるのか~ (光文社新書)」という本を書きました。その中で「日本の会社員はオピニオンとエグジットをしない」と書いていました。つまり、上司がおかしいと思った時に、誰も「いや、違いますよ」と言わないんです(オピニオン)。言ってもわからない上司だったら、その場を立ち去るということもしない(エグジット)。これはすごく大切なことで、それらをしないということは結局そのおかしな上司と同罪になるんです。おかしいことにはおかしいと言う、それで何も変わらないのであればその場を立ち去る、そういうことをしないと、世の中に悪がはびこり、保全される。誰もオピニオンしないというようなことでは、会社という組織はどんどんダメになっていってしまうんです。

白河:日本の組織の危機ですね。上司に意見できない。イエスマンしか残ってないわけですね。

原野:そうなんです。オピニオンやエグジットに磨かれていくプロセスが起こらなくなってしまっている。同じことが広告制作の現場にもおきています。

白河:そうすると意思決定層の性別という問題だけではない。男性化した女性が上にいても、結局は多様性にはならないですね。

原野:性別の多様性も重要なんですが、その上で、きちんとオピニオンできる人がいないと何もかわらない。いつまでも誰かを傷つけるような広告が出てしまうという騒ぎは消えないのではと思います。


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好きなタイプは「ルブタンが似合う人」。彼がハイヒールを履いて知ったこと、彼女が気づいたこと。

「平成最後の今年、ハイヒールを脱ぐ覚悟はできていますか?」

こんなタイトルの記事が3月1日、採用プラットフォーム「wantedly」に掲載された。

誰が、何のために、何の覚悟をしなくてはいけないの?

「ハイヒールを履く女性はいつもきれいで凛として強い。ハイヒールを履いた素敵な方に1日密着をしてみました!」

記事は、こんな導入で始まる。

午前6時半には、インスタ映えもバッチリな朝食スムージーボールの写真。黒のパンツとヒール姿で出勤し、打ち合わせに出かけたりおしゃれななカフェに立ち寄ったりする様子をカメラと文章で切り取っていく。

実はこれ、ITベンチャー「ベルフェイス」の人事担当・西島悠蔵さん(31)のハイヒール体験記。遊び心いっぱいの企画について詳しく知りたくて、東京千代田区にある同社のオフィスを訪ねた。

 

「モテたいんでしょ、なんで分かんないの?」

「10月ごろかな。女性社員3人と僕で残業してたら、『外回りじゃなくなって、ヒール履かなくなって楽』みたいな女子トークが始まったんです」

溝にヒールが引っかかる、階段が怖い、ストッキングが蒸れる、脱いだら足が臭いーー。

次々と飛び出す「ハイヒールあるある」に、西島さんは思わず口を挟んだ。

「ほんとに?全然分かんないわ、その感覚(笑)」

西島さんが好きな女性のタイプは、ハイヒールの高級ブランド「ルブタン」が似合う女性。

「一通り恋愛経験もしてきたけれど、彼女たちは普通にヒールを履いていたし、そんなに大変だなんて聞いたこともなかったから……」

女性がハイヒールを履くのは西島さんにとって「当たり前」だった。

西島さんの反応に驚いたのは女性陣だ。そのうちの一人、同社広報の小正一葉さん(28)は当時をこう振り返る。

「男性ってこんなに知らないんだなって。『モテたいんでしょ?なんで分かんないの?』ってみんな言ってました」

「1日履いて体験してみれば?どれだけヒールが大変か分かるから…」

西島さんはその夜、Amazonで28センチのハイヒールを購入した。

人事として、女性への理解が深まるのは得策だ。ベルフェイスが取り組む、外に出なくてもオンラインで営業できる『インサイドセールス』のPRにもなるかもしれない。

「始めたばかりのTwitterでウケるかも、という期待もありました(笑)」

西島さん(左)と小正さん(右)

 

5センチ先の世界には、恐怖と感動が…

届いたハイヒールを、一人暮らしの自宅で履いてみると…。

「でかい!立てない!歩けない!高い!怖い!!って、もうそれだけですよ。鏡を見ながら、一人で何やってるんだろうって」

身長178センチの西島さんが、5センチのピンヒールを履くと、183センチになる。たった5センチ先には、想像できなかった世界が広がっていた。

撮影日、西島さんはコンビニでLLサイズのストッキングを購入した。

「やるなら、ちゃんとやりましょう」という小正さんのアドバイスだ。

個室にこもること10分。人生初のストッキングの感想は?

「こんな話…」と照れて汗を拭きながら、「ストッキング、脱がすのは得意だと思ってたんだけど、こんなに履くのが大変だとは…。女性ってすごいな、と思いました」(西島さん)

ハイヒールで街に出て、打ち合わせ先へ。「足をそろえて!」という小正さんの指導のもと、ミーティングの様子を30分かけて撮影し、その後1時間ほど会社内を案内してもらったという。

「立ち上がる時、ふくらはぎと太ももの筋肉をこんなに使うんですね」と、西島さん。

これまで、女性が座る時に両足を揃えたり、横に流したりするのは「自然な行為」だと思っていた。「座るだけなのに、すごく気を遣ってるんだなぁって。本当に驚きました

階段の恐怖も痛感したという。

階段の上り下り、めちゃめちゃ怖かったです。恥ずかしい話、撮影に協力していくれた方がヨチヨチしている僕を見て、手を差し伸べてくれてちょっと感動しました。足も痛くて痛くて。ハイヒールで階段を使う女性を見る目が変わりましたね

撮影も終盤、ヒールが折れた。

ようやく普段の靴に履き替えると、思わずいつものスピードで歩いてしまい、小正さんに怒られたという。

「歩くの早過ぎ!って。ヒールで歩く大変さがよく分かっていたので、すぐに謝りました(笑)」

折れたハイヒール。ガムテープでくっつけて撮影を続けたという

 

 ハイヒールは努力の賜物

前職でアパレルの営業をしていた小正さんは、仕事中に履くハイヒールが苦痛だった。

ハイヒールは、おしゃれをするためのアイテムとしては好き。だからファッションの中に取り入れたい時は、もちろんあります。でも仕事では、見栄えより効率を重視したい。ブランドの営業だとハイヒールの方がきちんとしている、という空気があって、苦痛でした」

そんな小正さんが、西島さんのチャレンジに付き合って感じたことがある。

「西島がストッキングを履くのに四苦八苦しているのを見て、私ってすごいなって。ストッキングを履いたり、ハイヒールで歩いたり、ビジネスシーンで座る時に足をそろえたり。できない人を見て、できる自分に改めて気づきました(笑)」

「それに、私自身がストッキングやヒールの窮屈さを当たり前に思っていたことにも気づきました。ある意味、目に見えない社会的な男女差別になっているんだなって……」

小正さんは「分からないことを理解しよう、という西島の気持ちが嬉しい」と言う。

かつてハイヒールを履かない女性を「手抜き」と思っていた西島さんも、こう振り返った。

「デートにペタンコ靴で来ると『今日のデートは本気じゃないのかな』と不満に思っていたけど、今は女性がハイヒールを履いているだけで感謝と幸せを感じられます

女性だって、生まれつきハイヒールに慣れていたり足を閉じて座れるわけじゃない。意識して努力してやってるんだ、と気づいて、すごいなと思いました

小正さん

 

当たり前なんてない

「ハイヒールを脱ぐ覚悟はできていますか?」というタイトルには、「女性がハイヒールを履くのは当たり前じゃない」という男性へのメッセージも込めた。

西島さんは今も、折れたヒールと靴を大事に持っている。

「優しさや感謝を忘れそうになったら、引っ張り出します」とヒールを眺めながらも、「もう二度とハイヒールは履きたくない」と笑った。

体験記への反響で採用活動への手応えも感じているといい、「新入社員研修でハイヒールを履いてもらったら、オンライン営業の意義が理解できるかも」と小正さんと盛り上がった。


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国際ロマンス詐欺、被害総額は5260万。娘が結婚できるなら、とローンを組んだ父も一緒に騙され…。

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千葉県などに住むナイジェリア人やカメルーン人男性が、福岡県に住む50代の女性から現金数百万円をだまし取った疑いで逮捕されたのをきっかけに、大きな注目が集まった「国際ロマンス詐欺」。

軍人などを装い、SNSを通じて「好きだ」「愛している」などの言葉を送り、相手をその気にさせて現金などを騙し取るという悪質な手口が横行しています。

家族問題の心理カウンセラーとしてさまざまな方たちの相談を受ける中で、この国際ロマンスの被害にあったという声を聞くようになったのは2年ほど前のこと。これは看過できない、と一念発起し3年前から、国際ロマンス詐欺の注意喚起と被害者支援を行う活動をしています。

今回は私のもとに駆け込んできた被害者の実話を紹介します。

 

【高橋由美さん・57歳=仮名=、未婚の場合】 

 

「登録だけして、利用していなかった大手の出会い系サイトに、アメリカ人から日本語で友達申請がきました。英語が話せるので外国人とのお付き合いに興味もあって友達申請を承諾しました」

彼の名前はアレックス。

シリアにいる米国軍人で、15歳のお子さんを育てるシングルファーザーでした。何度かやり取りした後、LINEのIDを交換。自分の身分を証明するためにとパスポートの画像と写真が何枚か送られてきました。それに応えて高橋さんも自分の写真を送ったそうです。

「写真を受け取った彼は、『君の笑顔が好きだ』、『これは運命的な出会いだと思う』と言いました。会ったこともないのに、何を勝手に盛り上がっているのと戸惑うばかり。でも愛していると言われ続けて悪い気がする人はいないでしょう?」

彼からの熱烈な「I love you」になかなか答えられなかった高橋さんですが、やがて自分からも「I love you」を初めて伝えるほど親密になっていきました。

「私が初めてI love youといったとたん、軍の報奨金としてもらった8粒のダイヤモンドを送ると言わて。さらには軍を退役したら日本に来て私と暮らしたい。退役申請の書類も一緒に送るから、婚約者としてサインをしてアメリカの国防省に送ってほしいと言い出したんです」

そして、事態は急展開を見せました。

送られてくるダイヤモンドの配送を巡ってさまざまなトラブルが発生。

まずは配送業者から、発送途中の中国でダイヤモンドが紛争で手に入れたものではないことの証明を求められていると連絡がありました。

そのためにはAmerican Gem Societyが発行するKimberley Process証明書が必要だというのです。そして証明書作成の費用として、なんと2700万円の請求が!

「これはおかしいと感じた私は、トラブルに巻き込まれたくないという思いから彼のLINEをブロックしました。でもすぐに彼からメールがきて…」

そこには、

・高橋さんにお金を立て替えてもらいたいこと

・ダイヤモンドと一緒に送った書類を受け取ってもらわないと、退役申請が出せないこと

・ひいては日本で高橋さんと一緒に暮らすことができない

と書かれていました。

アレックスを好きになっていた高橋さんの心は揺れます。結局、配送会社に2700万円を送金してしまったのでした。

ダイヤモンドが紛争で得たものではないことを示す証明書には受取人のサインが必要だというので、高橋さんは宅配業者に自宅住所、電話番号を連絡。数日後DHL(国際郵便)で実際に証明書が届いたそうです。ここがこの犯罪の巧妙なところ。実際に国際郵便で証明書が届いたため、高橋さんの心から「おかしい」と思った気持ちは消え去っていったのでした。

トラブルは続きます。

またもや配送業者から、「証明書を中国当局に提示したところ、ダイヤモンド8粒に相応の税金を払うよう要求された」との連絡を受けた高橋さん。

「その金額は5700万円。そんな大金払えるわけがありません。すると配送業者が3700万円立て替えるからと言い出して。やむなく父に頼んで実家を担保に不動産担保ローンを組んでもらい、2000万円を都合つけて、送金しました」

続けざまに起きるトラブルに、再び不信感が募りました。でもインターネット上にはきちんと配送業者のホームページはきちんとあることを確認したし、配送担当者とは電話でも話をしていて、とても丁寧な対応受けているのも事実。

また、ここまで大金を送金してしまっていたため、ダイヤモンドを受け取らないとその分を取り戻せないという焦りも出てきます。

「アレックスへの愛情なんてどうでもよくて、ダイヤモンドを何とか手に入れないといけないという一心でした」と高橋さんは振り返ります。

その後も、配送過程で配送業者がダイヤモンド取り扱い業者であることを示す書面を発行してもらう費用として670万円、追加の税金として税金の支払いが発生するとして2200万円(うち800万円は配送業者が立て替えてくれた)…と要求は続きました。

もちろん、高橋さんはアレックスに何度も資金援助を依頼しました。でも、「軍隊の口座には自由に手を付けられない、借り入れを頼める知人もいない、荷物が届いて無事退役出来たら必ず返す、ダイヤモンドが届いたら売ってくれてもいい」というばかり。

そしていよいよ、荷物が日本のアメリカ大使館まで大使館に届き、あと少し…というところで、自宅まで配送する保険料として470万円請求されました。

追加の税金を送金したとき配送業者が「もうこれで、お金が必要になるのは最後だ」と言ったにもかかわらず、さらなる請求があったことを怪しんだのは彼女の父親でした。

父親のアドバイスで「アメリカ、軍人、荷物」とインターネットを調べてみたところ、国際ロマンス詐欺撲滅を訴えかけるインターネットサイトを発見。これまでの一連の出来事が、国際ロマンス詐欺であることに気づいたのです。

アレックスと知り合って8カ月間。被害金額は5260万円にもなりました。

「手口が本当に巧みなんです。なんとかして荷物を受け取らないと、これまで支払った分を取り戻せないとどんどん追い込まれ、冷静な判断能力をなくして詐欺だと気付くことができませんでした。今思えば、確かにおかしい話だなって感じるんです。宅配業者がお金を立て替えてくれたりするわけはないですよね?」

「娘が結婚できるなら…」と父親が家を担保にして組んだローンは、現在も返済中だという。


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働く人の男女平等度、日本はG7最下位。世銀の調査で判明

働く人の男女平等度で日本は主要7カ国(G7)中、最低だった──。そんな調査結果を、世界銀行が2月27日、発表した。

世界各国と比べ、日本は男女格差(ジェンダーギャップ)が大きいとされ、労働分野でもこの課題が浮き彫りになった。

世界銀行が発表したのは、報告書「女性・ビジネス・法律」の2019年版。187の国と地域を対象に、「女性は男性と同様かつ合法的に、職種を選択することができるか」や「同じ仕事内容で同じ賃金を支払う法律があるか」など、35項目を質問。それらを「賃金」や「結婚」、「育児」など9分野に整理してそれぞれ点数化(満点は100点)し、男女平等の順位づけをした。

その結果、日本は79.38点で83位、G7中、最低だった。各国の平均は74.71点だった。日本は、女性の住居や渡航の決定権を示す「移動の自由」や遺産相続の平等などをを示す「資産管理」を含む3つの分野では100点だったが、「就労」や「賃金」では50点と、男性に比べて女性が差別されている状況が明らかになった。

職場の性差別に抗議する人たち=2018年、ロンドン

1位は6カ国(ベルギー、デンマーク、フランス、ラトビア、ルクセンブルク、スウェーデン)がいずれも100点で並んだ。

調査は2009年から始めており、10年前の平均は70.06点だったが、各国で労働関連の法整備などが進展。中でも南アジアでは約9割の国が改革に取り組んだという。

クリスタリナ・ゲオルギエヴァ世界銀行CEOは報告書の中で、「男女平等は経済成長に欠かせない要素」とした上で「男女平等を達成するには法の変化だけでは足りない」と述べた。

日本の男女格差をめぐっては、各国の格差の度合いを示す「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」(世界経済フォーラム調べ)で、日本はG7中、最も低い110位にとどまった。


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