大本萌景

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大本萌景さんの自死、「真実」求め遺族が裁判へ なぜ16歳のアイドルは追い込まれたのか

3月に自殺したアイドルグループ「愛の葉(えのは)Girls」のメンバー大本萌景(ほのか・16歳)さんの遺族が、所属事務所の社長やスタッフらを相手取り、その死の責任を問う裁判を起こす。遺族が10月11日、都内で記者会見して発表した。

大本萌景さん

原告側によると、過重労働、学校より仕事を優先しろというプレッシャー、退職妨害、パワハラなど、事務所側の「精神的な圧迫」が萌景さんの自死をまねいたとして、生きていれば得られたはずの収入(遺失利益)や慰謝料など、約9200万円を求める。10月12日に松山地方裁判所に提訴するという。

記者会見した遺族と代理人弁護士たち

経緯は?

かねてからアイドル活動に興味があり、他の事務所のオーディションなども受けていた萌景さん。中学生だった2015年7月、「愛の葉Girls」のオーディションに合格し、メンバーになった。

「農業アイドル」がテーマのグループで、メンバーは農産物の物販イベントや、土日にはライブイベントをこなしていた。萌景さんはイベントに出演するほか、週3〜4回のレッスンに参加していた。

訴状によると、イベントは拘束時間が長いケースでは、朝4時半に集合、解散が翌日の午前2時というケースすらあった。イベントあたりの拘束時間は、移動時間なども含めると1回当たり平均12時間を超えており、さらにはイベント終了後に社長宅で食事をするため、拘束が続くこともあったという。

萌景さんは、高校に思うように通学できず、事務所からの「働け」というプレッシャーで自由に休むこともできない状況で働かされていた。

たとえば2017年10月4日、萌景さんが前回、学校の遠足を休んだので、今回の遠足は仕事を休んで出たいと伝えたところ、スタッフからは「お前の感想はいらん」「学校の判断と親御さんの判断の結果をそれぞれ教えろ(それも具体的に)」などと、学校に行かなければならない理由を説明するよう、メッセージが送られてきた。

また、事務所スタッフのパワハラによって、精神的にも追い詰められていた。

萌景さんの携帯に残されたメッセージのやり取り

たとえば、2017年8月30日、「脱退したい」という思いを社長に伝えたところ、スタッフからは思いとどまるように説得されたうえ、「次また寝ぼけた事言いだしたらマジでぶん殴る」などと不穏なメッセージを送られた。

また、スタッフからのメッセージへの対応が遅れると、「返事せえや」などと強い口調で要求されるなど、日常的に高圧的な態度をとられたという。

さらに、メンバーの脱退や後輩の加入で負担が増し、萌景さんは「本気で辞めたい」と周囲に漏らすようになったという。

学費問題

そして、萌景さんが自殺する前日に起きたのが、「学費貸さない問題」だった。

訴状によると、萌景さんは2017年6月、きちんと高校に通うため、グループを脱退したいと社長に相談した。

このとき社長に言われたのが、「全日の高校に行った方が日曜日もイベント出られる」「高校の金は心配せんでえぇ」という話だった。

萌景さんは翌春からの高校生活に期待をふくらませ、学費も事務所が貸してくれるので両親に負担をかけなくて済むと考えた。

そして、社長に「来年全日受験するのに行く意味なかろう」と言われ、それまで通っていた通信制の高校にも行かなくなった。2017年12月に親に黙って退学届を出したという。

全日制高校への進学は、ほとんど実現しそうなところまで来ていた。萌景は念願が叶って合格し、2018年2月22日に入学金3万円を、さらに3月1日に制服代など6万6000円を事務所側から借り受け、学校側に支払った。

しかし、支払期限が翌日に迫った3月20日、萌景さんは、事務所スタッフに「お金をお貸しする事はできません!」と貸付を撤回されることになった。

萌景さんの母・幸栄さんが3月17日、事務所に対して「娘は2019年8月末で契約更新をせず、グループを脱退させてもらう」と伝えたことの意趣返しだろうと、原告側は主張している。

母・幸栄さんは陳述書で、このことについて、次のように表現している。

「佐々木社長は、不登校だった子どもの親の気持ちも知らず、どこまでも土足で入ってきた上に、事務所を辞めたがっていた萌景を契約で縛り続けました。佐々木社長は、『全日高校に行く』という夢の種を萌景に手渡し、その種を萌景が育てて、日に日に花の芽が期待によって膨らみ、ようやく花が開き始めたところで、理不尽に花を切り落としたように感じます。佐々木社長は、萌景を裏切ったのです」

突然、当てにしていたお金が手に入らなかったため、萌景さんは結局、全日制高校への進学を断念することになった。お金を貸してもらえないことがわかった後、萌景さんはスマートフォンで「簡単に死ぬ方法」をネット検索していたことが、亡くなった後、家族の調査で判明したという。

1億円発言

さらにこの後、萌景さんは3月20日夜に、以前から約束していた友人宅に泊まりに行った。そこでは、友人に「何も悪いことをしていないのに、社長に謝らされた」と相談していたうえ、その翌朝には友人とその母に対して、「前の日の夜、社長に一億円払えと要求された」と漏らしていたという。

契約書に違約金条項がある中で、事務所社長がそういった発言をすれば、16歳のアイドルが「本当に支払わなければならないのか」と畏怖させるに十分だと、原告側は主張している。なお、事務所側は一時期、1億円発言を否定するコメントをネット上に掲載していた。今は削除されている。

こうした一連の出来事が、萌景さんを追い詰めたと、原告側はみている。萌景さんが亡くなった日は、愛の葉グループの活動が予定されていた。

原告側は、期待していた全日制の高校にも通えなくなり、辞めさせてもらえないプレッシャーも受け、裏切られたと感じていた萌景さん。

訴状では、「萌景は、精神的負荷によって正常な認識、行為選択能力が著しく阻害され、自死行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態に陥り、自死を選択した」と指摘。他に自死の原因となるような事実・要因は一切なく、事務所側の不法行為や安全配慮義務違反がなければ、「萌景が自死に至ることはなかった」と結論付けている。

なぜ訴訟を

萌景さんの母・幸栄さん

なぜ裁判をするのかという質問を受けて、記者会見した遺族は「真実が知りたい」という言葉を口にした。

母・幸栄さんは陳述書を、次のような文章で締めくくっている。

《アイドルと親の関係というのは本当に複雑で一言では表せない関係を感じます。萌景はもう何をしても戻ってくることは二度とありません。ですが、萌景と同じような夢を持っている沢山の子供たちに、私たちと同じような悲しく苦しい思いをしてもらいたくありません。何より真実を明らかにするために訴訟提起を決意しました》

ハフポストは事務所側にも取材を試みているが、電話がつながらず、連絡が取れていない。コメントが取れれば追記する。

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