アート&カルチャー

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アカデミー賞2019年のドレスは昔のハリウッドを彷彿させた お気に入りを探してみよう

2019年のアカデミー賞では、煌びやかでグラマーなドレスが目立ち、昔のハリウッドを彷彿させた。

ロサンゼルスで行われたアカデミー賞式典は、毎年セレブにとってファッションのリスクを負わず、控えめにエレガンスを装う夜。女優ミシェル・ヨーをはじめ、『クレイジー・リッチ』のキャストが素晴らしいお手本だ。

レッドカーペットの幕を開けたビリー・ポーターは、ベルベットの「タキシード・ドレス」で正装の定義を塗り替えた。

コンスタンス・ウーは特注のベルサーチでグラマラスに、アクアフィナはピンクにきらめくスーツできめた。

世界で今大人気の「こんまり」こと近藤麻理恵さんは、薄ピンクのVネックドレスでアカデミー賞にときめきを与えた。

スクロールしてセレブのアカデミー賞ドレスをチェックしよう。

レディー・ガガ
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セレーナ・ウィリアムズ
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ジェンマ・チャン
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ケイシー・マスグレイブス 
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スパイク・リー
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ジェニファー・ロペス
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アンジェラ・バセット
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ヘレン・ミレン
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シャーリーズ・セロン
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ジェニファー・ハドソン
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エイミー・ポーラー
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ヤリッツァ・アパリシオ
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ミシェル・ヨー
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メリッサ・マッカーシー
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ビリー・ポーター
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アクアフィナ
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リンダ・カーデリーニ
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ローラ・ハリアー
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コンスタンス・ウー
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近藤麻理恵
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アメンダ・ステンバーグ
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ハフポストUS版の記事を翻訳、編集しました。

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スパイク・リー監督、ついにオスカー受賞。黒人差別や社会問題描く、力強いスピーチに賞賛集まる

スパイク・リー監督ら『ブラック・クランズマン』のスタッフ。

「第91回アカデミー賞」授賞式が2月24日(日本時間25日)、アメリカ・ロサンゼルスで行われ、スパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』が脚色賞を受賞した。

『ドゥ・ザ・ライト・シングス』や『マルコムX』など、人種差別を描いたブラック・ムービー(黒人映画)など、社会性の強い作品を数多く手がけてきたリー監督。

1990年に『ドゥ・ザ・ライト・シングス』が脚本賞にノミネートされてから、約30年経って念願のオスカー受賞となった。

リー監督は壇上に上がると、プレゼンターを務めたサミュエル・L・ジャクソンと抱き合い、喜びを爆発させた。

 最新作となる『ブラック・クランズマン』は、コメディ要素も含むエンターテインメント作品だが、ヘイトクライムなどの人種差別問題に揺れる現代のアメリカを痛烈に風刺している作品だ。

スピーチでは、元奴隷の母親を持つ、自身の祖母について話す場面も。2020年に控えた大統領選に言及し、「愛と憎しみの間で、道徳的な選択をしましょう」と力強く訴えた。

「400年にわたって、私たちの祖先はアフリカから盗まれ、バージニアに連れてこられ、奴隷にされました」

「私たちの祖先はその土地で、朝と夜がくる瞬間を見ることができない時間まで働きつづけました。100歳まで生きた私の祖母は、母親が奴隷だったにも関わらず、大学を卒業しました。祖母は私の学費のために約50年間の公的年金を貯めて、私をニューヨーク大学(NYU)大学院の映画学科に入れてくれました。彼女は私をスパイキー・プーと呼びました」

「今夜、私たちの国を築き上げた先祖たちを、大量虐殺の犠牲になった私たちの先住民とともに、賞賛を与えたいと思います。人間らしさを取り戻すために、私たちはみな祖先で繋がっています」 

最後には、2020年に迫っているアメリカ大統領選について言及。

「愛と憎しみの間で、道徳的な選択をしましょう」と語り、自身の作品のタイトル『ドゥ・ザ・ライト・シング』にかけて、「正しいことをやりましょう(Let’s do the right thing!)」と訴えた。

「きっとパワフルな瞬間になるでしょう。2020年の大統領選挙はもうすぐです。みんなで集まって、歴史の正しい場所にいるようにしましょう。愛と憎しみの間で、道徳的な選択をしましょう。正しいことをやりましょう!」


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アカデミー賞 米俳優の奇抜な「タキシード・ドレス」に世界が賞賛

ミュージカルから映画まで、幅広く活躍する俳優で歌手のビリー・ポーターが、レッドカーペットを沸かせている。

グラミー賞やトニー賞も受賞しているポーターは、クリスチャン・シリアノがデザインしたベルベットのタキシード・ドレスを装ってレッドカーペットに登場。今回アカデミー賞のベスト・ドレス賞に輝くのは間違い無い。

ポーターはインパクトのあるドレスに、同じくベルベットの蝶ネクタイ、ラッフルの付いた白い袖と大きな宝石を右手に飾り、レッドカーペットで力強くポーズをとった。

On his way to appearing on our @ABCNetwork#Oscars red carpet show, @theebillyporter stopped to “pose” for this shot. pic.twitter.com/EF0bqDOpd8

— The Academy (@TheAcademy) February 24, 2019

Twitterでは

「彼の勝ちだ。みんなもう家に帰ろう」

「彼と同じ時代に生きていて良かった!」

などなど、彼のユニークで性を厭わないドレスに賞賛のコメントが並んだ。

黒人で同性愛者を公表しているポーターは「女性がパンツを履くのは男性的で、それは良くて受け入れられて、男性がドレスを着ると女性的でそれはダメ?もうそんな考えこりごりだ」とアカデミー賞数日前に映画業界紙ハリウッドリポーターに語った。

まだアカデミー賞の式典は始まったばかりだが、このドレスを超える俳優は出てこないだろう。

ハフポストUS版の記事を翻訳、編集、加筆しました。


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アカデミー賞、全部門のノミネート作品一覧 ネトフリ初の受賞なるか?

2月24日(日本時間25日)、映画の祭典「第91回アカデミー賞授賞式」が開催される。

多様な作品や顔ぶれが並ぶなか、日本からは外国語映画賞に是枝裕和監督の『万引き家族』、長編アニメ映画賞に細田守監督の『未来のミライ』がノミネートした。

以下、アカデミー賞全部門のノミネート作品を紹介する。授賞式の模様は、25日午前8時30分からWOWOWで中継される。

Netflix初のアカデミー賞なるか? 「ROMA/ローマ」に注目集まる

【作品賞】

ブラックパンサー
ブラック・クランズマン
ボヘミアン・ラプソディ
女王陛下のお気に入り
グリーンブック
ROMA/ローマ
アリー/スター誕生
バイス

作品賞は、ノミネートした8作品のうち、5本が黒人などの非白人が主役級の役割を努めており、多様性に富んだラインナップといえる。

激戦が予測されているが、なかでも行方が気になるのが、最多10部門でノミネートしている「ROMA/ローマ」だ。動画配信サービスNetflixが製作・配信したこの作品を、保守的なアカデミー会員がこの作品をどう評価するか、注目が集まっている。

【監督賞】

スパイク・リー 「ブラック・クランズマン」
パヴェウ・パヴリコフスキ 「COLD WAR あの歌、2つの心」
ヨルゴス・ランティモス 「女王陛下のお気に入り」
アルフォンソ・キュアロン「ROMA/ローマ」
アダム・マッケイ 「バイス」

「ROMA/ローマ」よりマハーシャラ・アリとヴィゴ・モーテンセンが共演した「グリーンブック」。実話を元にしたストーリーで、黒人ピアニストとイタリア系男性の友情を描く。同作も作品賞の有力候補だ。

 【主演男優賞】

クリスチャン・ベイル 「バイス」
ブラッドリー・クーパー 「アリー/スター誕生」
ウィレム・デフォー 「永遠の門 ゴッホの見た未来」
ラミ・マレック 「ボヘミアン・ラプソディ」
ヴィゴ・モーテンセン 「グリーンブック」

【主演女優賞】

ヤリッツァ・アパリシオ 「ROMA/ローマ」
グレン・クローズ 「天才作家の妻 40年目の真実」
オリヴィア・コールマン 「女王陛下のお気に入り」
レディー・ガガ 「アリー/スター誕生」
メリッサ・マッカーシー 「ある女流作家の罪と罰」 

映画『ボヘミアン・ラプソディ』で、クイーンのフレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレック。主演男優賞にノミネートされた。「女王陛下のお気に入り」で、イギリスのアン女王を見事に怪演したオリヴィア・コールマン。主演女優賞の本命と言われている。

是枝裕和監督の「万引き家族」もノミネート

【助演男優賞】

マハーシャラ・アリ 「グリーンブック」
アダム・ドライヴァー 「ブラック・クランズマン」
サム・エリオット 「アリー/スター誕生」
リチャード・E・グラント 「ある女流作家の罪と罰」
サム・ロックウェル 「バイス」

 【助演女優賞】

エイミー・アダムス 「バイス」
マリーナ・デ・タビラ 「ROMA/ローマ」
レジーナ・キング 「ビール・ストリートの恋人たち」
エマ・ストーン 「女王陛下のお気に入り」
レイチェル・ワイズ 「女王陛下のお気に入り」 

【外国語映画賞】

カペナウム(原題) 製作国:レバノン
COLD WAR あの歌、2つの心 製作国:ポーランド
ネバー・ルック・アウェイ(原題) 製作国:ドイツ
万引き家族 製作国:日本
ROMA/ローマ 製作国:メキシコ

カンヌ国際映画祭の最高賞、パルムドールを受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」。外国語映画賞にノミネートしている。「マルコムX」のスパイク・リー監督による「ブラック・クランズマン」は、6部門にノミネートした。同作では、「マルコムX」に出演したデンゼル・ワシントンを父に持つジョン・デビッド・ワシントンが主演を務めた。

【脚本賞】

女王陛下のお気に入り
魂のゆくえ
グリーンブック
ROMA/ローマ
バイス

【脚色賞】

バスターのバラード
ブラック・クランズマン
ある女流作家の罪と罰
ビール・ストリートの恋人たち
アリー/スター誕生

【撮影賞】

COLD WAR あの歌、2つの心
女王陛下のお気に入り
ネヴァー・ルック・アウェイ(原題)
ROMA/ローマ
アリー/スター誕生

【編集賞】

ブラック・クランズマン
ボヘミアン・ラプソディ
女王陛下のお気に入り
グリーンブック
バイス

【美術賞】

ブラックパンサー
女王陛下のお気に入り
ファースト・マン
メリー・ポピンズ リターンズ
ROMA/ローマ

【衣装デザイン賞】

バスターのバラード
ブラックパンサー
女王陛下のお気に入り
メリー・ポピンズ リターンズ
ふたりの女王 メアリーとエリザベス 

【メイク・ヘアスタイリング賞】

ボーダー(原題)
ふたりの女王 メアリーとエリザベス
バイス

【作曲賞】

ブラックパンサー
ブラック・クランズマン
ビール・ストリートの恋人たち
犬ヶ島
メリー・ポピンズ リターンズ

【歌曲賞】

“All The Stars” 「ブラックパンサー」
“I’ll Fight” 「RBG 最強の85才」
“The Place Where Lost Things Go” 「メリー・ポピンズ リターンズ」
“Shallow” 「アリー/スター誕生」
“When a Cowboy Trades His Spurs for Wings” 「バスターのバラード」

【録音賞】

ブラックパンサー
ボヘミアン・ラプソディ
ファースト・マン
ROMA/ローマ
アリー/スター誕生

【音響編集賞】

ブラックパンサー
ボヘミアン・ラプソディ
ファースト・マン
クワイエット・プレイス
ROMA/ローマ

【視覚効果賞】

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
プーと大人になった僕
ファースト・マン
レディ・プレイヤー1
ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

【長編アニメ映画賞】

インクレディブル・ファミリー
犬ヶ島
未来のミライ
シュガー・ラッシュ:オンライン
スパイダーマン:スパイダーバース

「ブラックパンサー」より「未来のミライ」

【長編ドキュメンタリー賞】

フリー・ソロ(原題)
ヘイル・カウンティ(原題)
マインディング・ザ・ギャップ(原題)
父から息子へ ~戦火の国より~
RBG 最強の85才

【短編ドキュメンタリー賞】

ブラック・シープ(原題)
エンド・ゲーム:最期のあり方
ライフボート(原題)
ア・ナイト・アット・ザ・ガーデン(原題)
ピリオド 羽ばたく女性たち

【短編アニメ映画賞】

アニマル・ビヘイヴィア(原題)
Bao
Late Afternoon
One Small Step
ウィークエンズ(原題)

【短編実写映画賞】

ディテインメント(原題)
野獣
マルグリット
マザー(原題)
スキン(原題)


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いい本は「売れる」。本づくりの現場を知る私を一瞬で魅了した純度100%の小説

出版社での営業、編集者を経て、書店で働き始めて4年が過ぎた。

文芸書担当という非常に責任の重い立場で働くことにプレッシャーを感じるのは、売り上げが悪いとクビだから、という私的な理由だけでは決してない。平積みしている1点1点、棚挿ししている1点1点に、責任があるからだ。

書店は委託販売業である。書店員はお預かりした本を売るのが仕事だ。そして同時に、書店員は返本の判断を下す悪魔でもある。

版元営業も編集もやっていた経験があるからわかるが、本を出版するということ━━それは著者のこれまでの知識・経験、いわば血肉の結晶化であり、文字どおり、人生を懸けた仕事である。

そして、装丁家・デザイナーの(私のような素人にとっては)目に見えぬ微細な修正、苦労。編集・校正者の徹夜当たり前のブラッシュアップ。印刷所で働く皆さんの職人仕事。本を売りたいと願う版元営業の想い。そのすべてが積み重なっている。

ポーカーでいえば、オールインだ。出版するという行為には多くの人の力が不可欠で、もちろんとんでもないコスト、お金がかかっている。

店頭に足を運んでくださるお客様にとっては、そうした「本をつくる」ことの苦労はあまり目に見えない。いや、それでいい。だからこそ、本は尊いとすら私は考える。

最終的に店頭で手に取ってもらい、購入するかどうかを決めるのはお客様だ。書店の主役は著者でも書店員でもなくお客様であり、お客様が買いたいと思う本を、書店の客層、立地などをふまえしっかりそろえること、目に付くよう配置して手に取ってもらう機会をつくること、それが書店員の唯一の価値である。

もちろん私はいい本、おすすめしたい本を店頭で推す。それでもやはり、最終的に購入を決めるのはお客様だ。

「いい本」を見つけ、すすめ、お客様の心を動かすことができるか。それが、まだまだうまくできないでいる自分に対して、毎日悔しく思いながら日々研鑽につとめている。

一方で、「いい本だから売れる、というわけではない」というのも、ある程度正しい。

版元営業で働いていた時「こんなにいい本なのに売れない、なぜだ」と思い悩むことは、数えきれないほどあった。だが市場に出たら、あとはお客様が決めることであり、ここ(書店)は真剣勝負の本番、闘技場であるという事実は頑としてある。あまり言いたくはないが、確実に「判断」される。

しかし、前言翻すようだが、たった4年ではあるが文芸書を担当し、自分がいい本だなぁと思う本はじわりと賞を獲ったり、じわりとレヴューで好評価を得たりしていることが多くなった。自分がすすめているからということとは関係なく、お客様自身がその本を買いたいと思い、店頭で実際に売れるようになってきたというのも事実だ。「いい本は売れる(話題になる)可能性が高い」と感じている。

そもそも「いい本とは何か」という定義になると長くなりそうなので、また機会があればと思うが、ただ1つどうしても言いたいのは、命を懸けて本を執筆している、まだそこまで成功に至っていない作家の方々に「大丈夫ですよ、その血のにじむような努力を認めてくださるお客様は絶対にいらっしゃいますよ」ということ。

純度100%の小説であり、装丁も美しく、本として100点

前置きが長くなってしまったが、私の2018年のベストと信じる1冊は、奥泉光『雪の階』(中央公論新社)だ。本屋大賞ノミネートから落ちてしまったので、逆にいい機会というか、こうして推せる機会があって嬉しく思う。

最初、出版元の中央公論新社から配本が4冊あって、「どんな本かなぁ」とパラ読みした瞬間にピーンと背筋が伸びた。「あ、こりゃとんでもないぞ」とレジで購入、10冊追加で注文して、その日のうちに徹夜で読み切った。

 

あらすじ(中央公論新社HPより引用)

昭和十年。華族の娘・笹宮惟佐子は、親友・寿子の心中事件に疑問を抱く。真相を追い始めた惟佐子の前に、謎のドイツ人ピアニストや革命派の陸軍士官、裏世界の密偵が現れる。そして、次々に重なっていく不審な死――。二・二六事件を背景に描く長篇ミステリーロマン!

 

「超絶技巧」と言うべき、感嘆するしかないその卓越した筆致により浮かび上がる文章や言葉がページをめくるたびに、溢れ出してくる。

多層構造の物語のなかでさまざまな顔を見せる、魅力的で個性的なキャラクターたち。変わり者だが美しく才に長けた主人公の惟佐子がほんともう最高のヒロインで、ただただ、惚れた、恋をした。

純度100%の小説であり、読んでいて心地よい。装丁も美しく、本として100点である。もちろんストーリーは重厚であり、読み応え十分、どっぷりその世界観にハマれる作品だ。

10冊再入荷してすぐ、控えめなPOPを書いて掲出した。

中央公論新社の営業担当Mさんとやりとりし、「がんばりますよ」と伝え、販促に力を入れた。すると、徐々に話題になり、店頭で動き出した。そして、柴田錬三郎賞と毎日出版文化賞をダブル受賞し、年末恒例のミステリランキングでも続々入賞した。2018年2月発売の本だが、今もまだまだじわり売れている。

もともと高名で実績高い芥川賞作家の本をすすめていると言う意味で、「いい本」に決まってる、と思われるかもしれない。だが、そうしたこととは関係なく『雪の階』は皆様に喜んでいただけるであろうとんでもない作品で、自信を持っておすすめしたい、というのが伝わればと思って書いた。

ぜひお近くの書店店頭、レジでお買い上げいただきたい。もちろん当店でお買い上げいただければ、このうえなく嬉しい。

 

連載コラム:本屋さんの「推し本」

本屋さんが好き。

便利なネット書店もいいけれど、本がズラリと並ぶ、あの空間が大好き。

そんな人のために、本好きによる、本好きのための、連載をはじめました。

誰よりも本を熟知している本屋さんが、こっそり胸の内に温めている「コレ!」という一冊を紹介してもらう連載です。

あなたも「#推し本」「#推し本を言いたい」でオススメの本を教えてください。

推し本を紹介するコラムもお待ちしています!宛先:book@huffingtonpost.jp

 

今週紹介した本

奥泉光『雪の階』(中央公論新社)

今週の「本屋さん」

長谷川雅樹(はせがわ・まさき)さん/ブックデポ書楽(埼玉県さいたま市)文芸書担当

どんな本屋さん?

埼玉県の北与野駅から徒歩1分、豊富な品揃えで来る人を魅了する本屋さんです。目利きの書店員さんたちがつくる棚のすごさは一目瞭然。なかでも、文芸コーナーに貼られている担当さんのPOPは、いつも熱量に溢れています。こんなにも真摯に棚を耕しているお店があるなんて、埼玉の人が羨ましい! もちろん、県外の人も足を運ぶ価値のあるすてきなお店です。

(企画協力:ディスカヴァー・トゥエンティワン 編集:ハフポスト日本版)


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特殊技術で我が家のペットに変身。リアルすぎるマスクが開発された理由を聞いた

造形作家などクリエイターの技術を生かした商品開発を行っている会社が、完全オーダーメイドで自分のペットに変身できるマスクの製造を開始したと発表した。

ベンガル猫とそっくりのご主人

あまりにもリアルすぎるこのマスク、なぜ開発に至ったのか。その理由を聞いた。

■プロの特殊造形作家が作成 

開発した合同会社新藤倫佳企画事務所によると、普段ゆるキャラの着ぐるみや映画の小道具、それにフィギュアなどを手掛ける専門の特殊造形作家が製作を担当する。

ペットの写真を元に粘土で彫刻を作成し、型を取る。出来上がったマスクに丁寧に人工の毛を貼り付けると、毛色や模様を塗装し、再現していく。注文から出来上がりまでおよそ1ヶ月の時間をかけて作るという。

写真を元に毛色を再現する

完全オーダーメイドで、とにかく元のペットとそっくりなのが売りだ。価格は30万円からで、塗装の量や難易度などに応じて高くなる。

犬や猫などの哺乳類に留まらず、爬虫類などのペットでも受け付けるが「人と構造が違うので目の位置などは相談が必要」だという。

■特殊造形の技術を身近に

このリアル過ぎるマスク、どれぐらい需要があるかは分からないという。

ではなぜ、製作しようと決めたのか。

開発した会社の新藤倫佳代表は「可愛いマスクは世の中にありふれていた。私たちは世にないものを作りたかったので、自分のペットになれるマスクは作る価値がある」という。

さらに、特殊造形作家という職人の世界が、一般の人たちに馴染みが薄かったことも決断の理由だったという。新藤さんは「作家に作品を頼み、自分のペットを作ってもらうことで特殊造形の技術を身近に感じて楽しんでもらえる」と考えている。

「SNSに顔を出すのが恥ずかしくても、顔を隠せて逆に目立てる」と新藤さん。高価ではあるが、どこまで広がりを見せるか注目だ。

 

 


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「日本だから例外」にはならない。日清CM騒動から考える、マイノリティーを描くということ

大坂なおみ選手、日清食品カップヌードルの動画

1月のテニス全豪オープン開催中に、日清食品が「カップヌードル」のアニメCM動画を削除する騒動があった。

動画に登場する大坂なおみ選手の肌の色に対し、「黒人差別にあたるホワイトウォッシュ(非白人を白人のように描くこと)ではないか」と指摘する声が、多方面であがったのだ。

 ニューヨーク在住のライターで、ブラックカルチャーに詳しい堂本かおるさんは、いち早くこの問題に気づき、SNSで異議を唱えた一人だ。

「今回の件でもっとも重要な点は、日本に住む肌の色が濃い子どもたちが、肌を白く塗られた大坂なおみ選手を見てしまったことです」。堂本さんはそう指摘する。

海外から強い批判を受けたアニメCMだが、この問題は、決して「日本だから例外」にはならない。日本にも、多様なルーツやバックグラウンドを持つ人たちが住んでいる。

多様化とグローバル化が進む中、この問題をどう考えるべきか? 私たちが知っておくべきことは何なのか?

日清CM騒動やホワイトウォッシュ、ブラックフェイスに関する堂本さんの考察をもとに、いま改めて考えたい。

大坂なおみ選手が、極めて「日本的な価値観」の中に閉じ込められていた

日清のCMは、人気マンガ「新テニスの王子様」の世界観に溶け込んだ大坂選手と錦織圭選手がグランドスラムを目指し、修行するという内容だった。

動画には好意的なコメントも寄せられたが、同時に大坂選手の肌の色に違和感を唱える声が多数寄せられた。

堂本さんは、「黒人とのミックスで、褐色の肌の色をした大坂選手があれほど『白く』描かれていることにショックを受けた」と語る。

「CM制作にあたって、動画では日本の『アニメの世界観』という、とても狭い範囲をベースにしています。しかし、日清は世界展開しているメーカーで、カップヌードルは私が住む、ニューヨークの黒人地区ハーレムのスーパーマーケットでも売られています。日本のアニメも世界中に行き渡り、アメリカの黒人の若者たちにも浸透しています」

日清食品が公開した動画より

 大坂選手は多様なバックグラウンドを持つテニス選手だ。ハイチ系アメリカ人の父と日本人の母を持ち、大阪で生まれ、3歳の時にアメリカに移住した。

堂本さんによると、大坂選手は「日本、ハイチ、アメリカの文化を持つが、人種としてはアジア系と黒人のマルチ・レイシャル(複数の血筋を持つ)。ただし、アメリカでは一般的に”黒人”とみなされる」という。そして、大坂選手本人も「ブラック・ガール(black girl)」と自称している

一方で、日本では「黒人」としての大坂選手のアイデンティティーにはあまりフォーカスが当てられない。「日本人選手」として取り上げられるのが基本で、記者会見では「日本語」のコメントを求められる場面も多発した。

大坂選手は一言では説明できない、複雑なアイデンティティーを持っている。それが彼女の魅力の一つでもある。

そして、その一面を持ちながら、パワフルなプレースタイルや親しみやすいキャラクターで「人種」や「国籍」という枠を飛び超え、世界中の人を魅了しつづけているのが、大坂なおみという一人のテニスプレイヤーだ。

しかし、今回の日清の動画は、大坂選手を極めて「日本的な価値観」の中に閉じ込めてしまっていた。

「今回の件でもっとも重要な点は、日本に住む肌の色が濃い子どもたちが、肌を白く塗られた大坂なおみ選手を見てしまったことです」と、堂本さんは指摘する。

「子どもたちにとっては、『あなたの肌も白くあらねばならない』というネガティブなメッセージになりかねません。つまり、日清のようなグローバル・ブランドが、現在の日本にすでにグローバル化している人たちがいることを見落とし、傷付けてしまったのです」

そもそも、ホワイトウォッシュとは何か?

この問題をめぐっては、大坂選手の描かれ方に違和感を唱える声が上がる一方で、そうした意見を「過剰反応」だとする声も少なくなかった。

しかし、黒人差別の歴史を持ち、今なおその影響が残るアメリカにおいて、ホワイトウォッシュは非常に根深い問題だ。

そもそも、ホワイトウォッシュとは何なのか?

堂本さんによると、よく見られるケースが、「アジア系やアフリカ系など、白人以外の『マイノリティー』の役柄を白人俳優が演じること」

日本語で「〜を白く塗る」などの意味を持つ「ホワイトウォッシュ(whitewash)」は、白人中心的だったアメリカの映画産業において、近年盛んに議論されている問題だ。

たとえば、2017年に公開された士郎正宗原作の『攻殻機動隊』ハリウッド実写版では、主人公が日本人女性にも関わらず、スカーレット・ヨハンソンが主役に起用されたことで大きな批判が起きた。

「2018年に公開された『クレイジー・リッチ!』は、アジア系の映画として異例の大ヒットとなりました。主役を務めたコンスタンス・ウーは、以前よりハリウッドのアジア系俳優の立場について声を上げています。宋王朝時代の中国を舞台とした『グレートウォール』(2016)でマット・デイモンが傭兵を演じた際にも、異議を唱えていました」

「映画会社には、白人俳優を使う方が興行収入が上がる、という思い込みがあるものと思われます。それ自体、マイノリティー俳優の存在と才能をないがしろにしていますし、そもそもマイノリティー俳優の少ない出番をさらに減らすことにもなっています」 

『クレイジー・リッチ!』で主演を務めたコンスタンス・ウー

肌の色の「ホワイトウォッシュ」、過去にはビヨンセも対象に

そして、白人俳優の起用によるホワイトウォッシュとは別のパターンとして問題視されるのが、「マイノリティーの肌の色を明るく修正する」ことによるホワイトウォッシュだ。

日清食品は「(大坂選手の肌の色を)意図的に肌を白くしたということはない」と否定しているが、今回の動画で指摘されたホワイトウォッシュはこれに該当する。

「こうしたホワイトウォッシュも、根本の理由は映画の場合と同じです」と堂本さんは指摘する。

「マイノリティーを使うのであれば、マイノリティーの特性を希薄にし、表層だけでも白人に近づけたいわけです」

過去には、ビヨンセが起用された化粧品ロレアルの広告で肌の色が明るくなっているとして、アメリカで大論争が起きたこともある。 

This is an example- for me this is not abt beyonce- it’s abt the thinking behind the loreal ad campaign: pic.twitter.com/OITHC0OJa6

— Media Diversified (@WritersofColour) January 5, 2014

 また、ケニア人の両親を持つメキシコ出身のルピタ・ニョンゴやディズニー初の黒人のプリンセス(ティアナ姫)なども、ホワイトウォッシュの対象になったとして物議を醸した。

ホワイトウォッシュは、マイノリティーの差別に対する問題意識が比較的強いとされる欧米でも、未だに頻繁に”出現”する表現なのだ。

Can we discuss @VanityFair‘s pic of Lupita, on the right? Anyone see a difference? 😒 pic.twitter.com/lt9uDm7CYZ

— April (@ReignOfApril) January 15, 2014

I’m extremely confused as to who this is… was Princess Tiana’s skin tone and dark hair too hard to digitalize? pic.twitter.com/M2f30gjiBR

— Lauren (@lolobaybee_) August 10, 2018

「ブラックフェイス(黒塗り)」との違い 「白くしても黒くしてもダメ」?

日清CMへの指摘を「過剰反応」とする意見の中には、2017年の大晦日に放送されたダウンタウンの番組「絶対に笑ってはいけない」での”ブラックフェイス(黒塗り)問題”を引き合いに出し、「肌を黒くしても白くしてもダメなのか」と疑問を呈する声もあった。

ブラックフェイスは、非黒人が黒人を真似て顔を黒塗りする行為を指す。アメリカではホワイトウォッシュ以上の黒人差別行為として絶対的なタブーだ。

堂本さんは、ブラックフェイスについて、以下のように解説する。

「昔、アメリカでは真っ黒な肌、真っ赤で厚い唇、白目部分が大きく真っ白な黒人の絵が描かれました。白人の役者がこうしたメイクで黒人を演じ、陽気で音楽とダンスには長けているものの、『マヌケ』である、というキャラクター設定がなされました。『ミンストレル・ショー』と呼ばれる演劇です。この歴史があるため、アメリカでは今もブラックフェイスは絶対的なタブーとなっています」 

アメリカの「ミンストレル・ショー」

最近では、ラグジュアリーブランドのグッチや歌手のケイティ・ペリーが展開するブランドの商品が「ブラックフェイス」との指摘を受けて謝罪し、商品販売を取り下げる騒動もあった。

「中には、あえて意図的な黒人差別行為として、ブラックフェイスを行うレイシストもいます。1月下旬には、オクラホマ大学の学生が顔を真っ黒に塗って『私は(Nワード)』と口にする動画をSNSにアップし、自主退学を余儀なくされています。残念ながらこれは珍しいことではなく、今も全米各地で年に数度は起こります」

「たとえ『黒人セレブの単なるモノマネ』や『黒人へのリスペクト』が理由であっても、ブラックフェイスが拒絶されるには、こうした事情があります」

販売中止になったグッチのセーター。

今の日本は、以前とは比べものにならないほど人種や民族が多様化している

このように、奴隷制度や、黒人差別を正当化した「ジム・クロウ法(人種隔離法)」などの歴史に基づき、アメリカではホワイトウォッシュは差別的な表現、そしてブラックフェイスは決して許されない差別行為とされている。

しかし、だからといって「日本国内に向けたものならば例外になる」という訳でもない。

「アメリカが全ての基準であるということではありません」とした上で、堂本さんは以下のように指摘する。

「アメリカ自体が、今も過去の奴隷制度という大きな負の歴史の清算をしている段階であり、人種の描写にとても過敏です。この状態が必ずしも健全とは言えませんが、今はまだ過渡期であり、ホワイトウォッシュやブラックフェイスを用いた表現に『セーフ』とされるケースはありません」

「この問題をめぐっては、SNSで『日本にアメリカの人種事情を持ち込む必要はない』といった趣旨の書き込みをいくつも見かけました。しかし、アメリカに限った話ではなく、今の日本は以前とは比べものにならないほど人種や民族が多様化していますし、国内でのグローバル化はすでに始まっています」

法務省の統計によると、日本国内に住む外国人の数は2018年6月時点で約260万人と、年々増加している。

日本で学ぶ若い世代の外国人も同様だ。日本学生支援機構の調査によると、日本国内の大学や日本語学校などに在籍する外国人留学生の数は毎年増加し、2018年5月時点では29万8980人に上っている。

さらに、政府が推進してきた改正出入国管理法が、2018年12月に参議院で可決・成立した。これにより、2019年4月からの5年間で、最大34万5150人の外国人労働者を受け入れることが決まっている。

「グローバル化も含め、ホワイトウォッシュ、ブラックフェイスなどの言葉が先行しがちですが、いずれも本来は人や社会が良い方向に伸びていくためにするべきこと、もしくはしてはならないことです」

「日清は、日本でマイノリティーとして生きる人たち、中でもメディアからの影響を受けやすい子どもたちの存在をもっと意識するべきでした。彼らも日本の一部であり、これからの日本を形作っていく世代です」

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「対象をありのままに描けばいい。それがすべての黒人への敬意でもある」

堂本さんが指摘するように、日本には、様々なルーツやバックグラウンドを持つ大人や子どもがたくさん生活している。そして、生き方の多様化も進んでいる。

そうした中、企業やメディアが心に留めておくべきことは何なのか。

堂本さんは、CMやアニメ、映画などのコンテンツでマイノリティーを表現するときに、「対象を『ありのまま』に描くこと」が重要だと話す。

「今回の件について、プロのイラストレーターなどから『黒人の肌を濃く描くと差別的になるから、依頼主からやめてほしいと言われる』という声が上がっていました。絵で生計を立てている人にとっては死活問題です」

「これを是正するには、絵を依頼したり広告を作ったりする側、絵を描く側、そして一般消費者の全てが、対象を『ありのまま』に描けば何の問題も起こらず、それがモデルを含む全ての黒人への敬意でもある、と理解する必要があります」

「そうすれば『肌を白くしても黒くしてもダメなのか』とか、『どうしていいのか分からない』とか、『とりあえず肌を白くしておけばクレームがつかないだろう』という状態から脱せられます」

ホワイトウォッシュが問題視されているアメリカのハリウッドでは、近年、「レプリゼンテーション(representation)」という考えが重視されている。

レプリゼンテーションとは、社会に生きる様々な人を物語の中に描くことで、「自分が社会の一員である」ことを人々に体現させる、という考えだ。そしてその作品を通して、彼らは「社会と繋がっている」ことを実感できる。ハリウッド映画の制作において、このアプローチは非常に重要視されている。

人種や宗教、ジェンダーやセクシュアリティなどにおけるマイノリティー、そして社会的弱者を敬意をもって描くことは、今の時代において非常に大切なことなのだ。

「日清を含む大企業もメディアも、マイノリティーの影響力をうまく使えば、日本がマイノリティーも暮らしやすい、真のグローバル社会への変化に貢献ができます」

堂本さんはそう話す。

そして、日清CM騒動を契機として「マイノリティー起用」に消極的になることはせず、「当事者から改めて学び直してほしい」と、願いを込めた。

「今のアメリカには、黒人キャラクターを描く黒人のアニメ作家も少なからずいます。日本のマイノリティーの中にもいることでしょう。今回の件によって、マイノリティー起用を恐れるのではなく、当事者からも改めて学び直し、ポジティブな表現によってどんどんと積極的に展開してほしいです」


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「世界のネコ歩き」で人気の岩合光昭さんが映画初監督 『ねことじいちゃん』公開に猫ファンが歓喜

「猫の日」の2月22日に合わせて公開された映画が、「猫好き」の間で話題となっている。

公開されたのは、動物写真家の岩合光昭さんの初監督作品となる映画『ねことじいちゃん』。

ネット上では「はやく観たい」「予告で泣いた」などと待ち望む声が相次いでいる。

本作品は、累計発行部数35万部の大人気コミック「ねことじいちゃん」(KADOKAWA)を実写化した。

主人公は、2年前に妻が亡くなり、飼い猫のタマと暮らす70歳の大吉。毎朝の日課はタマとの散歩だった。

幼なじみや友人たちとのんびり日々を過ごしていたが、やがて大吉にも体に異変が。そんな矢先、タマが姿を消してしまう。

長年共に過ごしてきた1人と1匹は、互いに豊かに生きるために、人生の選択をすることになる━━というストーリーだ。

主演は、岩合監督から熱烈なオファーを受けた落語家・立川志の輔。共演には、柴咲コウを筆頭に、小林薫、田中裕子、柄本佑など、豪華俳優陣が集結した。

今回が映画初監督となる岩合光昭さんは22日映画の公開を受けてTwitterで感謝の気持ちをつづった。

━━岩合さんは、1950年生まれで、世界で活躍する写真家。ネコの撮影をライフワークとして40年以上続けており、NHK  BSプレミアムで放送される「岩合光昭の世界ネコ歩き」が人気を博している。


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「自由に着られるのが嬉しい」18歳のトランスジェンダーが有楽町マルイにハマった理由

「居場所を見つけた!って思ったんです」

都内に住む18歳の唯さん(仮名)は、男性の体に生まれながらも女性の心を持つトランスジェンダーだ。

度々足を運ぶのは、東京千代田区にある百貨店「有楽町マルイ」のイベントスペース。性別や体型に関係なく着られる服や靴などを販売しているからだ。

「他の専門店と比べると品数は少ないけど、自由に着られるのが嬉しい」と話す唯さん。イベントが始まって数日だが、来店するのはすでに3度目。ここで購入したオレンジ色のパーカーをすっかり着こなしている。

パーカーを手に取る唯さん

 唯さんは、自分が女性の心を持つことを母親にしか話していない。普段は男性として日常を送っている。

一般的なアパレルショップでは「ぎり(男性が着ても)ありかな」と思えるレディースを購入して着ていたが、周りの目を気にせず、鏡の前でスカートを腰に合わせる女性たちが羨ましく見えたという。

イベントのことはTwitterで知った。初めて会場に来た時は、足を踏み入れることがそのままカミングアウトになりそうで「(頭が)訳わからなくなった」と戸惑った。しかし一度中に入れば「思った通りの場所だった」。

店員とも意気投合し、気づけば6時間以上居座ってしまった。記者が取材に訪れた日は、ようやくスカートに手が伸びた。人生初の試着。気になるデザインを2着試した。「楽しいなんてもんじゃないです」白い歯を覗かせた。

 

■ごちゃ混ぜの靴「売る場所という意識はない」

「有楽町マルイ」では約260平方メートルほどのスペースを丸ごと使用し、性別や体型に関係なく楽しめるスーツや靴、それにカジュアルウェアなどを揃えた。2月16日から3月3日までの期間限定の催しだ。

ジェンダーフリーハウスの売り場

男女の垣根に縛られず、誰でも着たいものを自由に着てもらうのがコンセプト。
パターンオーダーのスーツは身長145センチから190センチまで対応する。

靴も本来の男女用を区別せず、敢えてごちゃ混ぜにして壁に貼り付け、選んでもらうようにした。

ごちゃ混ぜになった靴

プロジェクトの責任者を務めるマルイの井上道博さんは「ネット通販に押され、リアルな店舗の存在意義が問われている時代。売る場所という意識はなく、いろいろな人が集まれる場所を作り出したかった」と狙いを話す。

マルイは、百貨店の力だけでは、性別にとらわれないファッションやライフスタイルを提供するのに限界があると考えている。

そこで、化粧品メーカーと提携し、会場の一角にどんな人でも自分にあったメイクを相談できるコーナーを設置。「化粧をしたことがないが、一から学びたかった」という人が多く訪れているという。

さらに、LGBTQの就職や転職を支援する会社の星賢人代表によるイベントも開催。

会場に集まった人たちに、他人の反応に怯えることなく自分をさらけ出せる環境を見つけることの大事さなどを説いた。

マルイにとっても初となるこの試みは、3月3日をもって一度終了する。トランスジェンダーの唯さんは「期間限定なので、来られるなら毎日来たいです」と意気込む。

責任者の井上さんは「今回のイベントにも賛否両論あったので、より進化したものを今後も打ち出したい。全然終わりでは無いですよ」と次回以降の計画があると明かした。


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佐藤健×青木崇高インタビュー 「人との信頼は、やるべきことを粛々とやる中で生まれてくる」

佐藤健さん、青木崇高さん

日本のマラソンの発祥とされる江戸時代末期の「安政遠足(あんせいとおあし)」を題材にした映画、『サムライマラソン』が2月22日(金)に公開される。

土橋章宏さんの小説「幕末まらそん侍」を原作に、『アンナ・カレーニナ』などで知られるバーナード・ローズ監督がメガホンを取った。

豪華キャストが揃った同作では、佐藤健さんと青木崇高さんが『るろうに剣心 伝説の最期編』以来、約4年ぶりに共演した。過去に経験したことがないほど「自由」な現場での映画作りに驚いた、と話す佐藤さんと青木さん。

日本の映画界、ドラマ界をリードしつづける2人にインタビューした。

佐藤健さん、青木崇高さん

——「るろうに剣心」以来の共演ですが、お互いの印象は?

佐藤:初めてご一緒したのは「龍馬伝」(2010年)なんですけど、その頃は桐谷健太さんと共演する機会が多かった時期で。

そのタイミングでムネくんに会って思ったのが、「桐谷健太に似てるな」と(笑)。ノリとか喋り方とか、話した感じが。それが第一印象です。

現場を盛り上げてくれますし、本番中は、台本で描かれていない「行間」を芝居で埋めてくれるんですよ。すごく甘えてしまいますし、頼りにしてしまいます。

青木:もう10年くらいの付き合いになるね。

その時、タケは主演をバンバンやってて、ちょうど過渡期だったと思うんですけど。同じ世代の中でも落ち着きが違うというか、この落ち着き払った悟りに近い雰囲気はどこから出てるんだろう、という驚きはありました。自分がタケの年齢の時はもっとジタバタしていたんで(笑)。

数年後『るろうに剣心』で共演した時に、いろいろなものを背負っている人になったな、と思いまして。

2人で取材を受けるのはひさしぶりなので、気恥ずかしいところもありますが、座長としてみんなを引っ張ってくれる部分があるので、すごく信頼しています。

——主演として、佐藤さんはプレッシャーや責任感とどうやって向き合っているのでしょうか。 

佐藤:自分は、そこまで何かを背負っている、という意識は持っていないんですよね。

あまり率先して現場を盛り上げるタイプでもないですし、とにかく自分がやるべきことを最大限の力でやることが、主役として1番大切なことだと思っています。

 映画のスタッフは職人気質の人が多いので、実はそういう姿を見せることが1番大事だったりするんです。無駄な会話は不要だったりする。

「あいつはしっかりやってる。だから支えよう」という気持ちとか、信頼というものは、自分がやるべきことを粛々とやる中で生まれてくるものだと思ってます。

青木:リハーサルの動きとかを見ると、彼はしっかり用意してきている、ということが伝わってくるんですよ。そこでお互い、作品に向かう熱意みたいなものはすべてわかりますよね。

やるべきことをしっかりやっていれば、見ている人はちゃんとわかってくれますから。

——今回は監督をバーナード・ローズ氏が務め、プロデュースは『ラストエンペラー』などを手がけたジェレミー・トーマス氏が担当しています。日本と海外のスタッフで作り上げた作品ですが、現場の雰囲気は?

佐藤:現場というか、「映画の作り方」そのものが、過去経験してきたものと比べて何もかも違ったんですよ。

 「今まで俺らは何をやっていたんだ?」と思うくらいに(笑)。

青木:なまじ経験があると、その経験が邪魔になってしまう時ってあるじゃないですか。今まで歩んできた道を引き返して、振り出しに戻らないとこの道は進めない、というか。そんな感じですね(笑)。

——(笑)例えばどういうところが?

佐藤:台本に書いてあることを言っても言わなくてもいいよ、みたいな。もはや「自由」と言ってもいいのか疑問に思うほど自由で(笑)。

 とはいえ、相手の反応も考えなくてはいけないし、最低限の「約束」みたいなものはちゃんと作った方がいいんじゃないか、という葛藤もあって。

シーンを撮影する前に、その役がどういう気持ちでいるか、そういった話は監督とちゃんとするんです。そこに1番時間をかけたら、あとはもう気持ちが思うがままに、「好きにやってくれ」と。

だから、監督から見えないところで相手の役者さんと水面下で「こうなりそうだな」と話し合ったりもしました。それが、いざ本番が始まると全然想定していないことが起きたりして。 

つまりざっくり言うと、ライブ感のある現場でしたね。

青木:ライブ感という言葉に加えて、「ざっくり」という言葉が大事なんですよ、これは。本当に、「どうなっても知らないよ?」というか(笑)。常にアンテナを立てながらやっている状態ですよ。

ーー普段はもっと事前に決まっていることが多いんですか?

佐藤:今回は、リハーサルすらないような現場でしたから。生まれて初めてやる芝居から撮りたい、リハやテストはやらない、という感じでした。そのシーンの一発目からやる、という。 

役者陣は、それをむしろ楽しんでやっている人が多かった。ただ、日本のスタッフの方々は本当に混乱していましたね。

このキャストじゃなかったらどうなっていたんだろう、と。そういう状況に燃えるタイプというか、自分で考えて作り上げていくことが好きなキャストが多かったから成立したんだと思います。

青木:たしかに、そこに抵抗を感じる役者が一人でもいたら、成り立たなかったかもしれないですね。

ーーすごく刺激的な現場だったのでは、とも思います。この作品は海外でも需要が高い「サムライ映画」なので、世界も視野に入れているのかな、と思ったんですが…。

佐藤:そうですね。ハリウッドの現場も経験してみたいですし、そういう意味では、すごく貴重な経験でした。

ハリウッドはただ単純に予算の規模が大きいとか、それだけじゃなくて。彼らの技術力や映画を作る方法論って、やっぱり頭一つ飛び抜けていると思うんです。それを勉強したいという思いもやっぱり持っているので。

それと同時に、日本で我々がいつも作っている作品を、どうしたら世界の人たちにもっと届けられるんだろう、という風にも思います。

青木:世界に日本のコンテンツを届けていく、という話は、「面白い作品を作る」の前段階で必要な話ですよね。

いいものを作るということを大前提にしながら、戦略的にその作品を海外のマーケットでも売ることをしなくてはいけない。意外と、海外ではしっかり評価されているのに、逆に日本ではあまり知られていなかったりする作品もありますし…。

ーー日本のコンテンツを世界に届けていく、ということですよね。今はNetflixなどの配信サービスで、世界の人にコンテンツを届けられるようにもなっています。お2人はNetflixで見てもらうことに抵抗はありませんか?

佐藤:映画館で観てもらうのが1番嬉しいとは思うものの(笑)、他で観てくれても十分嬉しいですよ。

青木:カメラを構えている側としては、「映画館で観られる」ことを想定して撮影をしているんですよね。だから、本来は劇場で観ていただきたいんだけどね、と思いつつも、やっぱり観ていただくこと自体がありがたい話なので。

映画の見かたはどんどん変わっていってますからね。 

ーー佐藤さんも青木さんも、3月に誕生日を迎えられます。佐藤さんの、30代の目標は?

佐藤:それが、まだ30歳のビジョンみたいなものが明確に定まっていないんですよね。

どちらかと言うと、「20代が終わってしまう。何かやり残したことはないか」という気持ちが強い状態で2018年を駆け抜けてきたので、先のことをそこまで考えていなくて。

20代の自分を残しておきたいという思いがあって、とにかく作品を増やそうと思っていたんです。 制服を着る役とか、これからやれなくなってしまう役もあるじゃないですか。それを今逃してしまうと一生手放すことになるので、悔いがないように今やろう、という思いでいました。

だから…今のところは目標がないんだよなぁ(笑)。とにかく目の前にあるものに精一杯取り組んで、30歳になった時に考えていこうと思います。

ーー青木さんは39歳に。40代を前にして、どんなキャリアを歩みたいと思いますか?

青木:僕は、あまり30代とか40代とか気にしてはいないんですよね。でも、50代を楽しめるようにしていきたい、とは思いますね。

パッと今思いついたのは、海岸で白い流木を投げて、でっかいワンちゃんがくわえて戻ってくる、みたいな光景ですねぇ(笑)。あれ、割とやりたいなと思いますね。

ーードラマのような…(笑)。

青木:ちょっと大きめの麦わら帽子をかぶって、奥さんが「朝ごはんできたわよ」って声をかけてくる、みたいな。

とにかく日々が充実していて、その時の自分が自分自身に納得を持って生きている状態がいいな、と思います。

まだ未知のことがたくさんありますし、いろいろなことに刺激を受けていって、年を取っても面白い人生を送れるようにしたいですね。

『サムライマラソン』

2月22日(金)TOHOシネマズ 日比谷 他 全国ロードショー

出演:佐藤健 小松菜奈 森山未來 染谷将太

青木崇高 木幡竜 小関裕太 深水元基 カトウシンスケ 岩永ジョーイ 若林瑠海/竹中直人

筒井真理子 門脇麦 阿部純子 奈緒 中川大志 and ダニー・ヒューストン

豊川悦司 長谷川博己

監督:バーナード・ローズ

原作:土橋章宏「幕末まらそん侍」(ハルキ文庫) 脚本:斉藤ひろし バーナード・ローズ 山岸きくみ


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